週刊少年マガジン掲載の漫画 盤上のオリオン最新話の感想、考察をお届け。
以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。
盤上のオリオン 第94話 最新話 あらすじ(ネタバレ注意)
前回までのあらすじ
妖怪大戦争のような殺気を放ちながらも、いつも通りおごりの話をする二人。
佳澄碧13勝0敗。
茅森月10勝3敗。
プレッシャーを感じながらも、茅森を「堂々たる対局者」と認める佳澄。
ついに、運命の第14戦が始まる。
茅森月の影響
勉三「昇段と女性初の棋士の座を争う二人の対局は目が離せぬでござる」
勉三「しかしながらそんなことよりも茅森殿が来てからの佳澄殿の安定感たるや目を見張るものがある」
三段リーグ第14戦開始
中飛車vs相中飛車
茅森殿はやはり中飛車。
相中飛車。
木村美濃
佳澄「へぇ、4六歩。意外ね。神速を尊ぶあなたが厚く陣形を敷くか」
佳澄「これは、木村美濃」
すべてを捨てて
佳澄「薫陶が行き届いているじゃない、夕飛。古臭い戦術引っ張り出してきて」
佳澄「なりふりかまわず私を倒しに来たか」
盤上のオリオン 第94話 X(旧Twitter)での反応
盤上のオリオンで解説しとる勉三さんは自分の試合せんでええんか?
— 理澄 (@rhyth_moon) April 7, 2026
マガジン 盤上のオリオン 流石にこの一戦は力の入れようが違うな
— 鈴木字美 (@S_nery) April 7, 2026
盤上のオリオン 第94話 感想・考察・まとめ
「鬼に堕ちるしかないわ」という宣告
回想シーンで語られる佳澄の言葉。
「お供をツレて桃太郎になるか、あなたも鬼に堕ちるしかないわ」
この言葉、深いですね。
桃太郎は、鬼を退治する正義の味方。
犬、猿、雉をお供に連れて、鬼ヶ島へ向かう。
でも、将棋の世界に正義はない。
お供を連れて集団で戦うこともできない。
一人で、盤を挟んで戦うしかない。
だから、鬼に堕ちるしかない。
鬼=将棋に全てを捧げる者。
遊戯に狂った鬼。
前回、生方の話で出てきた「鬼ヶ島」の住人。
茅森は、その鬼になった。
佳澄を倒すために。
四段に昇段するために。
女性棋士になるために。
全てを捨てて、鬼に堕ちた。
この覚悟が、今回の対局に表れています。
「良きライバル関け…ィ」という悲鳴
勉三の解説が面白い。
「茅森殿が来てからの佳澄殿の安定感たるや目を見張るものがある」
「前期までのムラが消え盤石の将棋は王者の風格さえただよわせる」
「あきらかに茅森殿の影響であろう」
この分析、的確です。
佳澄は、茅森が来てから変わった。
ムラがなくなった。
安定した。
それは、追いかけてくる存在がいるから。
負けられない相手がいるから。
そして、勉三が言おうとする。
「二人は良きライバル関け…ィ」
この「ィ」(笑)。
おそらく、二人の殺気に気圧されて言葉が途切れたんでしょうね。
「良きライバル関係」と言おうとした瞬間、
ドロドロドロドロドロどエロ
という効果音とともに、凄まじい殺気が放たれる。
この演出、最高です。
「クツなめろ」vs「殺殺殺」
佳澄「クツなめろクツなめろクツなめろ」
茅森「殺殺殺」
この二人の心の声(笑)。
佳澄は「クツなめろ」。
完膚なきまでに叩きのめして、屈服させる。
そういう意味でしょうね。
茅森は「殺殺殺」。
もう、殺意しかない。
「良きライバル関係」とは程遠い心理状態(笑)。
でも、これが本音なんでしょう。
お互いに、絶対に負けたくない。
相手を倒したい。
その純粋な欲望が、この心の声に表れています。
そして、審判の「時間です。始めてください」という冷静な声。
この温度差が、面白い。
周囲は冷静なのに、当人たちは殺気立っている。
でも、夕飛は普通に「お願いします」と言う。
この対比が、緊張感を高めています。
中飛車とは―攻めの戦法
さて、ここで「中飛車」という戦法について解説しましょう。
中飛車とは、飛車を中央(5筋)に配置する戦法です。
将棋盤は9×9のマス。
初期配置では、飛車は右端(2筋)にいます。
それを中央(5筋)に移動させるのが中飛車。
中央から圧力をかけ、攻撃的に戦う戦法です。
茅森の棋風である「速攻」「超攻撃的」に合っている。
だから、茅森は中飛車を得意としているんですね。
相中飛車とは―同じ戦法での対決
そして「相中飛車」。
これは、お互いが中飛車を採用した状態を指します。
「相」は「あい」と読み、「相居飛車」「相振り飛車」などの用語があります。
お互いが同じ戦法を取る。
これは、力と力のぶつかり合い。
同型戦は、実力差が出やすい。
佳澄も中飛車で受けて立つ。
これは、真っ向勝負の宣言です。
逃げない。
同じ土俵で戦う。
その覚悟の表れ。
アマ竜王戦の再現―前回と同じ展開
茅森が気づく。
「来やがったなアマ竜王戦の再現」
「24手目1四歩。ここまでは完璧に前回の再現」
かつて、アマ竜王戦で二人は戦いました。
その時も、相中飛車。
そして、同じ手順で進んでいる。
24手目まで、完全に一致。
これは、佳澄が意図的に再現しているんでしょうね。
前回と同じ展開にして、茅森の反応を見る。
前回勝った将棋を、もう一度指す。
それは、心理的なプレッシャーになる。
「またあの時のように負けるのか?」
という不安を植え付ける作戦。
でも、茅森は気づいている。
そして、宣言する。
「再現だって?再現なんかさせるかよ」
この決意が、次の一手に表れます。
超攻撃手6六銀―前回と同じ展開!?
佳澄は、再現を続けている。
前回勝った将棋をもう一度指す。
これは、将棋でよくある戦術です。
勝った将棋は、再現したくなる。
同じように指せば、また勝てるかもしれない。
でも、相手も研究してくる。
前回の敗因を分析し、対策を練ってくる。
茅森がどう対応するか。
佳澄は、それを試している。
4六歩という意外な手―茅森の変化
そして、茅森が指す。
4六歩。
佳澄が驚く。
「へぇ、4六歩。意外ね」
これは、前回とは違う手なんでしょう。
佳澄の予想を裏切る一手。
「神速を尊ぶあなたが厚く陣形を敷くか」
厚く陣形を敷く=守りを固める
茅森の棋風は、速攻。
守りより攻め。
でも、今回は違う。
守りを固めている。
これが、茅森の成長。
己の美学を捨てた。
「猪突猛進では獲物にしかならない」
佳澄の言葉が、鋭い。
「猪突猛進一辺倒では狩人の脅威にあらず。その日の獲物にしかならない」
この比喩が、的確。
猪突猛進=考えなしに突進すること。
猪のように、まっすぐ突っ込む。
確かに、それは脅威になる。
でも、狩人(佳澄)にとっては、狩りやすい獲物でもある。
パターンが読める。
対策が立てられる。
だから、茅森は変えた。
猪突猛進をやめた。
狩人の脅威になるために。
獲物ではなく、対等な存在になるために。
木村美濃とは―戦前最強の名人の戦術
そして、佳澄が気づく。
「これは、木村美濃」
勉三も解説する。
「戦前最強の棋士、木村義雄十四世名人の得意戦術」
木村美濃(きむらみの)。
これは、将棋の囲い(玉を守る陣形)の一つです。
木村義雄十四世名人(1905-1986)が得意とした戦術で、その名が冠されています。
木村義雄は、戦前から戦後にかけて活躍した大棋士。
「戦前最強」と称される伝説的な存在。
その木村名人が得意とした美濃囲いの一種が、木村美濃。
特徴は「手厚く攻守ともにすぐれた布陣」。
守りが堅く、攻めにも転じやすい。
バランスの取れた戦術。
ただし、手数がかかるというデメリットもあります。
陣形を整えるのに時間がかかる。
だから、速攻を好む棋士は使わない。
茅森月が木村美濃を採用した。
これは、驚きなんです。
超攻撃的な茅森が、手厚い守備的戦術を取る。
これは、棋風を変えたということ。
夕飛の薫陶―師匠の影響
佳澄が気づく。
「薫陶が行き届いているじゃない、夕飛」
薫陶(くんとう)=教え導くこと。
茅森がこの戦術を使えるようになったのは、夕飛が教えたから。
前回、夕飛は月の対策を手伝っていました。
佳澄対策として、木村美濃を教えた。
そして、月はそれを習得した。
実戦で使えるレベルまで、身につけた。
これが、茅森の努力です。
得意戦法ではない戦術を、短期間で習得する。
それは、並大抵のことじゃない。
でも、茅森はやった。
佳澄を倒すために。
佳澄は、それを「古臭い戦術」と言います。
確かに、木村美濃は古い戦術。
現代将棋では、あまり使われない。
でも、古臭いからこそ、対策が難しいこともあります。
最新戦法は、研究されている。
でも、古い戦法は、忘れられている。
だから、意表を突ける。
茅森は、そこまで考えて選んだのかもしれません。
「すべてを捨て、己の美学を捨て」
佳澄の言葉が、茅森の覚悟を表しています。
「そう、すべてを捧げて追いかけてこい」
「すべてを捨て、己の美学を捨て私を追いかけてきた」
「なりふりかまわず私を倒しに来たか」
己の美学=茅森の棋風。
速攻、超攻撃的、猪突猛進。
それが茅森月という棋士の美学でした。
でも、それを捨てた。
佳澄に勝つために。
勝つためなら、自分のスタイルも変える。
これが、「すべてを捨てた」ということ。
プライドも、こだわりも、美学も。
全部捨てて、勝利だけを求める。
なりふりかまわず=体裁を気にせず、手段を選ばず。
カッコ悪くてもいい。
自分らしくなくてもいい。
勝てばいい。
その覚悟が、木村美濃という選択に表れている。
佳澄は、それを認めている。
「なりふりかまわず私を倒しに来たか」
この言葉には、敬意が込められている。
茅森の覚悟を、佳澄は認めた。
そして、身震いしている。
こんな相手と戦える喜び。
こんな覚悟を持った相手と盤を挟める幸せ。
それを、佳澄は感じている。
「鬼に堕ちた」茅森月
茅森月は、鬼に堕ちました。
佳澄が言った通り。
桃太郎にはなれない。
正義の味方として、お供を連れて鬼を退治することはできない。
将棋は、一人で戦うもの。
だから、鬼になるしかない。
遊戯に狂った鬼。
すべてを捨てて、勝利だけを求める鬼。
茅森は、その鬼になった。
木村美濃という、自分らしくない戦術を選んだ。
それは、鬼に堕ちた証拠。
美しさより、勝利。
美学より、実利。
カッコよさより、結果。
それが、鬼の生き方。
佳澄の期待と興奮
佳澄は、期待している。
「すべてを捧げて追いかけてこい」
この言葉は、命令ではなく、期待。
全力で追いかけてきてほしい。
全力でぶつかってきてほしい。
そうでなければ、面白くない。
佳澄は、茅森の覚悟を喜んでいる。
「クツなめろ」と心の中で叫びながらも、
実は、こんな対局ができることを嬉しく思っている。
無敗のまま走り続けてきた佳澄。
でも、それは孤独な道でもあった。
誰も追いついてこない。
誰も本気で挑んでこない。
でも、茅森は違う。
なりふりかまわず、全力で追いかけてくる。
だから、佳澄は燃える。
この対局が、楽しみで仕方ない。
前回、天戸が言いました。
「楽しそうに三段リーグを戦っている」
それは、茅森がいるから。
追いかけてくる存在がいるから、佳澄は楽しい。
勉三さんは自分の試合しなくていいのか問題
Twitterの反応で面白いのが、これ。
「盤上のオリオンで解説しとる勉三さんは自分の試合せんでええんか?」
確かに(笑)。
勉三も三段リーグの参加者のはず。
なのに、他人の対局を解説している。
これは、おそらく勉三の対局は別の時間帯なんでしょうね。
三段リーグは、複数の対局が同時進行します。
勉三は、自分の対局が終わったか、まだ始まっていないか。
どちらにしても、この歴史的な一戦を見逃したくなかった。
だから、解説役として登場している。
それだけ、この対局が注目されているということ。
みんな、見たい。
女性棋士誕生の瞬間を目撃したい。
勉三も、その一人なんでしょうね。
まとめ―鬼vs鬼の戦いが始まった
第94話は、運命の対局の序盤でした。
鬼に堕ちるしかないという宣告。
そして、本当に鬼に堕ちた茅森月。
己の美学を捨て、木村美濃を採用する。
なりふりかまわず、佳澄を倒しに来る。
その覚悟を、佳澄は認めた。
そして、興奮している。
「クツなめろ」と「殺殺殺」。
お互いの殺意が、盤上で激突する。
中飛車vs中飛車。
力と力のぶつかり合い。
でも、茅森は変化した。
木村美濃という古い戦術で、佳澄の研究を外す。
アマ竜王戦の再現はさせない。
その意志が、4六歩という一手に込められている。
次回、この対局はどう進むのか。
茅森の木村美濃は、佳澄を止められるのか。
それとも、佳澄が上回るのか。
13勝0敗vs10勝3敗。
鬼vs鬼の戦いが、今、始まった。
歴史が動く瞬間を、私たちは見届けます。
次回も、正座して待っています。
木村美濃がどう展開するのか。
茅森の覚悟が、どこまで佳澄を追い詰めるのか。
すべてを捨てた鬼の戦いを、見届けたい。
心からそう思います。

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