週刊少年マガジン掲載の漫画 盤上のオリオン最新話の感想、考察をお届け。
以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。
盤上のオリオン 第92話 最新話 あらすじ(ネタバレ注意)
前回までのあらすじ
生方橙和が決意した。
「私、棋士になりたいです」
ゴールだと思っていた場所は、スタートラインだった。
木佐貫の「おおきに」という感謝に包まれて、生方の新たな戦いが始まる。
木佐貫「ありがとうな。期待以上の兎役やったで、さすが二宮や」
夕飛「うーんそれってなんとなく違うような気がします」
木佐貫「何がや?」
アリスを巣穴へと導き不思議な国へと誘う一羽の兎。
その兎は木佐貫さんです。
スマホで対局する天才たち
天戸「兄弟子であるボクが対局しているのにどういうことだい、マイグリーン。スマホをつかって最善手を指すなんて」
スマホ片手に対局している佳澄。
佳澄「はあ?違いますけど、その目ん玉ビー玉ですか?」
スマホを見せる佳澄。
佳澄「こっちでも対局してるんです。ナメないでください」
負ける理由がない
天戸「やり方は疑問だが数をこなすのは悪くない。なにより、ムラっ気のあるグリーンがやる気なのは良い!!この妹弟子にスキはない」
歴史上初の女性棋士という名誉は佳澄碧の手中にこそある。
佳澄「考えてみると甘えがあった。今までは同期や先輩ばかりだったから、負けても仕方なしという心の逃げ道があったと思う」
佳澄「キャリアも私が上、気力も上、一度こてんぱんにした相手。負けて納得できる逃げ道がどこにもない」
天戸「確かに今期はいつもと違うね」
佳澄「そうですか?」
天戸「そうさ。楽しそうに三段リーグを戦っている。良い目をしてるよ、僕ほどじゃないけど。
佳澄「節穴目が!!イカみたいな目ん玉しやがって。楽しそう?三段リーグってすごいしんどいんですけど」
楽しみにしていた対局
月「ぶっ倒してやるからね!!あんたに勝つまで私は負けん!!」
佳澄「駒音が近づいてくる。そうか私は、彼女との対局を楽しみにしてたのか」
月の怒り
月「ちょっとさー、佳澄対策の対局させて申し訳無い気持ちはあるんだけどさ、対局中にスマホいじるのは失礼だと思うよ。私が言うのも何だけど。最善手検索してるの?」
夕飛「違います。スマホで対局してるんです」
月「もっと悪いわい!!」
と怒る茅森月。
月「ノベンバー11って佳澄碧と対局してるの!?」
夕飛「はい、茅森さん対策を。もち振り飛車で」
月「はぁ!?なんで敵と内通してんのよ!!裏切り者が!!」
夕飛「だってアオとも友達ですから。茅森さんだけに肩入れできません」
クソみたいな恋愛観
月「いい?二宮君。キミが女の子にモテたいのはよくわかるわ。でもね、優しさをはき違っちゃダメ」
夕飛「はあ」
月「みんなに優しいのは本当に優しいって言わないんだよ」
滂沱の涙と恐悦の極み
歴史上誰もなしえなかった偉業。
佳澄碧12勝0敗
茅森月9勝3敗
歴史上誰もなしえなかった女性棋士の誕生。
その可能性を秘めた女の子がここにいる。
こんな瞬間に立ち会えるなんて。
滂沱の涙を流す女性経営者。
「恐悦の極み」
やっててよかった将棋道場!!
感慨深い天童の地で野良で指したあの二人が三段リーグ第14戦。
再びーー
盤上のオリオン 第91話 X(旧Twitter)での反応
どちらかだけに肩入れできない、そんな性格、決して悪くはないと思うぜ。二宮😌
今週の「盤上のオリオン」より。— アニメの精@作品ロスたくさんの2代目垢 (@asanshun_2) March 18, 2026
盤上のオリオン面白すぎる
今読んでる将棋漫画の中で一番好きな作品です
— ことぶき丸 (@ktbkmaru) March 17, 2026
盤上のオリオン 第92話 感想・考察・まとめ
本当の兎は誰だったのか
木佐貫は二宮を「兎役」だと言った。
「ありがとうな。期待以上の兎役やったで、さすが二宮や」
でも、二宮は違和感を覚える。
「うーんそれってなんとなく違うような気がします」
木佐貫は不思議そうに聞き返す。
「何がや?」
アリスを巣穴へと導き不思議な国へと誘う一羽の兎。
その兎は木佐貫さんです。
『不思議の国のアリス』と生方の物語
ここで少し解説させてください。
『不思議の国のアリス』という童話があります。
主人公アリスは、ある日白ウサギを見かけます。
そのウサギを追いかけて、ウサギの巣穴に落ちてしまう。
すると、そこは不思議の国だった――という物語です。
つまり、白ウサギは、アリスを日常から非日常へと導く存在なんです。
生方にとっての「アリス物語」
この構造が、生方の物語と重なります。
生方=アリス(引きこもりの少女)
巣穴=将棋会館への入口
不思議の国=奨励会という将棋の世界
では、白ウサギは誰か?
木佐貫は「二宮が兎役だ」と思っていました。
確かに二宮は、生方を深淵へ誘った。
「僕らの世界に」踏み入れさせた。
でも、兎とは違うんです。
最初に巣穴へ連れて行ってくれたのは、木佐貫だった。
「川藤六段、この子が奨励会に入りたいって」
小さな生方に、将棋会館で会った木佐貫。
「奨励会に入りたいんだって?お嬢ちゃんは棋士になりたいのかい?」
優しく声をかける木佐貫。
この瞬間、生方は「巣穴」に入ったんです。
引きこもりという日常から、将棋という不思議の国へ。
その最初の一歩を踏み出させてくれたのが、木佐貫でした。
なぜ二宮は「違う」と感じたのか
二宮が「なんとなく違うような気がします」と言ったのは、おそらく自分の役割を理解していたから。
二宮の役割は、生方を「深淵」へ誘うことでした。
すでに奨励会という巣穴に入っていた生方を、さらに深い世界へ。
本気の将棋の世界へ。
でも、「最初の兎」ではない。
最初にドアをノックしたのは、木佐貫だった。
二宮はそれをわかっていた。
だから、「違うような気がします」と言ったんでしょうね。
木佐貫の無自覚な優しさ
そして、木佐貫自身は、自分が「兎」だったことに気づいていない。
だから、二宮に感謝している。
「期待以上の兎役やったで」と。
でも実は、一番大きな役割を果たしたのは木佐貫自身だった。
生方を外の世界へ連れ出した。
将棋会館という巣穴へ誘った。
不思議の国への扉を開いた。
これが、師匠というものなんでしょうね。
自分の功績に気づかず、弟子の成長を喜ぶ。
そして、他の人に感謝する。
二宮が心の中で「たぶん。ううん。きっと」と確信を深めていくのも、
木佐貫先生こそが、私のアリス物語の白ウサギだった
という気づきなんです。
木佐貫という人物の美しさが、このシーンに凝縮されています。
「マイグリーン」という謎のあだ名
天戸が佳澄を「マイグリーン」と呼ぶシーン。
これ、面白すぎます。
佳澄のハンドルネームは「ノベンバー11」。
緑(グリーン)とは関係ない…と思いきや。
おそらく、佳澄の名前の「碧」から来ているんでしょうね。
碧は青緑色。
だから「グリーン」。
そして「マイ」がつくのは、天戸の妹弟子だから。
「マイグリーン」=「俺の緑」=「俺の妹弟子・碧」
この命名センス、すばらしい。
そして、佳澄が嫌がるのも納得です。
「マイグリーンって呼ばないで」
「節穴目が!!イカみたいな目ん玉しやがって」
この言い合い、兄妹のようで微笑ましい。
天戸と佳澄の関係性が、よく表れています。
スマホで同時対局する天才たち
今回、衝撃的だったのが、佳澄も夕飛もスマホで対局しながらリアルの対局をしているという事実。
佳澄は天戸と対局しながら、スマホでも対局。
「三段リーグの対策に余念がない」
夕飛は月と対局しながら、スマホで佳澄と対局。
「茅森さん対策を」
これ、どちらも相手に失礼ですよね(笑)。
でも、天才たちにとっては普通のこと。
複数の盤面を同時に頭の中で処理できる。
これが、プロ棋士レベルの能力なんでしょう。
そして、二人とも「対策」のために対局している。
佳澄は茅森月対策。
夕飛は茅森月の佳澄対策。
つまり、第14戦の茅森月 vs 佳澄碧という対局を、二人とも意識している。
この三角関係、面白いですよね。
夕飛は両方の友達。
だから、どちらにも肩入れできない。
でも、両方を助けたい。
その葛藤が、このシーンに表れています。
「初の女性き」―言ってはいけない言葉
天戸が言いかけて、慌てて口を押さえる。
「初の女性き、は…」
初の女性棋士。
この言葉を、天戸は絶対に口にしてはいけないと思っている。
「あぶない。余計なプレッシャーを与えてしまうところだった」
「初とかいっちゃだめ!絶対!!」
この配慮が、優しい。
佳澄にプレッシャーをかけたくない。
「歴史上初」という重圧を背負わせたくない。
だから、言わない。
周囲の人間も、同じように配慮している。
生方の対局を見ていたギャラリーたちも、「歴史上初の女性き…」と言いかけて口を押さえられていました。
みんな、女性棋士候補たちを守ろうとしている。
でも、本人たちは気づいている。
自分たちが背負っているものの重さを。
それでも、戦い続ける。
その強さが、佳澄と月にはあります。
「負ける理由がない」という覚悟
佳澄の言葉が、力強い。
「私は負けません。負ける要因も負ける理由も何一つありません」
この断言。
この自信。
そして、その根拠を冷静に分析する。
「キャリアも私が上、気力も上、一度こてんぱんにした相手」
「負けて納得できる逃げ道がどこにもない」
これ、すごい心理ですよね。
普通、プレッシャーになるはずです。
負けられない状況。
逃げ道がない状況。
でも佳澄は、それを力に変えている。
逃げ道がないなら、勝つしかない。
その覚悟が、佳澄を強くしている。
そして、重要なのが「甘えがあった」という自覚。
「今までは同期や先輩ばかりだったから、負けても仕方なしという心の逃げ道があった」
これ、正直な告白です。
同期や先輩に負けても、「相手が上だから仕方ない」と思える。
でも、後輩に負けたら?
一度勝った相手に負けたら?
それは、言い訳できない。
だから、甘えられない。
その緊張感が、佳澄を成長させているんです。
「楽しそうに戦っている」という変化
天戸が気づきます。
「楽しそうに三段リーグを戦っている。良い目をしてるよ」
佳澄は否定する。
「楽しそう?三段リーグってすごいしんどいんですけど」
でも、本当は気づいている。
「駒おとが近づいてくる。そうか私は、彼女との対局を楽しみにしてたのか」
茅森月。
ライバルであり、友であり、敵。
その彼女との対局を、佳澄は楽しみにしていた。
「ぶっ倒してやるからね!!あんたに勝つまで私は負けん!!」
月のこの言葉が、佳澄を変えた。
誰かが自分を追いかけてくる。
誰かが自分を倒そうと必死になっている。
それが、嬉しい。
孤独な戦いじゃない。
ライバルがいる戦い。
だから、楽しい。
しんどいけど、楽しい。
この矛盾した感情が、佳澄の表情に表れているんでしょうね。
「みんなに優しいのは本当に優しいって言わないんだよ」
月の言葉が、痛烈です。
「みんなに優しいのは本当に優しいって言わないんだよ」
これ、恋愛観としてはともかく、真理ですよね。
夕飛は、佳澄と月の両方に対策を手伝っている。
どちらにも肩入れしない。
公平。
でも、月から見ると、それは裏切り。
「なんで敵と内通してんのよ!!」
夕飛の立場もわかります。
「僕は二人に関わりすぎている」
両方とも友達。
だから、どちらか一方だけを応援できない。
でも、それは優しさなのか?
月に言わせれば、違う。
本当に優しいなら、一人を選ぶべきだ。
そして、その人のために全力を尽くすべきだ。
この議論、面白いですよね。
公平であることと、優しいことは、違う。
誰にでも優しい人は、誰にも本気で優しくない。
厳しい言葉ですが、一理あります。
そして、将棋道場の経営者が一言。
「クソみたいな恋愛観ね」
この一言で、場が和む(笑)。
確かに、恋愛観としては「クソみたい」かもしれません。
でも、人間関係の本質を突いている。
このバランス感覚が、この作品の魅力ですね。
「滂沱の涙」という美しい表現
滂沱の涙。
この言葉、初めて聞く方もいるかもしれません。
「滂沱(ぼうだ)」とは、雨が激しく降る様子を表す言葉。
転じて、涙が激しく流れる様子を「滂沱の涙」と言います。
ポロポロじゃなく、ボロボロと流れる涙。
止められないほどの感動。
将棋道場の経営者は、なぜこんなにも泣いたのか。
「こんな瞬間に立ち会えるなんて」
歴史上誰もなしえなかった偉業。
女性棋士の誕生。
その瞬間を、自分の道場で見届けられる。
佳澄碧12勝0敗。
茅森月9勝3敗。
二人とも、女性棋士への道を歩んでいる。
この奇跡のような瞬間に立ち会えた喜び。
それが、滂沱の涙となって溢れ出た。
この表現の選び方が、素晴らしい。
「泣いた」じゃない。
「涙を流した」でもない。
「滂沱の涙」。
この格調高い表現が、この瞬間の重みを伝えています。
「恐悦の極み」という最上級の喜び
そして、経営者が口にする言葉。
「恐悦の極み」
「恐悦(きょうえつ)」とは、恐れ多くも嬉しいという意味。
身に余る光栄で、恐縮しながらも喜んでいる状態。
「極み」は、最上級。
つまり、「恐悦の極み」=「これ以上ないほどの恐れ多い喜び」
この言葉、普段の会話ではまず使いません。
時代劇や格式高い場面で使われる、古風な表現。
でも、だからこそ、この場面にふさわしい。
歴史的瞬間。
それを表現するには、現代的な軽い言葉では足りない。
「恐悦の極み」という重い言葉が必要だった。
そして、その後の言葉。
「やっててよかった将棋道場!!」
この落差(笑)。
格調高い「恐悦の極み」から、一気に庶民的な「やっててよかった」。
このギャップが、面白い。
でも、これが本音なんでしょうね。
長年、将棋道場を経営してきた。
苦労もあった。
でも、この瞬間のために、やってきた。
「やっててよかった将棋道場!!」
この言葉に、経営者の人生が詰まっています。
12勝0敗と9勝3敗―二人の戦い
佳澄碧12勝0敗。
茅森月9勝3敗。
この数字が、全てを物語っています。
佳澄は無敗。
完璧な成績で、トップを走っている。
月は3敗。
でも、まだ昇段の可能性は残っている。
三段リーグは18戦。
上位2名がプロ棋士になれる。
佳澄が1位なら、月は2位に入ればいい。
まだ、チャンスはある。
でも、第14戦。
二人が直接対決する。
この対局が、どれほど重要か。
佳澄にとっては、無敗記録を守る戦い。
月にとっては、追いつくための絶対に勝たなければならない戦い。
そして、この対局は「感慨深い天童の地で野良で指したあの二人」の再戦。
かつて、天童という地で、二人は出会った。
野良で将棋を指した。
その二人が、今、三段リーグという大舞台で再び盤を挟む。
この運命的な巡り合わせ。
これが、物語の美しさですね。
まとめ―歴史が動く瞬間
第92話は、「歴史が動く瞬間」を描いた回でした。
佳澄碧と茅森月。
二人の女性棋士候補が、頂点を目指して戦っている。
その瞬間に立ち会える喜び。
滂沱の涙と、恐悦の極み。
この二つの表現が、その喜びの大きさを伝えています。
そして、本当の兎は木佐貫だったという気づき。
生方を導いたのは、師匠の優しさだった。
マイグリーンという謎のあだ名。
スマホで同時対局する天才たち。
「みんなに優しいのは本当に優しいって言わない」という月の言葉。
夕飛の葛藤。
全てが、第14戦への布石。
次回、佳澄と月の直接対決が始まります。
12勝0敗 vs 9勝3敗。
無敗の天才 vs 不屈の挑戦者。
感慨深い天童の地で野良で指したあの二人が、再び――
この対局が、どんな結末を迎えるのか。
歴史は、どちらに微笑むのか。
期待が高まります。
でも、一つだけ確かなことがあります。
どちらが勝っても、歴史は動く。
女性棋士誕生という、歴史的瞬間。
その目撃者になれることを、誇りに思います。
次回も、正座して待っています。
滂沱の涙を流す準備をして。
恐悦の極みを感じる準備をして。
歴史が動く瞬間を、見届けたい。
心からそう思います。

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