【ガクサン 33話ネタバレ】33冊目|うるしと予習復習①。山崎の「置いていかれた感」とヤケ買い――福山「予習はデメリットのほうが大きい」、復習は「メリットしかない」

【ガクサン 33話ネタバレ】33冊目|うるしと予習復習①。山崎の「置いていかれた感」とヤケ買い――福山「予習はデメリットのほうが大きい」、復習は「メリットしかない」 ガクサン

モーニング(講談社)で連載された漫画、佐原実波『ガクサン』のネタバレと感想・考察をお届け。

33冊目は「うるしと予習復習①」。32冊目のラスト、うるしの「編集者目指すのやめたんです」に山崎さんが「へ?」となった、その続きからです。前半は山崎さんの胸のうち、後半は久しぶりの本格ハウツー。部活で忙しい高校1年生に、福山が「予習」と「復習」の優先順位をはっきり示します。

以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。

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ガクサン 33冊目「うるしと予習復習①」あらすじ(ネタバレ注意!)

前回までのあらすじ

山崎さんに誘われ、うるしはイラストレーター・ヤイダさんの個展へ。参考書のイラストや表紙の「今」を学び、ヤイダさんの後輩・結城さんには、今の時代の目線で魅力的な参考書を、と熱く語りました。

帰り道、山崎さんは、うるしちゃんも成長したね、やっぱり編集者を目指しているから、とほめます。ところがうるしは、編集者を目指すのはやめた、と頭を下げたのでした。

前回の記事はこちら → 【ガクサン 32話ネタバレ】32冊目|うるしとイラスト事情。山崎と日曜の個展へ、これってデート?――参考書の表紙は「今どき」へ、そしてうるし「編集者目指すのやめたんです」

カフェのテラスで、うるしの説明

ふたりはカフェのテラスへ。どういうこと?と聞く山崎さんに、うるしは平謝りです。今日の個展だって、編集志望の自分のために縁を作ろうと誘ってくれたんですよね、と。山崎さんは内心、やっぱりデートのつもりじゃなかったよね、と苦笑い。

うるしは、27冊目で見つけた答えを話します。参考書が好きで編集者になりたかったのではなく、しをり会の皆さんのようになりたかっただけ。好きなのは、参考書のためにがんばっている人たちだったのだ、と。

これからはブレずにご相談係でがんばる。夢中になれるものなんて何もないと思っていたけれど、ここで始めたことがある、と思えた。そして、うるしは笑顔でこう付け加えます(このセリフは感想で)。

一瞬かたまった山崎さんは、思った以上に大人でびっくりした、と謝り、それなら「ご相談係のうるしちゃん」の力をこれからも借りたい、しをり会の勉強もきっと相談対応に役立つ、と笑顔で返しました。

山崎の「置いていかれた感」

手をふって別れたあと、雑踏の中でひとり立ちつくす山崎さん。胸に広がったのは、なんともいえない「置いていかれた感」でした(このセリフも感想で)。

うるしちゃんは「こっち側の人」だと思っていたのに。あんなにすっきりした顔で、福山さんのおかげだ、なんて。福山は確かにすごい。でも、みんなして福山ばっかり――。

気づけば山崎さんは、店を回って「これください」「これも」。両手に紙袋をいくつも抱えた、見事なヤケ買いです。何してんだよ俺、とよろよろ歩く後ろ姿で、この場面は終わります。

週明け、ミーハー全開のうるし

週明けのご相談係。うるしは、ヤイダさんにもらった名刺を福山に見せびらかしています。有名イラストレーターのレア名刺! 出版社で働いていてよかった! 福山の返事は、うるさい、のひと言。

山崎さんとちゃんと話せてよかった、編集者志望じゃなくても、学ばせてもらうことでご相談係として答えられることが増えていくのはいい――うるしはすっきりした気持ちです。早くイラスト関係の質問が来ないかな、と待っていると、新しい相談が届きました。

相談「予習と復習、何をいつやればいい?」

相談者は、部活に忙しい高校1年生の「ゆうたす」さん。授業についていけていない気がする。ときどき、すでに習っていそうなことがわからない。予習はしたほうがいいのか、復習は何をすればいいのか。予習をしたら時間がなくなりそうで、何をどのタイミングでやればいいのかわからない、という内容です。

イラストとは関係ない相談で、うるしはちょっとがっかり。予習復習は先生によく言われていたな、部活をしていると毎日は勉強できなかったな、と思い出したところで、ふと興味本位の質問。福山さんって何部だったんですか?

答えは、中学だけ野球部。背ばかり大きくてトロくて、万年補欠だった、と。意外とフツウ……と思ったうるしに、福山は、面白味がなくて悪かったな。

そして福山は言います。部活をしていると予習までは手が回らない、俺もそうだった。だが、予習はできなくてもいい――。

予習のメリットとデメリット

福山はホワイトボードに向かいます。

予習のメリットは、授業で当てられても少し安心できる、自信がつく、くらい。ボードには「授業でドヤ顔ができる可能性」。授業がわかるようになることがメリットでは?といううるしに、福山は、若干はな、でもそれもかなり疑わしい、と。

デメリットはふたつ。新しい分野や難しいところは、予習の時点で完全に理解するのは難しく、時間もかかりすぎる。それなら授業で聞いて理解したほうが早い。そして、予習をやりすぎると授業がやさしく感じて集中しにくい。うるしは、先に教科書を読んでしまった国語の授業がまさにそうだった、と思い出します。

ここでうるしが、先生!と手を挙げます。相談者のように授業だけではわからない子なら、少しでも予習したほうがましなのでは?

福山の答えは、軽い予習に意味はあるかもしれない、でもこの子の場合はそれ以前の問題だ、というものでした(このセリフは感想で)。

授業中の「わからない!」をなくす2ステップ

そこで福山が示したのが、薄くてわかりやすい本での学び直し。学研プラスの「ひとつひとつわかりやすく。」シリーズを例に、2つのステップを挙げます。

  1. これまで学んだ内容で、わからないところを学び直す
  2. そのうえで、授業がわかるように予習する

ただし、力を入れるのはできるだけ1の学び直し。2の予習はそれなりでいい。予習は、メリットに対して時間がかかるデメリットが大きすぎるから。授業が理解できている子が予習したい場合も、時間を決めてできる範囲で。忙しい毎日に、無理に予習の時間を作る必要はない、と福山は言い切りました。

復習は「メリットしかない」

じゃあ、その分の時間を復習に?と聞くうるしに、福山は、そうだ、復習は絶対優先事項だ、とにやり。ボードに大きく「復習メリット ほぼ100%」と書きつけます。

ひとつは、記憶に定着するので得点力につながること。情報をくり返し入れると、脳は長期記憶として固定していく。

もうひとつは単純接触効果。最初は興味がなくても、何度も見るうちに好意的に思えてくる心理効果で、テレビCMがその例です。うるしは、何度も出てくる伊藤博文にだんだん興味がわいてきたかも、と妙に納得。

接触回数なら予習も同じでは?と思うかもしれないが、復習は内容を理解したうえで苦手なところに集中できる分、全体を自力で学ぶ予習より効率がいい、と福山。

定期テスト前は「圧倒的不正解」

では、何をいつ復習するか。定期テストは必ずあるから、そこで復習すればいいのでは?というのがうるしの答え。

福山はばっさり、復習のタイミングを定期テスト前とするのは圧倒的不正解だ、と。ショックを受けるうるしに、福山はにやりと指をさして、では復習するべきなのはいつか、10字以内で答えよ。ノリノリだな!と心でつっこむうるしで、34冊目へ続きます。

【ガクサン流・予習と復習】予習は「それなり」、復習を最優先に

33冊目の福山の助言と、それを裏づける研究をまとめます。復習の「いつ」の答えは34冊目で明かされるので、ここでは研究で分かっていることだけ紹介します。

1. 予習は「それなり」でいい

作中の福山の助言は、忙しい日常で無理に予習の時間を作らなくていい、授業が理解できる子も時間を決めてできる範囲で、というもの。

研究では、授業の前に「答えられない問題」をあえて解いておくと、その後の学習がよく身につく、という報告があります。まちがえてもよい、というのがポイントです(Richland ほか, 2009)。予習で完璧に理解しようとしなくていい、という福山の助言とも合います。ただし時間は短く。全部を自力で理解しようとすると、福山の言う「時間がかかりすぎる」に陥ります。

2. わからないなら、まず「さかのぼる」

相談者のように、すでに習ったはずのことでつまずくなら、問題は予習以前、と福山。新しい内容は、前に学んだことの上に積み重なっていくからです。

これは19冊目の「勉強は細かなルールの連続で、その先に発展的な内容が続いていく」と同じ話。30冊目の「軸足の一冊」と同じく、ここでも薄くてやさしい一冊でさかのぼるのが近道です。

3. 復習は「くり返す」ほど残る

一度学んだことを、時間をあけてくり返し学ぶと、長く覚えていられる。分散学習と呼ばれ、多くの研究をまとめた分析でもはっきり効果が確かめられています(Cepeda ほか, 2006)。

さらに、ただ読み返すより、思い出す練習(自分でテストする)をしたほうが、1週間後の成績がよかった、という実験もあります(Roediger & Karpicke, 2006)。29冊目の七海の「マル付けした後が学習の本体」とつながる話です。

4. 単純接触効果は「好きになる」効果

福山の言う単純接触効果は、何度も目にするだけで、そのものへの好感が高まる現象として知られています(Zajonc, 1968)。

研究で示されているのは「好きになる」ことで、それだけで覚えられるわけではありません。ただ、16冊目の福山の言葉どおり、勉強は「やる気がなくてもやる」状況を作るのが大事。何度も目にして苦手意識が少しずつやわらぐのは、復習を続けるうえで立派な味方です。

ぱっと見まとめ:予習と復習

番号名前やること目安
1学び直しわからない所を、前の学年の薄い本でさかのぼる授業についていけないなら最優先
2予習教科書を軽く読む・答えられない問題をあえて解く時間を決めて短く。完璧にしない
3復習授業の内容をくり返し思い出す毎日の勉強時間の中心にする
4テスト前総仕上げここで初めて復習するのはNG

予習・復習チェックリスト(33冊目から)

  • [ ] 授業でわからなかった所が、前に習った内容かどうか確かめた
  • [ ] わからない所は、薄くてやさしい本でさかのぼった
  • [ ] 予習は時間を決めて、完璧にしようとしなかった
  • [ ] 復習では、読み返すだけでなく、思い出す練習をした
  • [ ] 定期テスト前より前に、一度は復習した

参考文献

  • Richland, L. E., Kornell, N., & Kao, L. S. (2009). The pretesting effect: Do unsuccessful retrieval attempts enhance learning? Journal of Experimental Psychology: Applied, 15(3), 243–257.
  • Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380.
  • Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249–255.
  • Zajonc, R. B. (1968). Attitudinal effects of mere exposure. Journal of Personality and Social Psychology, 9(2, Pt.2), 1–27.

ガクサン 33冊目 感想・考察

【今回の一番】「…福山さんのお叱りのおかげなんですけどね」

33冊目でいちばん心に残ったのは、カフェのテラスでうるしが照れながら言ったこの言葉でした。

「…福山さんのお叱りのおかげなんですけどね」

26冊目で福山に、そんな理由で編集者になってもいい参考書は作れない、と言われ、うるしは泣きました。27冊目で答えを見つけ、31冊目では福山に「積み重ねてきたもの」を返した。あのつらい「お叱り」が、今では笑って話せる思い出になっている。うるしの成長が、このひと言にぎゅっと詰まっています。

でも、この言葉は山崎さんにとっては少し残酷でした。うるしは何の悪気もなく、福山の名前を出したのですから。

山崎さんの「置いていかれた感」

「…なんだろ この置いていかれた感」

32冊目の考察で、おじさんは「山崎さんだけが、まだ答えを出していない」と書きました。33冊目は、まさにそれを山崎さん自身が感じてしまう回でした。

24冊目、山崎さんは心の中で、うるしちゃんは「こっち側の人」、つまり自分と同じく、何かに夢中な人にあこがれる側だと思っていました。ところがうるしは、そのあこがれを「ご相談係でがんばる」という自分の道に変えてしまった。福山はしをり会へ一歩近づき、うるしも前を向いた。同じ場所にいるはずだった人が、先に歩き出したのです。

そして、また福山か、みんなして福山ばっかり。16冊目で、福山は漫画の主人公みたい、勝ち目がない、と笑っていた山崎さんの、笑えない本音が初めて顔を出しました。

「積み重ねの学習が出来上がっていない」

ハウツーで刺さったのは、この見立てです。

「積み重ねの学習が出来上がっていない」

相談者が聞いたのは「予習したほうがいいか」。でも福山は、質問に答える前に、質問の奥にある本当の問題を見ています。すでに習っていそうなことがわからない、という相談文のひと言を、見逃さなかったわけです。

19冊目で姪のゆかりちゃんの勉強について、福山は「勉強のスタートラインは『読んでわかる』こと」と言いました。そして33冊目で、授業がわからないなら、前に戻ればいい。学年や年齢に関係なく、さかのぼることを恥ずかしがらなくていい。ガクサンが一貫して伝えていることです。

26冊目のうるしは、なっちゃんママの相談に、よく考えずにドリルをすすめて福山に叱られました。今回は、相談者のような子なら少しでも予習したほうが、と手を挙げて福山に食い下がる。相談者の立場に立って考えるうるしと、相談の奥を見る福山。ご相談係のコンビらしさが戻ってきました。

万年補欠の福山

さりげなく明かされた、福山の中学時代。野球部で、背ばかり大きくてトロくて、万年補欠。

30冊目で福山は、自分を「優等生にも不良にもなれない、微妙に居場所のないただデカい奴」と言っていました。野球部の話は、その「ただデカい奴」の具体的な姿です。部活で疲れて予習まで手が回らなかった、という言葉にも、相談者と同じ場所にいた少年の実感がこもっています。

だからこそ、予習はできなくていい、という言葉には説得力がある。参考書だけで一橋大学に合格した福山は、もともと何でもできる人ではなかったのです。

復習はいつ?――34冊目の予想

最後に、福山の「10字以内で答えよ」。

ヒントは、くり返すと長期記憶になる、という説明と、定期テスト前は圧倒的不正解、という一言です。研究の分散学習から考えると、答えは「授業の直後(その日のうち)」や「忘れかけたころ」あたりでしょうか。おじさんは、「その日のうちに」を軸に、間をあけてくり返す、という答えになると予想しておきます。34冊目で確かめましょう。

まとめ

  • うるしは山崎に、編集者をやめてご相談係でがんばると説明。「福山さんのお叱りのおかげ」
  • 山崎は「ご相談係のうるしちゃん」の力を借りたいと受けとめるが、ひとりになって「置いていかれた感」とヤケ買い
  • 週明け、うるしはヤイダの名刺にミーハー全開。新しい相談は高1の「予習と復習」
  • 福山は中学だけ野球部の万年補欠。「予習はデメリットのほうが大きい」
  • 授業がわからない子は、予習以前に「積み重ねの学習」を。薄い本で学び直す2ステップ
  • 復習は「メリットしかない」。記憶の定着と単純接触効果
  • 定期テスト前の復習は「圧倒的不正解」。では、いつ?――34冊目へ

33冊目は、山崎さんの心の揺れと、福山の久しぶりのホワイトボード講義の二本立てでした。前を向いたうるしと、置いていかれた山崎さん。そして、復習のベストタイミングとは。34冊目が待ちきれません!

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