週刊少年マガジン掲載の漫画 盤上のオリオン最新話の感想、考察をお届け。
以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。
盤上のオリオン 第105話 最新話 あらすじ(ネタバレ注意)
前回までのあらすじ
今回のあらすじ
盤上に、過去に佳澄碧に関わったすべての人たちの姿が重なる。
「この一手はみんなの一手 私に宿った——みんなの一手」
そして対戦相手が静かに告げる。
「おめでとうございます ますますのご躍進をお祈りいたします 佳澄碧四段」
16勝0敗。佳澄碧、四段昇段。歴史上初の女性棋士誕生。
奨励会員たちが沸き立ち、胴上げが始まる。
記者が駆け込み、狩房あやめが涙を流しながら叫ぶ。
「ようやった!!ようやったで碧!!女だって棋士になれるんやドアホウ!!」
しかし佳澄碧本人は、喧騒を抜け出して一人軽やかに踊っていた。
「みんな見ててくれたかな」
そこへ夕飛が現れ、「そこのお嬢さん、僕と踊りませんか」と手を差し伸べる。
「あら わたしのエスコートができて?」
「お約束はできませんが こころを込めて精進します」
二人は踊る。
日本将棋連盟が発足してから、女性の棋士は誕生していなかった。
佳澄碧の四段昇段は——新時代開幕を告げる、高らかなるファンファーレである。
盤上のオリオン 第105話 X(旧Twitter)での反応
盤上のオリオンはいいぞおおおおおお碧!!
— 甲斐_せんだい☪🐾 (@kai_dog) July 21, 2026
盤上のオリオン最高におもろいぞ!
— たねかず@ミューレの犬(群) (@ituka_yaseru) July 21, 2026
盤上のオリオン 第105話 感想・考察・まとめ
「この一手はみんなの一手」——積み重なった時間の重さ
「この一手はみんなの一手 私に宿った——みんなの一手」
この一言が今回際立っていた。
盤上に重なる、過去に佳澄碧に関わった人たちの姿。
夕飛、壬生、天戸、勉三、曽我部——そして何より、狩房あやめ。
「後はあんたに託したで碧」と泣きながら言ったあやめ。
天戸が語った「バトンリレー」。
佳澄が叫んだ「私は残夢の上に立つ」。
この作品が積み重ねてきたすべてのテーマが、たった一手に宿った。
「みんなの一手」という表現が実に正確だ。
一つの駒を指す指は佳澄碧のものだが、その一手には無数の人間の時間と想いが重なっている。
将棋とはこういうものなのかもしれない——盤上の一手は孤独な選択でありながら、決して一人では生まれない。
対戦相手の「おめでとうございます」——負けた者の矜持
今回おじさんがもう一つ深く刺さったのが、対戦相手のセリフだ。
「おめでとうございます ますますのご躍進をお祈りいたします 佳澄碧四段」
負けた側が、投了と同時にこの言葉を告げる。
「参りました」ではなく「おめでとうございます」から始まるこの一言には、
自分の敗北が歴史的瞬間の一部になるという誇りと、佳澄への純粋な敬意が込められている。
ブルパカに対してだったが、木佐貫昇太が「喜んで踏み台になろうと思う」と言っていたことを思い出す。
この対戦相手もまた、踏み台であることを誇りとして受け入れた棋士だ。
勝者だけが歴史を作るのではない。この「おめでとうございます」もまた、歴史の一部だ。
勉三・曽我部・奨励会員たちの爆発——喜びのカオス
「でかしたでござる!!でかしたでござる!!感無量なりけり!!」と絶叫する勉三。
「やったぜ碧!!初の女性棋士だ!!」と叫ぶ曽我部。
「歴史的快挙だ さすが僕の佳澄さん!!」「カラオケ予約しろ 今日はうたげだ!!」と沸き立つ奨励会員たち。
この場面のカオスな喜び方がたまらなく好きだ。
格調高い感動と、「カラオケ予約しろ」というゼロ秒の俗っぽさが同居するこのバランス。
泣けるのに笑える。笑えるのに泣ける。
それがこの漫画の絶妙な体温だ。
そして胴上げされる佳澄碧——。
狩房あやめの涙——「ようやった!!」
「ようやった!!ようやったで碧!!どうだみたか!!老害どもが!!碧がやったったで!!女だって棋士になれるんやドアホウ!!やった!!やったなぁ碧!!はは……ちくしょう」
「ちくしょう」と言いながら涙を流すあやめ。
傍らで子供が心配そうに見つめている。
「ウチカラッポやねん かんにんや かんにんやで 碧」と号泣しながら奨励会を去ったあやめが、
105話でこの言葉を叫ぶ。
「老害どもが!!」という怒りと、「ちくしょう」という安堵と、涙が全部混ざっている。
これはあやめ一人の涙ではない。
奨励会を去っていったすべての女性棋士の涙であり、
「女には無理だ」と言われ続けた時代へのカウンターだ。
記者が駆け込む中——神社で踊る佳澄碧
「速報うて!!」「インタビューを!!歴史的インタビューを!!」と記者が駆け込む中、
佳澄碧本人は喧騒をそっと抜け出し、神社で一人軽やかに踊っていた。
「みんな見ててくれたかな」
この一言が、すべての答えだ。
記者も、ギャラリーも、世間も——佳澄が向いている方向はそこではない。
辞めていった仲間たち、先輩たち、狩房あやめ——見えない観客席に向かって、佳澄碧は踊っている。
神社という場所も象徴的だ。
人が区切りを報告し、感謝を告げる場所。
佳澄碧にとってこの瞬間は、世間への宣言ではなく、関わってくれたすべての人への報告だったのだと思う。
【考察】この神社、実は将棋の聖地だった——鳩森八幡神社という舞台
ここで少し寄り道をさせてほしい。
なぜ佳澄碧は16勝した直後に、神社みたいなところで踊っているのか不思議だった。
やけに神社もリアルだし、なんかモデルがあると思ったのだ。
少し調べてみると過去にもコラボしていたようだ。
佳澄碧が踊っていた神社、おじさんはおそらく鳩森八幡神社(東京都渋谷区千駄ヶ谷)ではないかと思っている。
鳩森八幡神社とは何か。
千駄ヶ谷駅から徒歩3〜5分、創建は平安時代初期・貞観2年(860年)という歴史ある神社だ。
都内最古の富士塚「千駄ヶ谷の富士塚」が現存し、東京都の有形民俗文化財にも指定されている。
そして——この神社の隣に、日本将棋連盟の将棋会館がある。
境内には将棋連盟から奉納された大駒を納めた「将棋堂」が建立されており、
日本将棋連盟の代表・棋士・将棋ファンが参列する「将棋堂祈願祭」も毎年執り行われている。
棋士からの崇敬も篤く、「将棋神社」とも呼ばれる聖地だ。
思い出してほしい。
13話で千葉省吾が夕飛に告げた言葉——「千駄ヶ谷で待ってるぜ」。
将棋会館のある千駄ヶ谷。その将棋会館の隣に建つ、将棋の神様を祀る神社。
佳澄碧が歴史的昇段を果たしたその日に踊った場所が、将棋の聖地の隣だったとしたら——これは偶然ではなく、作者・新川直司先生の計算された舞台設定だと思う。
将棋会館で歴史を作り、将棋の神様の御前で踊る。
「みんな見ててくれたかな」という言葉が、神社という場所でさらに深く響く。
見えない観客席の中には、将棋の神様も含まれているのかもしれない。
鳩の森——その名の通り、鳩が飛び去ったことで生まれた神社だ。
かつて鳩が飛んだ森で、今日、新しい時代が羽ばたいた。
「そこのお嬢さん、僕と踊りませんか」——夕飛、最高の登場
そこへ現れる夕飛。
記者が探し回る喧騒をどこかに置いて、ただ神社に来て、一言。
「そこのお嬢さん 僕と踊りませんか」
佳澄は笑いながら返す。
「あら わたしのエスコートができて?」
「お約束はできませんが こころを込めて精進します」
この会話だけで、二人の関係性のすべてが詰まっている。
エスコートできると断言しない夕飛。
でも「こころを込めて精進します」と言える夕飛。
完璧なヒーローではなく、誠実に隣にいようとするヒーロー。
これが二宮夕飛という人間の本質だとおじさんはずっと思っている。
そして二人は踊る。
歴史的快挙の直後、記者が走り回る中、神社でただ踊る。
この漫画で一番美しい場面の一つだと、おじさんは確信している。
「私のすごい友達がね 歴史をぶち破ったの」
もう一つ忘れられない場面が、昔のライバルのシーンだ。
デート中に速報を見て涙を流す彼女が、驚く男性に告げる。
「ううん……私のすごい友達がね 歴史をぶち破ったの」
誰だったか、まえに出てきた碧のライバルだったような気がするけど、ちょっと今すぐにはでてこない…。
ただ「すごい友達が歴史をぶち破った」という事実だけが、涙とともに語られる。
歴史的瞬間は、当事者だけでなく、繋がっていたすべての人を揺さぶる。
「新時代開幕を告げる、高らかなるファンファーレ」
今回の締めの一文が、これ以上ないほど完璧だった。
「日本将棋連盟が発足してから 女性の棋士は誕生していなかった 佳澄碧の四段昇段は——新時代開幕を告げる、高らかなるファンファーレである」
「ファンファーレ」という言葉がいい。
ゴールではなく、始まりの音だ。
佳澄碧が女性初の棋士になったことは、終わりではなく新しい時代の幕開けに過ぎない。
これからまだ、物語は続く。
そして読者としても思う——茅森月はこれからどうなるのか。
夕飛は久慈彼方とどう戦うのか。
壬生は本当に茅森月を竜王にするのか。
105話は一つの山を越えた話だったが、同時に次の山への入り口でもある。
ゴールがスタートラインになるこの作品の重要なテーマだ。
こんな漫画に出会えてよかったと、心の底から思いました。
来週も、待ちきれません。
もっと読む
キャラクターや将棋用語をじっくり知りたい方は → 盤上のオリオン まとめ・一覧
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