週刊少年チャンピオン(2026/9/3発売 Vol.40)掲載の弱虫ペダル最新話の感想、考察をお届け。
以下、ネタバレありますので、ご注意ください。
弱虫ペダル RIDE.878(第878話) 最新話 あらすじ(ネタバレ注意!)
前回までのあらすじ
山岳賞争いの六代と扉間。
そこへ後方から追走者、京都伏見の木利屋が現れる。
山岳ラインまで残り3km——三者が揃った。
扉間・六代・木利屋の三者がついに横並び。
やはり力不足によりのこり2キロで木利屋は失速。
扉間と六代の争いとなる。
ジャージを頭からかぶるという奇妙な格好とともに、六代のペースが一気に上がる。
勝負の行方はいかに!?
前回の感想記事はこちら → 【弱虫ペダル RIDE.877】ジャージを被った男、六代の“ビーストモード”覚醒
今回のあらすじ
山岳ラインの手前、土壇場で六代が扉間に追いつきます。
箱根学園が足をゆるめていたわけではないのに追いついてきた総北の速さに、観客からも驚きの声が上がります。
ただ、その姿はどう見ても異様です。ジャージを頭からすっぽりかぶった格好は二人羽織のようにも見え、沿道からは戸惑い混じりの声が飛びます。
山岳ラインまで残り1.3km。総北と箱根学園、一対一の構図に戻り、奇妙な格好の6番に思わず声援を送りはじめる観客まで現れます。
そして扉間は、自分がいま動揺しているということを、六代に向かって正直に口にします。
クリフバタフライを発動し、十分に引き離せるだけの速度で踏んでいた。
山岳ゼッケンはもう手中にあると思っていた。
それなのに追いつかれた——。
しかし何を問いかけても、六代から返ってくるのは「がう」という唸り声だけです。
それどころか六代は、目の前に差し出された扉間の手にがぶりと噛みつきます。
かろうじて絞り出した言葉も、覚えたての言語を話すモンスターのようなたどたどしさで、扉間の混乱はいよいよ頂点に達します。
チームのミーティングでは、総北の6番は平凡な選手で、警戒すべき固有の技などは確認されていないと共有されていたはずでした。
これは絶対に固有の技だ——そう思いながら、扉間は自分が揺れていることに気づきます。
ゴール前で動揺したせいで一位を逃してきた過去を思い出し、深呼吸をひとつ。
追いつかれたのなら、また引き離せばいいだけのこと。
冷静さを取り戻した扉間が、必殺技の名を口にしかけた、そのときでした。
六代が、扉間の背に生えた蝶の羽に食らいつき、噛みちぎってしまいます。
ここから場面は、扉間の中学時代へと移ります。
バスケ部に所属しながら自転車にも乗っていた扉間は、友人から神奈川のレース会場で無双している新開兄弟の話を聞かされます。
兄はもう大学生になるが、弟のほうは一つ上。あいつを倒せば一躍有名人になれるのではないか——その一言で、扉間の野心に火がつきます。
サイクリングロードでは敵なしだと自負していた扉間は大会へ出場して優勝を果たしますが、中学生は高校生の大会には出られないと知らされ、対戦はお預けになります。
一年後、自転車で名を上げるために箱根学園へ進学した扉間は、入部初日からいきなり新開悠人へ勝負を挑みます。
しかし、その日の練習で申し込んだ三つ目の峠での対決は、まったく歯が立たない完敗でした。
あの斜度をあのギアでどうして登れるのか理解できない。しかも相手は息すら上がっていない——。
それでも扉間は引き下がらず、先に下りようとする悠人を呼び止め、もう一度、いや二度と食い下がります。
いつまで続けるつもりなのかと問われた扉間の答えは、自分が勝つまで。
回想が終わり、現在の扉間は自分に言い聞かせます。ひるむな、揺らぐな。
自分は理解できないものを乗り越えて、ここまで来た男なのだ——そう自らを定義し直したところで、物語は次号へと続きます。
弱虫ペダル RIDE.878(第878話) x(旧twitter)での反応
今週も六代可愛いな…w
この手前数ページで目覚めろ野生とか言い出して焦ったけど、もムシャムシャ…からのがう!!で持ってかれたwww#弱虫ペダル pic.twitter.com/KTwb83a2cy
— 御神楽@P垢 (@reki1000mkgrP) September 2, 2026
弱虫ペダルのッテ君。相手のジャージ食ったり手噛んだり危険行為で反則じゃないんかな。ジャージに噛みついて引っ張ってる時点でゴッドハンドキャプテン並の卑劣さ。どうやって口まで届いているかは置いといて。
— さくらもっち2号機🍳 (@mk2_orz) September 3, 2026
弱虫ペダル RIDE.878(第878話) 感想、まとめ、考察
獣が蝶を喰う。この構図を思いついた時点で勝ちでしょう
今回いちばん唸ったのは、ビーストモードがクリフバタフライを”捕食”したという構図です。
扉間の必殺技である崖の上の蝶(クリフバタフライ)は、これまで背中に蝶の羽が生えた絵で表現されてきました。
一方の六代は、ジャージを頭からかぶって唸り声を上げる獣です。
その獣が、技の名を言い終わる前に蝶の羽そのものに噛みついて、噛みちぎってしまう。
必殺技を「速さ」で上回るのではなく、イメージごと食べてしまうという発想、このおじさんは膝を打ちました。
しかも六代は前回、木中がくれた掛け声で「野性」を呼び起こしたばかりです。
呼び起こした野性が最初にやることが「捕食」だというのは、理屈としてはちゃんと通っています。
「がう」しか言わない六代と、じわじわ崩れていく扉間
今回の笑いどころは、間違いなく会話が一切成立していないところです。
扉間がどれだけ真剣に問いかけても、返ってくるのは唸り声だけ。やっとしゃべったと思えば覚えたての言葉のようなたどたどしさで、ツッコミが完全に空回りしています。
ただ、これは単なるギャグではないと思うんですよね。
六代はもともと元バスケ部マネージャーという異色の出自で、相手をよく観察して分析するタイプの選手でした。
その六代が言葉を捨てて、考えることをやめて走っている。
前回、木中が掛け声というかたちで「考えるな」を置いていった意味が、ここでしっかり効いています。
観察して分析する六代にとって、いちばん難しかったのは頭を空っぽにすることだったのかもしれません。
高田城のスカウティングが外れた、この一点が効いている
個人的にグッときたのが、箱根学園のミーティングで六代が平凡な選手と評価されていたという事実です。
高田城といえば、真波を支えた「高田城ノート」の伝説でも知られる、箱学随一の頭脳役です。
その男の分析が、真正面から外れた。
データに載らない選手が、データに載らないやり方で王者の計算を狂わせている。
小野田坂道が一年生のときにやっていたことを、今度は六代がやっているわけです。
こういう「総北の無名が箱学の想定を壊す」構図が世代を超えて繰り返されるの、長期連載ならではの気持ちよさがありますね。
箱根学園の3年目のメンバー構成や、それぞれの役割をおさらいしたい方はこちらもどうぞ。
高田城がどういうポジションの選手なのかを知っておくと、今回の「読みが外れた」という一点の重みが変わってきます。
扉間の原点が「バスケが下手だったこと」なの、好きすぎる
そして今回の白眉は、後半の回想パートです。
扉間が自転車を始めた理由が、バスケアニメにハマったのにバスケ自体は下手だったから、というのがもう最高でした。かっこよくもなんともない、めちゃくちゃ身近な動機なんですよね。
しかも彼が最初に掲げた目標は「強くなりたい」ですらなく、有名になりたいです。
強豪を倒せば一躍有名人になれるのでは、という不純とも言える動機で箱根学園の門を叩いている。
ここで思い出してほしいのが、六代もまた中学時代はバスケ部にいたということです。
しかも六代は選手ではなくマネージャーで、よく転ぶ扉間の手当てをしていた側でした。
バスケでうまくいかなかった二人が、そろって自転車に乗り換えて、いま山岳賞を争っている——この対称性、意識して描いていないわけがないと思うんです。
一方は分析するマネージャーとして、一方は空回りする選手として過ごしたあの体育館の日々が、九州の登り坂で答え合わせされている感じがして、じんわり来ました。
六代がどういう経歴で総北にいるのか気になった方は、こちらもあわせてどうぞ。
新開悠人という壁と、「理解不能を超えてきた男」という自己定義
回想でもうひとつ効いているのが、扉間が挑んだ相手が新開悠人だったという点です。
峠でまったく歯が立たず、なぜあの斜度をあのギアで登れるのか理解できないと打ちのめされる扉間。
普通なら心が折れる場面ですが、彼は先に下りようとする悠人を呼び止めて、もう一回、いや二回と食い下がります。
いつまでやるのかと聞かれて「勝つまで」と答えるあの往生際の悪さこそが、扉間蘭樹朗という選手の芯なんだと思います。
そして回想明け、扉間は自分を理解できないものを乗り越えてきた男だと定義し直します。
新開悠人の登りが理解できなかった一年前と、六代のビーストモードが理解できない今。
構造がぴったり重なっていて、しかも一年前の彼は「勝つまでやる」と言って食い下がった。
だとすれば今回も、扉間は理解できないまま食い下がるはずです。
理解してから勝つのではなく、理解できないまま勝ちにいく。
871話で六代が「あっちい男がクールになった」と評した、あの熱さと冷静さの同居にもきれいにつながってきます。
ちなみにこれは、少し切ない話でもあります。
悠人はもともと「新開隼人の弟」として見られることに複雑な思いを抱え、兄と同じスプリンターではなく登る道を選んできた選手です。
その悠人に、扉間は「新開弟を倒せば有名になれる」という、彼がいちばん言われたくないであろう理由で近づいている。
有名になりたい後輩と、名前から逃れたい先輩——いつか正面から掘られたら、相当に重い話になりそうです。
次号への期待
山岳ラインまで残り1.3km。
技を食べられた扉間がどう立て直すのか、そして言葉を失った六代がどこまで走れるのか。
正直、六代のあの状態がいつまで保つのかは相当に怪しいところで、覚醒には反動がつきものというのが弱虫ペダルのお約束でもあります。
一方の扉間も、動揺を認めた上で腹をくくったばかりです。
元バスケ部の一年生二人が、九州の山で山岳ゼッケンを取り合う。
こんなに愛おしい構図はなかなかありません。
来週が待ちきれません!!
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それぞれのチームのIHメンバーや戦績をじっくり知りたい方は → 弱虫ペダル まとめ・一覧
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