【盤上のオリオン】将棋用語まとめ――駒の動かし方を知っていれば10倍楽しくなる将棋用語解説集

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まとめ

週刊少年マガジン掲載の漫画『盤上のオリオン』には、将棋の専門用語が数多く登場します。

このページでは「駒の動かし方は知っているけど戦法はよくわからない」という方に向けて、
作中に登場した将棋用語を、場面・キャラクターと一緒にわかりやすく解説します。
将棋をもっと知ることで、盤上のオリオンのドラマがさらに深く楽しめるはずです。

このページの使い方

  • 読んでいて「この用語なんだっけ?」と思ったら、見出しから探してください。
  • 将棋の仕組みから知りたい方は「奨励会とは」「師匠制度とは」から読むと物語の背景が理解しやすくなります。
  • 戦法・囲いの解説は「中飛車」「美濃囲い」「穴熊」などから。
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将棋の世界のしくみ

奨励会とは(第19話〜)

奨励会(しょうれいかい)の正式名称は「新進棋士奨励会」。
プロ棋士を目指す若者が腕を磨く、将棋界最大の養成機関だ。

階級は六級から三段まであり、各クラスで規定の成績を上げると昇級・昇段する。
そして三段になると、いよいよ三段リーグという修羅の舞台が待っている。

三段リーグは関東・関西合わせて年に2回、半年かけてリーグ戦を行う。
参加者は44人。そのうちプロ(四段)になれるのはリーグ戦の上位わずか2人だけだ。
さらに厳しい規定がある。

  • 26歳の誕生日を迎えた三段が、その期のリーグで規定成績に届かなければ退会
  • 満30歳になれば強制退会

年齢制限という「刻一刻と迫るタイムリミット」が、奨励会員たちに独特の緊迫感を与えている。
盤上のオリオンの登場人物たちが命を削るように将棋を指す理由が、ここにある。

師匠制度とは(第54話〜)

奨励会は師弟制度で成り立っている。
弟子を奨励会に推薦するのは、必ずプロ棋士の師匠だ。

通常は幼い頃から通っていた将棋道場に縁のある棋士が師匠となる。
地方など道場とのツテがない場合は、将棋連盟が適切な棋士を紹介する。

師匠と弟子の関係は、将棋の技術だけでなく棋士としての生き方を伝える絆だ。
盤上のオリオンでは里村昆九段が茅森月の師匠となるエピソードが54〜55話に描かれており、
「攻撃は龍のように苛烈だが、陣容は海のようにとらえ所がない」と茅森の将棋を評した。
ちなみに里村九段は茅森月の父、鍛冶竜王の師匠でもある。

真剣師とは(第1話)

真剣師(しんけんし)とは、将棋で金銭を賭けて対局することを生業とする人物のこと。
プロ棋士とは異なる、アウトサイダー的な将棋指しだ。

茅森月がバーphilipで「負けたらギムレット一杯」という対局料で客と将棋を指していた姿が、
まさに真剣師そのもの。
壱岐と二宮が「さながら歴戦の真剣師」と表現したのが第1話の印象的な場面だ。
「屍山血河 死屍累々 かすかな氷の触れる音と 芳醇な香りの先に その人はいた」
という描写が、茅森月という存在の異様な迫力を物語っている。

アマチュア大会と三段リーグ編入(第25話〜)

通常、プロ棋士になるには幼い頃から奨励会に入り、10年程度かけて三段リーグを突破する必要がある。
しかし茅森月のような「奨励会の外」にいる実力者には、特別なルートが用意されている。

アマチュア全国大会で優勝することだ。

主な大会には以下のものがある。

  • アマチュア竜王戦
  • 全日本アマチュア将棋名人戦
  • 全日本アマチュア王将位大会
  • 朝日アマチュア将棋名人戦 など

全国大会の優勝者には、奨励会及び三段リーグへの編入試験の権利が与えられる。
試験内容は二段の奨励会員・最大8人との対局で6勝すること。
これをクリアすれば三段として三段リーグに参戦できる。
通常10年かかるところを、最短10ヶ月でプロへの最終関門に立てるという夢のルートだ。

茅森月がアマチュア竜王戦優勝を目指したのは、このためだった。

戦法・攻め筋

中飛車(第98話など)

中飛車(なかびしゃ)は、飛車を盤の中央・5筋に構える攻撃的な戦型だ。

将棋の飛車は最も強力な攻め駒。
その飛車を盤の真ん中に置くことで、左右どちらにも攻撃できる柔軟性を持つのが中飛車の特徴だ。
さらに「飛車を振る(移動させる)」という意味で振り飛車の一種に分類される。

中飛車の長所は攻めの主導権を握りやすいこと。
相手より先に仕掛け、主導権を持って戦いたい棋士に好まれる戦型だ。
茅森月が好んで使う戦法であり、98話の三段リーグ・佳澄碧戦でも中飛車から優勢を拡大した。
攻撃至上主義の茅森月の棋風と、この戦型は実によく合っている。

急戦矢倉(第4話)

急戦矢倉(きゅうせんやぐら)は、矢倉という囲いに対して素早く攻撃を仕掛ける戦法だ。

まず矢倉(やぐら)とは、将棋の代表的な囲いのひとつ。
金将・銀将・玉将を連携させて城のように固める守りで、「将棋の純文学」と称されることもある格調高い戦型だ。
急戦矢倉はその矢倉囲いを完成させる前に、相手が仕掛けてくる攻撃的な戦型。
4話では志摩棋聖の得意技として言及されている。

右四間飛車(第25話前後)

右四間飛車(みぎしけんびしゃ)は、飛車を右側の4筋に配置して攻める戦法だ。

飛車と角を連携させた強力な攻撃力が特徴で、相手の守りを素早く崩しにいく積極的な戦い方。
初心者でも扱いやすく、覚えたての頃に使う人も多い戦法だが、高段者が使えば鋭い武器になる。
盤上のオリオンでは第25話前後のアマチュア大会編で登場する。

逆棒銀(第25話前後)

逆棒銀(ぎゃくぼうぎん)は、銀将を前線に送り込んで相手の陣地に打ち込む攻め筋だ。

棒銀とは銀将を棒のように一直線に前進させて攻める戦法。
逆棒銀はそれを「逆方向」から仕掛けるバリエーションで、相手の意表をつく狙いがある。
シンプルながら力強い攻め方で、将棋を覚えたての方にもわかりやすい戦法のひとつだ。

端歩(第12話など)

端歩(はしふ)とは、盤の端(1筋または9筋)に歩を突く一手のことだ。

一見地味な一手だが、端歩には深い意味がある。
将来的に端攻め(端から攻め込む)の布石になること、相手の様子を伺う手、
そして相手の応手次第で戦略の方向性が変わる「探り」の意味合いを持つ。

12話では夕飛と千葉省吾四段の対局で登場。
夕飛が端歩を布石に超接近戦へと持ち込み、千葉を驚愕させた場面は、
夕飛の「覚醒」を象徴するシーンとして印象的だ。

香車の田楽刺し(第47話)

田楽刺し(でんがくざし)とは、同じ列に並んだ敵の二枚の駒を、一枚の駒で同時に攻撃する手筋だ。

田楽(豆腐などを串に刺した料理)のように、一本の串(駒)で二つの具(駒)を貫くイメージから名がついた。
香車は前方に何マスでも進める駒。
その香車を使って田楽刺しを決めると、相手はどちらかの駒を失うしかない。

47話では夕飛と鞍馬の対局、三段リーグ18戦目の連勝記録がかかった清太郎戦で登場。
中飛車からの香車の田楽刺しに窮地に立たされるという、まさに息も詰まる頭脳戦の場面だ。

歩手裏剣(第97話)

歩手裏剣(ふてしゅりけん)は、歩を相手の急所に打ち込む手筋の俗称だ。

「将棋は歩から」という言葉があるほど、歩は将棋の基本であり奥深い駒。
一見地味な歩を手裏剣のように急所に叩きつけ、相手の形を崩す。
忍者が懐から手裏剣を取り出すがごとく、突然飛んでくる一手に相手は翻弄される。

97話の佳澄碧vs茅森月戦で、佳澄が「必殺!」と叫びながら放った一手として登場。
茅森の「ウゲ」という反応が全てを物語っていた(笑)。

玉頭攻め(第97話)

玉頭攻め(ぎょくとうぜめ)とは、相手の玉将の真上(頭)に向かって歩などを叩きつけていく攻め方だ。

将棋では「玉の頭は攻めに弱い」という格言があるほど、玉の上部は守りにくい急所。
そこを直接狙っていく玉頭攻めは、心理的なプレッシャーも含めて非常に効果的な攻め筋だ。

97話で茅森が8五歩と叩いた一手がこれ。
観戦していた勉三が思わず「巧い!!」と叫んだのも頷ける、鋭い一手だった。

王手馬取り(第101話)

王手馬取り(おうてうまとり)とは、王手をかけながら同時に相手の桂馬も攻撃する一手のことだ。

将棋の「一石二鳥」とも言うべき手筋で、相手は王手を防がなければならないため、
桂馬を取られることをほぼ防げない。
つまり一手で確実に二つの仕事をする、非常に効率的な攻め筋だ。

101話の佳澄碧vs茅森月の終盤、観戦していた勉三が「ツライ」と漏らしたのがこれ。
追い詰められた茅森が秒読みの中でも放った、攻撃本能の一手だった。

囲い(守りの陣形)

美濃囲い(第58話)

美濃囲い(みのがこい)は、振り飛車と組み合わせて使われることの多い、代表的な守りの陣形だ。

玉将・金将・銀将の3枚で玉を守る比較的シンプルな囲いで、
横からの攻めに強く、素早く組めるのが特徴。
中飛車などの振り飛車戦法と非常に相性がよく、攻撃的な棋風の棋士に好まれる。

58話では、三段リーグ初戦の茅森月が美濃囲いを組もうとしたが、
相手にそれを許してもらえないという描写があった。
囲いを完成させる前に仕掛けさせない——これもまた将棋の駆け引きのひとつだ。

銀冠(第98話)

銀冠(ぎんかんむり)は、玉将の頭(上)に銀将を配置する囲いだ。

名前の通り、銀が王冠のように玉の上に乗る形から「銀冠」と呼ばれる。
最大の特徴は玉頭(上部)への攻撃に強いこと。
相手から頭を叩かれにくく、上からの攻めをしっかり受け止められる。

98話の佳澄碧vs茅森月戦で、茅森の玉頭攻めに苦しんだ佳澄が銀冠の完成を目指した場面が印象的だ。
攻められ続けながらも守りを固め、反撃の機を狙う——佳澄碧の棋士としての矜持が垣間見えた。

穴熊(第25話前後)

穴熊(あなぐま)は、将棋で最も有名な囲いのひとつだ。

玉将を盤の隅(1一または9一)に深く潜らせ、金銀で厚く守る陣形。
その名の通り、熊が穴の中に隠れるように玉を奥深くに隠す。
横からの攻撃に対して非常に堅牢なことが最大の特徴で、
「穴熊に組まれたら攻めにくい」と嘆く棋士も多い。

弱点は囲いを組むのに時間がかかることと、上部(頭)が弱くなりやすいこと。
玉頭攻めが有効な対策のひとつとされる。
盤上のオリオンではアマチュア大会編(第25話前後)で登場する。

将棋用語 早引き一覧表

用語読み方種類登場話一言解説
奨励会しょうれいかい制度第19話〜プロ棋士養成機関。三段リーグが最終関門
三段リーグさんだんりーぐ制度全編44人中2人だけがプロになれる修羅の場
師匠制度ししょうせいど制度第54話〜棋士と弟子をつなぐ将棋界の師弟の絆
真剣師しんけんし用語第1話金銭を賭けて将棋を指すアウトサイダー
中飛車なかびしゃ戦法第98話〜飛車を中央に置く攻撃的振り飛車
急戦矢倉きゅうせんやぐら戦法第4話矢倉囲い完成前に速攻を仕掛ける
右四間飛車みぎしけんびしゃ戦法第25話前後飛車と角の連携で攻める積極的戦法
逆棒銀ぎゃくぼうぎん攻め筋第25話前後銀将を前進させて打ち込む力強い攻め
端歩はしふ手筋第12話盤の端に歩を突く。端攻めや探りの意味
香車の田楽刺しでんがくざし手筋第47話香車で敵の二駒を同時に攻撃する
歩手裏剣ふてしゅりけん手筋第97話歩を急所に叩きつける鋭い一手
玉頭攻めぎょくとうぜめ攻め筋第97話玉将の頭を直接狙う圧力ある攻め
王手馬取りおうてうまとり手筋第101話王手と桂馬取りを同時に狙う一石二鳥
美濃囲いみのがこい囲い第58話振り飛車と相性抜群の定番の囲い
銀冠ぎんかんむり囲い第98話玉頭を銀で守る。上部の攻めに強い
穴熊あなぐま囲い第25話前後玉を盤の隅に潜らせる最強クラスの守り

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