週刊少年マガジン掲載の漫画『盤上のオリオン』の中から、
感動シーン・笑えるシーン・将棋の妙手・心に刺さる名セリフを厳選してまとめました。
「あのシーンもう一度確認したい」「友達に勧めるなら何話から?」という方にも参考になるページです。
以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。
😢 感動シーン
「じいちゃん、僕は選ばれなかったよ」(第1〜2話)
印象度:★★★★★
17連敗、そして茅森月にも敗れ18連敗。
傷心の夕飛が帰り道で号泣しながら心の中でつぶやく。
「じいちゃん 僕は選ばれなかったよ」
祖父は幼い夕飛の駒を見て言った。
将棋の神様に選ばれた証として、駒はピカピカに光るのだと。
志摩棋聖の駒は月陰のように、鍛冶竜王の駒は夏の日向のように——そして夕飛の駒はカブトムシのようにピカピカだと。
その祖父の言葉を胸に将棋を始めた夕飛が、連敗の果てに「選ばれなかった」と泣く。
この場面で泣かない読者はいない。
祖父についての詳細はまだ物語の中で明かされていない部分も多く、今後の展開が楽しみな伏線でもある。
祖父の2話での言葉もまた深い。
「持ち駒は将棋を難しく豊かにしたルールじゃ 敵を有効に遣う戦略 敵を許す器 敵に己を惚れさせる 将としての度量 策略と人間力が盤上に現れとる だから儂は人間くさい将棋が好きなんじゃ」
将棋の本質を語るこの言葉が、盤上のオリオン全体のテーマと深く響き合っている。
「盤面の海は僕の海」(第10〜11話)
印象度:★★★★★
千葉省吾との対局中、夕飛は急戦矢倉の陣形に「海の匂い」を感じる。
祖父に背負われて歩いた海辺の記憶——あの頃の小さな夕飛と、今この盤の前に座る自分がつながる。
「盤面の海は僕の海 こぼれ落ちた僕の想い出 駒の鳴る音 急戦矢倉 海が繋がっているようにじいちゃんともどこかで繋がっているのかな」
「失ってもなお繋がっている 想い出を通して 残してくれたものを通して きっと 僕等は繋がっている 将棋は僕とじいちゃんとの絆だ」
この場面が夕飛の覚醒のきっかけとなる。
将棋は技術ではなく、愛する人との絆だった。
「不甲斐ない将棋なんて指してたらじいちゃんに笑われちゃうよ」という言葉が、夕飛を再び盤上へと引き戻す。
駒の音に記憶が宿る——盤上のオリオンが「駒音が繋ぐ絆」を描く作品であることを、この場面が最も鮮やかに示している。
「ウチカラッポやねん」——狩房あやめの涙(第64話)
印象度:★★★★★
女性初のプロ棋士に最も近づいたとされながら、三段リーグを突破できず退会を決めた狩房あやめ。
「まだやれます、やめないでください」と引き止める佳澄に、あやめは言う。
「ウチカラッポやねん かんにんや かんにんやで 碧」
二人で号泣するこの場面が、佳澄碧という棋士を動かし続けるバトンの原点だ。
「後はあんたに託したで 碧」という一言の重さは、99話・100話の「バトンリレー」という天戸の言葉につながっていく。
先人の夢が、後継者を強くする——盤上のオリオンを貫くテーマがここに凝縮されている。
「君も物語の主人公だよ」(第74話)
印象度:★★★★☆
三段リーグで3敗しかしていない茅森月を、夕飛は「将棋界という名の物語の主人公のようです」と評する。
すると茅森は夕飛に言い返す。
記録的な23連敗、バーで素人美少女に惨敗、その女性は未来の女性棋士、半年間の三段リーグバックレ——
「そして君は名人になる 君も物語の主人公だよ 二宮夕飛君」
そのあと夕飛は心の中で思う。
「12月の気配がする今日は天気予報よりちょっと寒い 顔がアツいのも 耳が赤いのも 季節外れの紫陽花のように心が色づくのも きっとそのせいだ 12月の雨だもの」
照れ隠しの独白が愛おしすぎる場面だ。
二人の距離が、盤上ではなく日常の中でじわじわと縮まっていく。
😄 笑えるシーン・ほっこりシーン
「野暮で不粋ですね」(第13話)
印象度:★★★★★
千葉との対局に負けた夕飛。敗北のルーティンとしてレモンティーを買う。
そこに茅森月が合流し、「その割には美味しそうに飲むじゃない」と突っ込む。
「茅森さん、僕はやっぱり将棋が好きみたいです」
「知ってるよそんなこと二宮夕飛君」
夕飛は思う——今日のレモンティーはやけに甘くて心が暖まる。
飲み慣れたメーカーじゃないからかな、気持ち良く負けたからかな、ちょっと肌寒いからかな。
「野暮で不粋ですね」
「そうよ野暮で不粋だわ」
「誰かが側にいるからかな」
おじさんはここで「あ、これ完全に好きじゃないか」と思ってしまった(笑)。
将棋が嫌いだと言っていた夕飛が将棋が好きだと再認識する場面でもあり、
茅森月という存在の大切さを夕飛が自覚し始める、甘くてほろ苦い名場面だ。
「まいりま」で飛び出す茅森月(第59話)
印象度:★★★☆☆
三段リーグ初戦、市川とのノーガードの殴り合いの末に惜敗した茅森月。
「まいりました」と言いかけて——「まいりま」で席を立って飛び出していく。
「どちらの蛇が相手を食い尽くすのか」という「ウロボロス」のような死闘の結末が、この「まいりま」で落ちるのがなんとも茅森月らしい。
負けを認めたくない攻撃至上主義の棋士が、最後の一文字を飲み込んで立ち去る。
笑えるのに、ちゃんと切ない。
これが盤上のオリオンの絶妙なユーモアのさじ加減だ。
✨ 名セリフ
「君の棋譜はまるでお伽噺の妖精のように」(第6話)
印象度:★★★★★
連敗続きで将棋会館から足が遠のいていた夕飛が、茅森月の棋譜を手に入れて並べる場面。
夕飛は思う——「この手はどこから来たんだろう、美しい一手だ」「将棋を心から楽しんでる、天衣無縫、繊細さも垣間見える」。
そして気づく。「楽しそうな表情だと指摘される」前に、自分もまた楽しんでいたことを。
「君の棋譜はまるでお伽噺の妖精のように笑ったりからかったり盤上を跳ね回る」
「棋士は盤上で心を通わせる 駒の動きで人となりを知る」
「そうか僕は楽しかったのか」——この一行が夕飛の再覚醒を静かに告げる。
茅森月の棋譜が、夕飛の将棋への愛を呼び起こした瞬間だ。
「千駄ヶ谷で待ってるぜ」(第13話)
印象度:★★★★★
千葉省吾が夕飛との対局後に告げた一言。
盤上で死闘を繰り広げた者同士にしかわからない、久慈彼方が夕飛にこだわる理由——それを対局を通じて感じ取った千葉が、奨励会をやめかけた夕飛に言う。
「久慈がお前にこだわった理由が 千駄ヶ谷で待ってるぜ」
千駄ヶ谷といえば将棋会館のある場所だ。
口下手な硬派キャラ・千葉省吾が放つこの一言には、説明も美化もない。
ただ「待ってる」という事実だけがある。
シンプルだからこそ、重い。
男と男が盤上でわかり合う——将棋漫画の王道にして、この場面の白眉だ。
「選ぶのは君だよ」(第2話)
印象度:★★★★☆
「将棋はやめた、神様に選ばれなかったから」と打ち明ける夕飛に、茅森月が言い放つ。
「それは違うわ 将棋は誰も選ばない 選ぶのは君だよ」
「生きることは選択の連続 将棋をやめるのも この道を歩くのも 君の選択だけが君のゆく先を決める」
そして飲みかけのジャスミン茶を夕飛に渡し、「受け売りだけどね」と付け加える。
後に夕飛はこう振り返る——「バイトの帰り道 僕の歩く道はジャスミンの香りがする」
茅森月という存在が、夕飛の人生に香りとして刻まれた瞬間だ。
「君が信じれない君を私が信じるよ」(第8話)
印象度:★★★★☆
自分を信じられない夕飛に、茅森月がさりげなく告げる。
「君が信じれない君を私が信じるよ」
短い。飾らない。だからこそ刺さる。
これが茅森月というキャラクターの本質を一文で表している言葉だとおじさんは思う。
「だから俺は喜んで踏み台になろうと思う」(木佐貫昇太・第58話)
印象度:★★★★☆
才能の差を目の当たりにした木佐貫昇太の言葉。
「あいつらの才能を目の当たりにして納得させられちまった 自分とは違う何かだってな こういう何かを持ってるものが上に行くんだってな」
「だから俺は喜んで踏み台になろうと思う」
100話で天戸が語った「屍の上に立つ棋士たち」というテーマを、
木佐貫はずっと前に自分の言葉で体現していた。
踏み台になることを「喜んで」選ぶ——この覚悟の重さを、おじさんは忘れられない。
🎲 将棋の妙手・盤上の名場面
「盤上にはオリオンが輝いている」(第12話)
印象度:★★★★★
千葉と夕飛の対局を見守った海老名楓(将棋教室席主)が、静かに語る。
「未完成な次世代の棋士 荒削りの才能たちがぶつかり合い 研がれながら鋭さを増し 燦然と輝き始める 対局者二人 その孤高なる盤上には オリオンが輝いている」
これが作品タイトルの由来となった場面だ。
「盤上のオリオン」というタイトルが、この一言によって完成する。
荒削りな才能がぶつかり合い、磨かれていく——それがこの作品の全てだ。
おじさんはこの場面を読んで「ああ、このタイトルはこういうことだったのか」と膝を打った。
「7七桂——新女王の誕生」(第31話頃)
印象度:★★★★☆
茅森月のアマチュア竜王戦優勝を決めた一手。
7七桂——その一手は新女王の誕生を告げる一手だった。
三段リーグ編入への道を開いたこの瞬間が、物語の大きな転換点となる。
「ギムレットをひとつ」(第14話)
印象度:★★★★★
この話は全編が名場面と言っても過言ではない。
何者にも揺るがない友情と信頼が盤上と盤外の両方に溢れる一話で、
おじさんはいつかこの話だけで単独のブログ記事を書きたいと思っている。
「7八飛成——天秤を粉砕した」(第100〜101話)
印象度:★★★★★
持ち時間で大きく不利な状況から、佳澄碧が放った逆転の一手。
観戦していた勉三が叫ぶ。
「快投乱麻なり 佳澄碧 あの劣勢をひっくり返した」
「耐え 退き 凌ぎ 力ずくで 天秤を粉砕した」
そして佳澄の「ようやくつかまえた、茅森月」という一言。
「ようやく」が二度繰り返されたこの台詞に、ここまでの全ての時間が宿っていた。

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