週刊少年マガジン掲載の漫画 盤上のオリオン最新話の感想、考察をお届け。
以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。
盤上のオリオン 第92話 最新話 あらすじ(ネタバレ注意)
前回までのあらすじ
夕飛との対局を通して、生方橙和は「棋士になりたい」と口にしました。
ゴールだと思っていた場所は、スタートラインだったのです。
生方を見守ってきた木佐貫は、夕飛に「期待以上の兎役だった」と礼を言います。
でも夕飛は、それはなんとなく違う気がすると首をかしげました。
アリスを巣穴へ導き、不思議の国へいざなった一羽の兎。
それは夕飛ではなく、木佐貫さんだったのです。
スマホで「二面指し」する佳澄
場面は変わって、佳澄碧と兄弟子の天戸蓮耶の練習将棋。
佳澄はスマホを片手に指していて、天戸は最善手を調べているのかと文句を言います。
ところが佳澄は、こっちでも対局しているのだとスマホの画面を見せました。
三段リーグの対策に余念がない、と言ってほしい――佳澄の言い分です。
天戸は、一局一局に集中しないと「初の女性き……」と言いかけて、あわてて口を押さえます。
余計なプレッシャーを与えてはいけない。
天戸は、ムラっ気のある妹弟子がやる気になっているのを見て、あとはメンタルさえ整えば盤石だと考えていました。
「負ける理由がない」
ところが佳澄のほうから、大丈夫、私は負けないと言い切ります。
これまでは同期や先輩ばかりが相手だったから、負けても仕方ないという逃げ道があった。
でも今度の相手は、キャリアも気力も自分が上で、一度こてんぱんにした相手。
負けて納得できる逃げ道が、どこにもない。
天戸は、今期の佳澄は楽しそうに三段リーグを戦っていると言います。
三段リーグはすごくしんどいのに、と反論しかけた佳澄は、月の「あんたに勝つまで私は負けん!!」という言葉を思い出し、気づきます。
自分は、茅森月との対局を楽しみにしていたのだと。
夕飛のスマホの相手は……
一方、茅森月は夕飛と佳澄対策の練習将棋を指していました。
ところが夕飛も対局中にスマホをいじっています。
最善手を調べているのかと聞く月に、夕飛はスマホで対局しているのだと答え、月は「もっと悪いわい!!」と怒ります。
しかもその相手「ノベンバー11」は、佳澄碧。
夕飛は、振り飛車で茅森さん対策をしているのだと、悪びれずに言いました。
「みんなに優しいのは、本当の優しさじゃない」
敵と内通していると怒る月に、夕飛は、碧も友達だからどちらか一方には肩入れできないと答えます。
月は、優しさをはき違えるな、みんなに優しいのは本当に優しいとは言わないと言い残して、ラテを買いに行ってしまいました。
それでも夕飛は、どちらにも肩入れできないと思っています。
僕は2人に関わりすぎている、と。
滂沱の涙と恐悦の極み
そのやりとりを見ていた将棋道場の女性経営者は、まったく別のことに震えていました。
佳澄碧12勝0敗、茅森月9勝3敗。
女性奨励会員が三段リーグで独走し、そのすぐ後ろにもう1人がつけている。
歴史上だれもなしえなかった女性棋士の誕生――その瞬間に立ち会えるかもしれない。
彼女は滂沱の涙を流し、「恐悦の極み」とつぶやきます。
天童の地で野良で指したあの2人が、三段リーグ第14戦で再びぶつかるのです。
▶ 次の話(93話)はこちら → 【盤上のオリオン 93話ネタバレ】妖怪大戦争から始まる運命の対局―13勝0敗vs10勝3敗
盤上のオリオン 第92話 X(旧Twitter)での反応
どちらかだけに肩入れできない、そんな性格、決して悪くはないと思うぜ。二宮😌
今週の「盤上のオリオン」より。— アニメの精@作品ロスたくさんの2代目垢 (@asanshun_2) March 18, 2026
盤上のオリオン面白すぎる
今読んでる将棋漫画の中で一番好きな作品です
— ことぶき丸 (@ktbkmaru) March 17, 2026
盤上のオリオン 第92話 感想・考察・まとめ
【今回の一番】「負けて納得できる逃げ道がどこにもない」
今回いちばん刺さったのは、佳澄のこの覚悟でした。
強い相手に負けるなら、仕方ないと思える。
でも、自分より後から来た相手、一度ボコボコにした相手に負けたら、言い訳ができない。
ふつうなら、そういう相手との対局ほど怖いものです。
ところが佳澄は、その怖さを「甘えがなくなった」と前向きに受け止めている。
そして天戸に言われてようやく、自分はその対局を楽しみにしていたのだと気づく。
怖さと楽しさが同じ相手から来ている――これこそライバルという関係なのだと、おじさんは思いました。
【考察】本当の「白ウサギ」は誰だったのか
冒頭の「兎」の話も、92話の大事なテーマでした。
『不思議の国のアリス』で、白ウサギはアリスを巣穴へ、つまり日常から不思議の国へ導く存在です。
生方の物語に当てはめると、引きこもりだった生方がアリス、奨励会という将棋の世界が不思議の国。
木佐貫は、生方を将棋の深い世界へ連れて行った夕飛こそが「兎」だと思っていました。
でも夕飛は違うと感じます。
最初に巣穴の入口まで連れてきたのは、木佐貫だったからです。
幼い生方を将棋会館に連れて行き、奨励会に入りたいという気持ちを受け止めたのは木佐貫でした。
夕飛は生方を深いところへ誘っただけで、扉を開けた人は別にいる。
木佐貫は自分の役目に気づかず、夕飛に礼を言う。
自分の功績に気づかず、教え子の成長を喜べる人――木佐貫という人物のやさしさが、この短いやりとりに詰まっていました。
夕飛の「どちらにも肩入れできない」
月の「みんなに優しいのは本当の優しさじゃない」は、恋愛の話のようでいて、夕飛の立ち位置をするどく突いています。
夕飛は月とも佳澄とも親しく、どちらとも練習将棋を指している。
だからどちらか一方だけを応援することができません。

でも夕飛自身が「2人に関わりすぎている」と感じているのが大事なところです。
夕飛は、どちらにも勝ってほしいし、どちらにも負けてほしくない。
その気持ちは、夕飛自身も三段リーグで昇段を争う当事者だということを考えると、いっそう重く見えます。
天戸と佳澄――「マイグリーン」の兄弟子
天戸は佳澄を「マイグリーン」と呼び、佳澄は嫌がって罵倒で返す。
いつもの漫才のようなやりとりですが、天戸の心の中はとても冷静でした。
妹弟子のポテンシャルと気力を見きわめ、足りないのはメンタルだけだと分析する。
「初の女性棋士」と言いかけて口を押さえたのも、佳澄に余計な重圧をかけないためです。
天戸は100話で「棋士とは屍の上に立っている」と語ることになる、哲学的な兄弟子。
その天戸が、ここでは妹弟子を守るために言葉を選ぶ人として描かれていました。
【用語】二面指しと「対策将棋」
今回の話に関わる言葉を、少しだけ整理しておきます。
- 二面指し: 1人が同時に2つの対局を指すこと。今回の佳澄や夕飛は、目の前の盤とスマホのネット対局を同時に指していました。作中では、のちに久慈彼方と千歳朔の二面指しが大きな意味を持つことになります(109〜111話)。
- 対策将棋: 次に当たる相手の得意な戦法を想定して、練習相手にその戦法を指してもらうこと。夕飛が佳澄相手に「振り飛車で茅森さん対策」をしていたのは、佳澄が月と当たるときに備えて、夕飛が月の役をしていたのだと思われます。
- 滂沱(ぼうだ)の涙: 涙がとめどなく流れるようす。恐悦の極みは、このうえなく喜ばしく、ありがたいという意味です。
まとめ——歴史が動く第14戦へ
92話は、佳澄碧と茅森月、2人の女性棋士候補がそれぞれの思いで直接対決を待つ回でした。
「負ける理由がない」と言い切り、月との対局を楽しみにしていたと気づく佳澄。
どちらにも肩入れできず、2人に関わりすぎていると感じる夕飛。
そして、歴史が動く瞬間に立ち会えるかもしれないと涙を流す道場の経営者。
天童で野良で指した2人が、三段リーグの第14戦で再びぶつかります。
来週が待ちきれません!!
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