弱虫ペダルで人気のキャラクター巻島、小野田坂道が心から慕った伝説のクライマーの魅力を徹底解説していきたいと思います。
千葉総北高校の元エースクライマー・巻島裕介。緑色の派手な髪、語尾の「〜ショ」、そして誰にも真似できない変則ダンシング。本編ではわずかな登場ながら、坂道の自転車人生に決定的な影響を与えた男です。
この記事では、本編での名場面・名言に加えて、スピンオフ漫画「SPARE BIKE」で描かれた高校1年生時代のエピソードもあわせて、巻島裕介という男の全体像をまとめます。
「SPARE BIKE」該当話数はspare.1〜4、spare.18〜21を参照しています。
プロフィール
| 項目 | 内容 |
| 所属 | 千葉総北高校(卒業後:イギリス・トールウェッソン大学へ留学) |
| 学年 | 3年生(小野田たちの2つ上の先輩) |
| 脚質 | クライマー |
| 身長・体重 | 176cm/62kg |
| 誕生日 | 7月7日 |
| 異名 | 頂上の蜘蛛男(ピークスパイダー) |
| 愛車 | GIOS(白い車体に碧いロゴ)→ TIME(白い車体に赤いロゴ) |
| 特技 | 自己流の変則的なダンシング(自転車を大きく左右に傾ける独特のフォーム) |
| 口癖 | 語尾に「〜ショ」 |
| 声優 | 森久保祥太郎 |
見た目も性格も、正直「一般受け」するタイプではありません。愛想笑いをすればキモがられ、コミュニケーションも決して得意ではない。それでも坂道をはじめ、周囲から確かに慕われる男――それが巻島裕介です。
逸話:部室の壁に空いた「穴」の正体
本編の間には出てこない、SPARE BIKEならではの小ネタから紹介します。
総北の自転車部の部室には、ポスターの下に隠れるように大きな穴が空いています。鳴子がそれを見つけ、坂道に「誰が開けたんやろな」と話していたところ、通りがかった巻島がひとこと。
「その穴か 開けたのはオレっショ」
その理由が語られるのが、巻島がまだ「登りの巻島」になる前――つまり才能が開花する前の1年生時代の物語です。
巻島裕介はどんなキャラ? 不器用で、でも自己流を曲げない男
弱虫ペダル本編において、巻島は「自己流を貫く」ことの尊さを体現するキャラクターです。
自称リアリストで皮肉屋、口下手で愛想も悪い。けれど根は仲間思いで優しく、後輩にクライマーがいなかった総北に坂道が現れたときは、誰よりも喜んだと言われています。
技術的な指導が得意なタイプではないため、坂道にかけた言葉はとてもシンプルでした。
「小野田ヨ、1年生レースでお前は何を手にした?」「うっすら見えてんだろ、自分のスタイルが」「だったらそいつを磨けっショ、貫けっショ」
このアドバイスが、後にハイケイデンス型クライマーとして開花していく坂道の原点になります。「型」を教えるのではなく「自分のスタイルを信じろ」と背中を押す――このスタンスこそが、巻島という男の本質です。
名場面1:SPARE BIKEで描かれた“才能開花”の瞬間
SPARE BIKE spare.1〜4では、巻島がまだ上級生に「変な走り方」と笑われていた、無名の1年生だった頃が描かれます。
浮いていた入部当初
緑色の髪で高校デビューした巻島は、初日から教師に注意される、周囲から距離を置かれるなど、なかなかうまくいきません。それでも自転車部に入部し、得意分野を聞かれて即答します。
「登りッス」
しかし披露した自己流のダンシング――自転車を大きく傾けて漕ぐ独特のフォーム――は、先輩たちに「基本がなってねー」「変なダンシング」と笑われてしまいます。フォームを直されそうになった巻島の本音は、こうでした。
「自転車は自由だ 直さなくていいしょ」
キャプテン寒咲の言葉で見つけた「本音」
平地が遅く、なかなか結果も出せない巻島。そんな彼にキャプテン・寒咲通司が声をかけます。
「自転車は好きか」
巻島が「好きです」と答えると、寒咲は続けます。
「自転車てのはよ気持ちがのっかる乗りもんなんだ。だからそういう自分の心の底から出るもん、大事にしろ」
この言葉をきっかけに、巻島は他人と同じ速さや器用さではなく、「オレはこのスタイルで登りたいんショ!!」という自分だけの答えにたどり着きます。
峰が山ヒルクライムでの衝撃デビュー
その後、部活後もひとりで夜間練習を重ね、成果を部室の壁に「正」の字で記録し続けた巻島。周囲に隠れて積み上げた練習量を見た寒咲は、まだ1年生の彼を峰が山ヒルクライムのエントリーに抜擢します。
レース本番、先輩たちを尻目に独走を始める巻島。観客からは「クモみたいだ」と驚かれるほどの変則ダンシングで、並み居る強豪を突き放していきます。
「きもちいいショ 脚ガチガチだけどキモチいいショ やっぱそうだ オレの思った通りだったっショ」
コースレコードでフィニッシュした巻島に、寒咲がかけた言葉が痺れます。
「貫け巻島!!それでいいんだよ」
こうして「登りの巻島」が誕生し、冒頭の部室の壁の穴の真相――怖い先輩に自主練の跡がバレそうになり、夜こっそり忍び込んで壁ごと切り取った、というオチが明かされます。まさに巻島らしい、不器用で人間味あふれるエピソードです。
名場面2:東堂尽八との“ラストクライム”(1年目インターハイ1日目)
本編で最も語り継がれる名場面が、箱根学園のライバル・東堂尽八との山岳決戦です。
3年生になった巻島と東堂は、高校最後のインターハイの山岳リザルトで決着をつけると約束していました。しかし、坂道が集団落車に巻き込まれて最下位に転落してしまい、坂道が引くはずだったチームを、巻島自身が代わりに引かなければならない事態に。
一度は勝負を諦めかけた巻島でしたが、「3分あれば追いつく」と坂道を信じて待ち続けます。そして坂道の伝説的な「100人抜き」がその信頼に応え、巻島は東堂との勝負の舞台へ向かうことができました。
死力を尽くした一騎打ちの結果は、僅差で東堂の勝利。しかし敗れた巻島の表情は、驚くほど晴れやかなものでした。この一戦をきっかけに、二人は「巻ちゃん」「尽八」と呼び合う永遠のライバルになっていきます。
名場面3:SPARE BIKE「巻島裕介編」――フレームを乗り換えた日
SPARE BIKE spare.18〜21では、峰が山ヒルクライムで優勝を果たした後、巻島の愛車GIOSに深刻なヒビが入ってしまうエピソードが描かれます。
自己流を封印する苦悩
こだわり抜いたフレームを壊すわけにいかず、巻島はダンシングを封印して“いたわりながら乗る”選択をします。しかし本来の走りを失った巻島は、次のレースで86位という屈辱的な結果に終わり、心配して声をかけてくれた金城にまで八つ当たりしてしまいます。
偶然たどり着いた自転車店の正体
自己嫌悪の中、街で見かけた白いフレームに惹かれ、こっそり自転車店に通うようになる巻島。ところが、その店の店主は実はキャプテン・寒咲の実家「神崎自転車店」でした。気まずさに帰ろうとする巻島を、寒咲は引き止めます。
そして、巻島の壊れたフレームを見抜いた寒咲が放った言葉が、この編最大の名言です。
「乗ることはできても、パフォーマンスは出せない」「”乗れる”と”乗りたい”は違う」
「フレームとダンシング、ひとつ。どちらもはとれない。捨てる覚悟をしろ。その覚悟は、必ずお前を一歩強くする!!」
ピークスパイダー、誕生
新しいTIMEのフレームに乗り換えることを決めた巻島は、柏東高校との交流戦で、ライバル(?)広川との真剣勝負に挑みます。新フレームと共に自己流ダンシングを解き放った巻島の走りに、広川は驚愕。
「なんだまるで……頂上の蜘蛛男、ピークスパイダー」
そう、本編で使われる異名「ピークスパイダー」は、このSPARE BIKEのエピソードで誕生した呼び名だったのです。
そして何より興味深いのは、この物語で乗り換えた白いフレームに赤いロゴのTIMEこそが、後に本編5巻で坂道が初めて目にする巻島の愛車として登場する、あの自転車だということ。スピンオフと本編がしっかり繋がっている、ファンにはたまらない伏線回収です。
巻島裕介の名言集
坂道へ贈った言葉
- 「小野田ヨ、1年生レースでお前は何を手にした? うっすら見えてんだろ、自分のスタイルが。だったらそいつを磨けっショ、貫けっショ」
- 「得意なもんが一つだけあって、そいつにフタをされたら、そん時どうする? 突破するっきゃないっショ」
別れの言葉(イギリス留学前)
突然の退部と留学を告げられ、呆然とする坂道にかけた最後の言葉です。
「オレはいつでもおまえと走ってるショ」
「そう思えば勝負なんざいつでもできる」
「だから抜け、強くなれ」
「オレたちの総北をたのむぜ坂道」
2年目インターハイ、再会の言葉
翌年のインターハイ最終日、ゴール勝負の最中に坂道へ届いた言葉。留学前の言葉と呼応する、師弟の絆を象徴する一言です。
「オレはいつでもおまえと一緒に走ってる! だから、オレを抜けショ坂道ィ!」
SPARE BIKE時代の口癖
- 「自転車は自由だ」
- 「仕方ない…仕方ないショ」(本音を隠すときの決まり文句)
突然の退部とイギリス留学、そして帰国
3年目のインターハイ後、巻島はイギリスで独立している兄の仕事を手伝うため、9月に突然部を退部し、そのままイギリスへ留学します。同級生にも直前まで伝えていなかったといい、坂道や東堂にとっては青天の霹靂でした。
坂道は返事のない手紙をこまめに送り続け、東堂は巻島が留学した大学の日本の姉妹校に進学するほど。それだけ二人にとって巻島の存在が大きかったことがうかがえます。
心の支えを失った坂道は、いわゆる「巻島ロス」のスランプに陥りますが、峰ヶ山ヒルクライムでの追い上げの最中、頭の中によぎった巻島の走る姿にこう自問自答します。
「巻島さんより速いか」と問われ、坂道は答える。「いえ、なぜなら、巻島さんは世界一速くてカッコイイクライマーだからです」
物理的に離れていても、心の中では常に繋がっている――。坂道が2年目のインターハイ期間中には帰国し、坂道や東堂と再会を果たしています。
SPARE BIKEで見えてきた巻島裕介の“素顔”
本編の巻島は、すでに「登りの巻島」として完成されたクライマーとして登場します。しかしSPARE BIKEが描くのは、その前段階――誰にも理解されず、自分のスタイルに悩み、時に隠し、時に開き直る、等身大の1年生でした。
- ずっと一人で走ってきた孤独と、それでも自転車が好きという純粋さ
- 「基本」を押し付けられても曲げなかった不器用な頑固さ
- キャプテン寒咲の言葉で「本音」に気づき、覚悟を決める成長
- 金城・田所という同期との、ぶつかり合いながらの友情の芽生え
坂道が本編で受け継いだ「自分のスタイルを信じろ」というメッセージは、巻島自身がSPARE BIKEの中で寒咲から受け取り、もがきながら証明してきたものだったとわかります。
まとめ
巻島裕介は、派手な変身も大声の名乗りもない、静かで不器用な男です。しかし「自分のスタイルを貫く」という一点において、弱虫ペダルという作品全体のテーマを最も体現しているキャラクターだと言えるのではないでしょうか。
本編での東堂とのラストクライム、坂道への不器用な言葉、そしてSPARE BIKEで描かれた1年生時代の苦悩と峰が山ヒルクライムでの覚醒、フレームを乗り換えた“覚悟”の物語。
どのエピソードを切り取っても、「自転車は自由だ」という巻島裕介の生き方が一貫しているのが、彼が今なお人気投票で上位に入り続ける理由なのだと思います。

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