週刊少年マガジン掲載の漫画『盤上のオリオン』のヒロイン・茅森月(かやもり つき)について、
初登場から三段リーグまでの成長・棋風・人間関係を徹底解説します。
以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。
- 茅森月とはどんなキャラクター?
- 出会い——バーphilipの真剣師(第1話)
- 二面性——学校での茅森月(第1・2話)
- バイト仲間・夕飛との関係(第2話)
- 「一兆年早いわ」——強がりの本音(第6話)
- 「棋士なんて大っ嫌い」——夕飛への本音(第7話)
- 「君が信じれない君を私が信じるよ」(第8話)
- 運命の一手——久慈彼方との対局(第16話)
- 伴走者——佳澄碧との出会い(第32話〜)
- 師匠との出会い——里村昆九段(第54・55話)
- 父・鍛冶竜王の影(第76話)
- 「恋をしているのかも」(第74話)
- 三段リーグ——全勝中の佳澄碧と(第93話〜)
- 茅森月の「お菓子」——鳩サブレー
- まとめ——茅森月の本質
- 茅森月 登場話まとめ
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茅森月とはどんなキャラクター?
昼は清楚な生徒会副会長、夜は将棋バーの無敵の真剣師。
この二面性こそが、茅森月という人物の魅力のすべてを象徴している。
学校では容姿淡麗・才色兼備・文武両道、みんなから慕われる模範的な生徒。
しかしひとたび将棋盤の前に座れば、ノータイムで次々と駒を進め、相手を圧倒する攻撃至上主義の棋士に変貌する。
茅森の兄弟子である壬生が一言で言い表した棋風の評が、すべてを語っている。
「直情型 唯我独尊 攻撃至上主義」
そして75話で明かされた衝撃の出自。
茅森月は現竜王・鍛冶九段の娘。
攻撃を愛し守りを軽視する気質は、父親の「生き写し」だと言われる。
竜の血を引く棋士が、どのようにして生まれ、成長し、三段リーグの舞台へとたどり着いたのか。
以下、時系列で追っていく。
出会い——バーphilipの真剣師(第1話)
茅森月の初登場は、夜の将棋バー「philip」だ。
17連敗で傷心の主人公・二宮夕飛が、兄弟子の壱岐に連れられてこのバーを訪れる。
バーの店主は茅森の母親。そしてアルバイトとして将棋を指しているのが茅森月だった。
ルールは「負けたらギムレットを飲む」。
茅森はノータイムで次々と指し進め、84手で夕飛を投了させた。
ノータイムの理由はシンプルで、時間をかけると回転率が落ちてバイト代に影響するからだ。
この徹底した実利主義が、いかにも茅森月らしい。
そのときの描写がふるっている。
「屍山血河 死屍累々 かすかな氷の触れる音と 芳醇な香りの先に その人はいた」
初登場からして、すでに「歴戦の真剣師」の風格をまとっていた。
二面性——学校での茅森月(第1・2話)
翌日、夕飛が登校すると、そこにはまったく別の顔の茅森月がいた。
副会長として後輩たちに優しく声をかける、清楚で可憐な生徒。
しかし二宮を見つけるや否や、「オイ小僧 私のこと誰かに言いふらしたりしてねーだろな」と豹変する。
この二面性は、茅森月のキャラクターの核心だ。
「副会長・茅森月」と「将棋指し・茅森月」は、同一人物でありながら別の生き物のように振る舞う。
どちらが本当の茅森月なのか——。
バイト仲間・夕飛との関係(第2話)
夕飛がバーでアルバイトを始めたことで、二人の関係は深まっていく。
帰り道、「将棋はやめた、神様に選ばれなかったから」と打ち明ける夕飛に、茅森は言い放つ。
「選ぶのは君だよ 生きることは選択の連続 君の選択だけが君のゆく先を決める」
そして飲みかけのジャスミン茶を夕飛に渡し、「受け売りだけどね、キングの」と付け加える。
この一言が夕飛の背中を押した。
茅森月は、将棋の強さだけでなく言葉でも人の心を動かす。
夕飛はのちにこう述懐する——「バイトの帰り道、僕の歩く道はジャスミンの香りがする」と。
「一兆年早いわ」——強がりの本音(第6話)
夕飛が特訓したバーの常連客が強くなり、茅森が苦戦を強いられるようになったとき、
月は臆せず啖呵を切った。
「誰に教わろうとも三下どもが楯突こうなんざ一兆年早いわ」
これは強がりでも虚勢でもなく、茅森月という棋士の矜持の表れだ。
追い詰められるほど牙を剥く——この闘争本能が、攻撃至上主義の棋士らしい本能でもある。
「棋士なんて大っ嫌い」——夕飛への本音(第7話)
「プロ棋士になりませんか」という夕飛からの提案に、茅森は即答する。
「棋士なんて大ッ嫌い」
しかしその直後に「私のことより君だよ」と続ける。
夕飛が「上に行く人間はものが違う、僕とは違う」と自分を卑下すると、茅森は静かに諭す。
「君が信じてあげないなんて 君がかわいそうだよ」
棋士が嫌いだという言葉の裏に、夕飛にもう一度将棋を信じてほしいという想いがにじむ。
茅森月は言葉を使って人を突き放しながら、実は誰よりも深く人を気にかける。
「君が信じれない君を私が信じるよ」(第8話)
千葉省吾四段が夕飛に暴言を吐いたとき、茅森は即座に対局を仕向ける一言を放つ。
「夕飛に勝ったら結婚してあげる」——この台詞で事態を動かしながら、夕飛にこっそり言う。
「君が信じれない君を私が信じるよ」
このさりげない一言が、夕飛を動かす。
告白ですよね、これは、やられちゃいます。こんなこと言われたい。
運命の一手——久慈彼方との対局(第16話)
物語が大きく動き出す、重要な転換点がここだ。
プロ棋士・久慈彼方がバーに現れ、茅森月と対局する。
95手目、久慈は言い放つ。
「あなたの将棋は華やかだ 無垢で 天真爛漫 身勝手で 傲慢 児戯に等しい」
そして「切っ先が喉元を貫いていることすら気づかないのだから」と一刀両断、逆転勝ち。
この敗北が茅森月を変えた。
よほど悔しかったのだろう——以降、茅森は久慈を負かすために奨励会員になることを目指し始める。
たった一局の敗北が、茅森月の人生を将棋へと引き寄せた。
伴走者——佳澄碧との出会い(第32話〜)
二宮夕飛が茅森に引き合わせたのが、佳澄碧だった。
夕飛の考えはこうだ。
守りの意識が希薄な月に、佳澄とぶつかることで「のびた鼻をへし折る」必要がある。
至高の座へと至る孤高の道に、伴走者が必要なのだと。
佳澄は最初から茅森に本気だった。
しかし同時に夕飛への想いを抱える佳澄は、「茅森の将棋から夕飛の匂いがするのが嫌だ」という感情も隠さない。
二人のぶつかり合いは将棋の勝負であると同時に、夕飛をめぐる女の意地でもあった。
師匠との出会い——里村昆九段(第54・55話)
将棋会館で壬生に絡まれている老人を見て、生徒会副会長の本能が発動した茅森は「おじいちゃんと対局する」と言ってその場を収める。
そのおじいちゃんこそ、里村昆九段だった。
対局後、里村は茅森の将棋をこう評した。
「その攻撃は龍のように苛烈だが その陣容は深くとらえ所がない そうまるで 海のようにとらえ所がない」
龍の攻撃と海の守り——この評価が、茅森月の将棋の可能性と課題を同時に言い表している。
このあと夕飛と出会った里村は、茅森の師匠となることを決める。
父・鍛冶竜王の影(第76話)
茅森月の名前の由来は、母親が語る。
仕事、お金、育児——不安で仕方がなかったある夜、帰り道を照らす月が背中を押してくれた。
「あの月を一生忘れない」
その想いが娘の名前になった。
一方、父・鍛冶竜王との関係は複雑だ。
幼い頃から鍛冶に将棋を仕込まれていた茅森月。
小学校5年生のとき、月は父である鍛冶に勝った。
棋士が小学生に負けた——その日から鍛冶は月に会いに来なくなり、仕送りも止まり、寝食を忘れて将棋にすべてを捧げた。
娘が自分を凌駕する「敵」となった瞬間、鍛冶は鬼に堕ちた。
月の将棋への情熱は、父に捨てられた傷跡と切り離せない。
攻撃至上主義の棋風は父から受け継いだものだが、その父は将棋ゆえに月を見捨てた。
このアンビバレントな関係が、茅森月という棋士の深みを作っている。
「恋をしているのかも」(第74話)
三段リーグを目前に控え、以前より表情が柔らかくなった茅森を見て、学校の生徒たちは囁く。
「恋をしているのかも」と。
茅森本人はこう思っている。
「時間を捧げ屈辱に耐えてもなお辿り着きたい場所がある 手を伸ばしたい相手がいる それはもはや恋というものだ」
久慈彼方への敗北から始まった将棋への執念。
それはいつしか将棋そのものへの「恋」になっていた。
三段リーグ——全勝中の佳澄碧と(第93話〜)
奨励会三段リーグ。
全勝中の佳澄碧と、三段に編入したばかりの茅森月が激突する。
圧倒的なプレッシャーの中、茅森は鳩サブレーをかじりながら内心でつぶやく。
「戦闘開始よ」
守りを覚えた茅森は序盤から優勢を拡大。
しかし佳澄のノータイム連打に揺さぶられ、ついに秒読みへ。
竜が右往左往し、「かっこ悪い」と自嘲しながらも攻め続けた茅森だったが、
最終的に「ようやくつかまえた、茅森月」という佳澄の一言とともに局面は決した。
勉三はこう総括した。
「二人とも 天晴れなり」
負けた茅森もまた、この対局で確かに成長した。
茅森月の「お菓子」——鳩サブレー
盤上のオリオンは、キャラクターとお菓子の対応が作品の遊び心として機能している。
茅森月のお菓子は鳩サブレー——鎌倉・豊島屋の銘菓だ。
上品で、どこかレトロで、でも誰もが知っている。
バターの風味豊かなサクサク感と愛らしい鳩の形。
茅森月がなぜ鳩サブレーを選んだのかは謎である。
まとめ——茅森月の本質
茅森月をひと言で表すなら、「攻めることで生きる、守ることで強くなった」だ。
竜王の娘として生まれた攻撃の才能。
父に捨てられた傷と、母の愛に守られた名前。
夕飛の言葉に背中を押され、久慈の一刀で目を覚まされ、里村・壱岐・壬生・全員に育てられた将棋。
茅森月の強さは、一人の天才のものではない。
関わったすべての人間の想いが、茅森月を作り上げた。
これからも茅森月から目が離せない——おじさんはそう確信している。
茅森月 登場話まとめ
| 話数 | 内容 |
|---|---|
| 第1話 | バーphilipで夕飛と初対局(84手で投了) |
| 第1・2話 | 学校で同じ高校の生徒と判明・二面性が明らかに |
| 第2話 | ジャスミン茶・「選ぶのは君だよ」 |
| 第6話 | 「一兆年早いわ」 |
| 第7話 | 「棋士なんて大っ嫌い」・夕飛への本音 |
| 第8話 | 「君が信じれない君を私が信じるよ」 |
| 第16話 | 久慈彼方との対局・運命の一手 |
| 第31話頃 | アマチュア竜王戦優勝 |
| 第32話〜 | 佳澄碧との最初の対局・伴走者 |
| 第54・55話 | 里村昆との出会い・師匠となる |
| 第74話 | 「それはもはや恋というものだ」 |
| 第76話 | 鍛冶竜王との過去・名前の由来・鬼に堕ちる |
| 第93話〜 | 三段リーグ・佳澄碧との対局 |
| 第96話 | 鳩サブレー・「戦闘開始よ」 |
| 第101話 | 三段リーグ佳澄戦・決着 |

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