【ガクサン 27話ネタバレ】27冊目|うるしと答え。福山「俺は残念だ」とうるしの決意――あかねが見抜いた「何かが好きな人が好き」と、3巻ラストで見つけた「答え」

【ガクサン 27話ネタバレ】27冊目|うるしと答え。福山「俺は残念だ」とうるしの決意――あかねが見抜いた「何かが好きな人が好き」と、3巻ラストで見つけた「答え」 ガクサン

モーニング(講談社)で連載された漫画、佐原実波『ガクサン』のネタバレと感想・考察をお届け。

27冊目は「うるしと答え」。福山に「やめておけ」と言われ、言い返してしまった夜。うるしにかかってきたのは、お姉ちゃんからの電話でした。単行本3巻の最終話、うるしがずっと探していた「答え」が見つかります。

以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。

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ガクサン 27冊目「うるしと答え」あらすじ(ネタバレ注意!)

前回までのあらすじ

ひらがなしか読めない小学2年生の相談に、うるしはドリルをすすめてしまいました。福山は学習障害の可能性を説明し、わからないことに無責任に手を出すな、とうるしを責めます。

言い返すうるしに、福山は、だから編集者になりたいのか、やめておけ、と。私には何もない、と叫ぶうるしに、福山はこれまでの相談対応の記録ファイルを差し出しました。けれど、うるしは涙ぐんだまま、福山さんは人の気持ちなんてわからないくせに、とぶつけてしまいます。

その夜、山崎さんに電話した福山は、うるしがいなくなったら「残念」なんじゃない?と言われ、これが「残念」……とつぶやくのでした。

前回の記事はこちら → 【ガクサン 26話ネタバレ】26冊目|苦手と学習障害。福山「やめておけ」とうるしの涙――「努力不足だと片づけてはいけない」読み書きの困難と、「これは全部君がここで積み重ねてきたことだ」

バレた、と大の字のうるし

同じ夜。部屋着でベッドに大の字になったうるしの頭の中では、福山の、編集者になりたいのか、が何度もこだましていました。

やっぱり山崎さんの言うとおり、関係が悪くなってしまった。入社して、もう5カ月近く。最初は単なる事務だと思っていた。参考書のことなんて何もわからなかったのに、いつの間にか目標ができていた――。

そんな理由で編集になっても、いい参考書は作れない。福山の言葉に、でも、私はみんなみたいになりたいだけなのに、と思いかけて、うるしは首をかしげます。あれ、なにか大切なことが抜けているような……。

姉ぢからの電話

そこへ鳴った電話は、お姉ちゃんのあかねさんからでした。声が元気ない、前に話してから連絡がないから、どうしたのかなって姉ぢからで察知したんだよ、とあかねさん。

福山とのいきさつを聞いたあかねさんは、勉強や参考書のことなら人の気持ちがわかるのに、というぼやきに、よくそれでヒットメーカーをやってたよね、と苦笑い。

そして、前にも聞いたけど、とたずねます。うるしは参考書のことが好きなの? 面白いと思い始めているし、夢中になれるかも、と答えながら、うるしはまた、さっきの違和感を覚えます。あかねさんは、こう続けました(このセリフは感想で)。

お姉ちゃんの好きなバンド

あかねさんには、大好きなバンドがあります。実はそれを最初に教えたのは、高校生のうるしでした。このバンドすごくかっこいいの、友達のレナもハマってて――。うるし本人はすっかり忘れていましたが、あかねさんは、そのファン仲間として旦那さんとも出会ったのです。

しばらくして、うるしは、お姉ちゃんは夢中になれていいなぁ、私はそこまで何かにハマれるタイプじゃないみたい、と言っていた。でも、お姉ちゃんはずっと知っていた、とあかねさん。

ライブに出かける姉を、楽しんでね、と見送っていたうるし。そういう、うるしだからこそ、ご縁をくれた。すごく感謝している。何かが好きな人に憧れるのもいいけれど、そういう人を応援できるのも素敵なこと。参考書も同じだよね、それがゴールじゃないけど大切っていうか――。

と、いいところで、姪のゆっちゃんが麦茶をこぼし、電話はあわただしく切れてしまいました(笑)。

答えはもう手の中に

ひとり残ったうるしは、ようやく気づきます。だから私は、みんなと並びたかった。ああなりたかった。みんなの力になりたかった。

バンドのポスター、ギター、自転車、本の山。こんなにたくさんのものの中で、何ひとつ見つかっていないと思っていた。でも――。

福山の、いい返答だった(15冊目)。君がここで積み重ねてきたことだ(26冊目)。塾に行けないけど希望が持てました、という相談者からのお礼。デコった古文の参考書の写真。壁には、11冊目に貼った目標①「福山さんを研究会につれてくる!!」と目標②「ご相談係をがんばる!!」。

答えは、もう手の中にあったのです。

「残念だ」

翌日のいぶき社。福山さんに謝らなくちゃ、とお詫びの甘いもの(クッキー)まで用意したのに、黙ってキーボードをたたく福山に声をかけられないまま、とうとう終業時間に。

意を決して、あの、福山さ――と言いかけたうるしより先に、福山が口を開きます。茅野が少しずつ結果を積み重ねているのを見てきた。それでも相談係ではなく編集者になりたいと言うのなら――(このセリフは感想で)。

うるしの目から、ぽろっと涙。あわてる福山に、うるしは、福山さんがそんなこと言うなんてびっくりして、と泣き笑い。人の気持ちがわからないなんて言ってごめんなさい、と謝ると、福山は、別に、どうやら事実のようだからな、と(納得はしていないようですが)。そこは受け入れてるんですか、とうるし。

うるしの答え

うるしは、自分の気持ちを話します。

私、バカでした。参考書を作りたくて編集者になりたかったんじゃない。参考書が好きな皆さんが好きで、憧れていただけだった(参考書ももちろん好きですけど!)。夢中になれるものがないと焦って、みんながうらやましかった。ご相談対応を始めたのも、福山さんがもったいないと思ったからだけ。でも、福山さんの言うとおり、答えはもうあったんです。

思い出すのは、1冊目の父の言葉。勉強していけば、いつかわかる。お父さん、私わかったみたい――。

うるしは、まっすぐ福山に伝えました。何かに夢中な人、何かを目指す人が大好き。だから、あらためてお客様ご相談係で、その人たちのためにがんばりたい、と。

目を見開いた福山は、少し間をおいて、そうかとほほえみます。それを見て、うるしはまた泣き出してしまいました。またか、とうろたえる福山に、だって、笑うから……とうるし。

福山は丸椅子を持ってきて、泣いているうるしのそばに、だまって座るのでした。ここで3巻はおしまい。4巻(28冊目)につづきます。

【ガクサン流・参考書にかかわる仕事】作る人だけじゃない、届ける人・支える人

27冊目には勉強法のハウツーは出てきません。そこで今回は、うるしが選んだ「支える側」の仕事にちなんで、1冊の参考書が読者に届くまでに、どんな人がかかわっているのかを、作中の登場人物といっしょに整理してみます。

※会社によって部署の名前や分け方は違います。ここでは作中のいぶき社をもとに、一般的な形でまとめています。

1. 作る人――編集者・著者・校正者

参考書の中身を形にするのが編集者です。企画を立て、著者を探し、原稿を整え、台割(どのページに何を入れるか)を決め、校正・校了まで進めます(13冊目)。福山や山崎さん、しをり会の花山さん・川口さん・赤城さんたちの仕事ですね。

文章を書くのは著者。14冊目で山崎さんが話していたように、学校の先生や塾の講師が書くことも多く、「○○編集部 編」の本では名前を出さない書き手もいます。

誤字や内容の誤りを探す校正者、図やイラスト・紙面を作るデザイナー・イラストレーター、音声教材ならナレーターも加わります(14冊目の音声CD)。

2. 届ける人――営業・書店員

できた本を、書店に置いてもらうのが書店営業です。谷津さんは山星堂の担当で、店長に販売の数字を届けていました(21冊目)。どの本がどれだけ売れているかを伝え、棚づくりの相談にのるのも営業の仕事です。

その棚を毎日整えているのが書店員。梅屋敷さんは学参棚の担当として、品出し・発注・棚の整理をしながら、お客さんに本をすすめていました(20〜21冊目)。1冊目の書店フェアも、出版社と書店がいっしょに読者に届ける場でした。

3. 支える人――お客様ご相談係

そして、本を手にした読者の声を受けとめるのが読者対応・お客様相談の窓口です。問い合わせや誤植の報告、使い方の相談に答え、その声を編集部に伝えます。26冊目の「問い合わせメールまとめ(要回覧)」がまさにそれですね。

いぶき社のご相談係は、それをSNSにまで広げ、「この参考書をどう使えばいいか」まで一緒に考えるようになりました。読者の悩みがいちばん最初に届くのは、作る人でも売る人でもなく、この窓口なのです。

ぱっと見まとめ:参考書にかかわる仕事

番号名前やること作中では
1編集者企画・著者探し・原稿整理・台割・校了福山(元)、山崎、しをり会
2著者本文を書く(先生・講師が多い)14冊目のライター
3校正者・デザイナー誤りを探す、紙面・図を作る13冊目の校正
4書店営業書店に本を置いてもらう、数字を届ける谷津
5書店員棚を整え、お客さんにすすめる梅屋敷
6読者対応問い合わせ・相談に答え、声を社内に届けるうるし・福山

ガクサン 27冊目 感想・考察

【今回の一番】「俺は残念だ」

27冊目でいちばん胸に来たのは、福山のこの一言でした。

「俺は残念だ」

26冊目の最後、山崎さんとの電話で「残念」という気持ちに初めて名前がついた福山。その言葉を、翌日にはもう本人に伝えているのです。気持ちに名前がついたら、まっすぐ口にする。いかにも福山らしい不器用さです。

しかも、その前置きが「少しずつ結果を積み重ねているのを見てきた」。26冊目の記録ファイルと同じで、福山はうるしの気持ちではなく、うるしがしてきたことを見ていました。気持ちはわからなくても、積み重ねはわかる。だから「残念」と言えたのでしょう。

人の気持ちがわからないと言われて、どうやら事実のようだからな、とあっさり認めるところも福山らしい。けれど、うるしの決意に「そうか」とほほえむ顔は、15冊目の豆大福のとき以上にやわらかく見えました。

あかねさんが見抜いた「何かが好きな人が好き」

今回、うるしの「答え」を引き出したのは、お姉ちゃんのあかねさんでした。

「うるしが『何かが好きな人が好き』だってこと」

実はこれ、24冊目で山崎さんが心の中で思っていたこととほとんど同じなんです。うるしちゃんは参考書が好き以前に、参考書に熱意を注いでいる「人たち」が好き――。ずっと近くで見てきた姉と、職場で見ていた山崎さんが、同じところに気づいていたわけです。

思えば5冊目でも、あかねさんは福山を「うるしにとっての参考書みたいな人」と言い当てていました。軽いノリの「姉ぢから」ですが、妹のことはいちばんよくわかっている。今回のあかねさんは、まさに頼れるお姉ちゃんでした。

「何もない」と思っていたうるしへ

16冊目の夜、うるしは「私自身は何者でもないまま」とつぶやき、26冊目では「私には何もない」と叫びました。夢中になれるものがない自分は空っぽだ、と思いこんでいたうるし。

でも、あかねさんの話でわかったのは、うるしにもちゃんと「好き」があったということです。それが「もの」ではなく「人」に向いていただけ。バンドを姉に教え、ライブに送り出し、結果として姉の縁まで結んだ。ご相談係で福山を引っぱり出し、しをり会につないだのも、同じ「好き」の形でした。

おじさんは、ここがこの漫画のいちばん大事なメッセージのひとつだと思います。夢中になれる人だけがえらいわけじゃない。夢中な人を支え、応援する人がいてこそ、好きなことは誰かに届く。参考書も、作る人・売る人・読者の相談に乗る人がそろって、はじめて受験生の手に届くのです。

1冊目の父の言葉が回収された

もうひとつ、うれしかったのが1冊目の伏線回収です。

子どものうるしに、父は、将来好きなことを身につけられるように今勉強するんだ、と話しました。選択肢ってなに、と聞くうるしに、勉強していけばいつかわかる、と。

その「いつか」が、27冊目でした。参考書のことを勉強し、相談者に答え、ときには失敗して叱られて――その積み重ねの先で、うるしは自分の好きなことを見つけた。お父さん、私わかったみたい、というつぶやきは、1冊目から読んできた人ほど泣けるはずです。

3巻ラスト、ふたりの距離

最後のコマは、泣いているうるしと、丸椅子を持ってきてそばに座る福山。言葉はなにもありません。

25冊目でうるしは、少しずつ歩み寄れたら、と言いました。26冊目では、いちばん歩み寄れない形でぶつかってしまった。そして27冊目、福山は気のきいた言葉のかわりに、ただ隣に座ることを選びました。人の気持ちがわからない福山なりの歩み寄りです。

一方で、編集者を目指すのをやめたうるしと、編集部を外された福山。17冊目で語られた福山の過去を思うと、「相談係でがんばりたい」といううるしの言葉は、福山自身にも何かを投げかけているように見えます。4巻でふたりがどこへ向かうのか、楽しみです。

まとめ

  • 福山に「やめておけ」と言われた夜、うるしは「なにか大切なことが抜けている」と感じる
  • 姉のあかねから電話。「『参考書に夢中な人たち』のほうがもっと好きなんじゃない?」
  • あかねの好きなバンドは、高校生のうるしが教えたもの。旦那さんともファン仲間として出会った
  • あかね「うるしが『何かが好きな人が好き』だってこと」「そういう人を応援できるのも素敵なこと」
  • うるし「答えはもう手の中にあったんだ」(いい返答だった・相談者のお礼・目標①②)
  • 翌日、福山「それでも編集者になりたいと言うのなら 俺は残念だ」→うるしの涙
  • うるし「何かに夢中な人 何かを目指す人が大好きです」「お客様ご相談係でその人たちのためにがんばりたい」
  • 福山「そうか」とほほえみ、泣くうるしの隣に座る。3巻おわり、4巻へ

27冊目は、うるしがずっと探していた「何もない自分」への答えが見つかる、3巻の締めくくりにふさわしい回でした。ご相談係として歩き出したうるしと、隣に座った福山。4巻の28冊目が待ちきれません!

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