5月のある日、埼玉県道沿いのファミレスで、かつてインターハイでしのぎを削った6人が偶然一堂に会するという出来事がありました。
洋南大学まとめ・明早大学まとめの各記事でも簡単に触れた“秋沢湖ロードレース後のファミレス再会”には、実はまだ紹介しきれなかった名場面がたくさんあります。この記事では、レース本編の攻防と、6人が揃うファミレスでのやり取りを、SPARE BIKEの描写に沿ってじっくりまとめます。
「SPARE BIKE」該当話数はspare.87〜92を参照しています。洋南大学・明早大学それぞれのメンバー詳細は各チームまとめ記事をご覧ください。
まさかの偶然:帰り道、同じファミレスに6人
5月、秋沢湖ロードレース大学の部を終えた洋南大学(荒北・金城・待宮)は、レースの帰りに立ち寄ったファミレスで、明早大学(福富・新開・石垣)と偶然再会します。
「あー違れと来ててえーと… おう 隼人あったワ サイフ カバンの奥に うお!?洋南や!!」
店員が案内した席は、なぜか元々座っていた洋南組の隣。福富の一言が、その理由を物語ります。
「同じ店に立ち寄って 同じ席に座らなかったら意味がないからだ!!」
このタイミングで折衷案を出す金城に、石垣が思わず唸ります。
「金城…!このタイミングで折衷案を差し込んできた さすが元総北高校のキャプテン!!」
「3人来たら3皿ずつ来たらどうする?」――注文コメディ
福富がメニューを端から端まで熟読する間、待宮と荒北はボタンを何度も押したら店員が何人来るのか、注文も何倍になるのかという無意味な思考実験で盛り上がります。
「もしかして…… 注文も3つず来たらどする?」「合計9皿か!?」
福富が「そん時は食おうかな」と乗ってしまい、荒北が呆れる一幕も。
「食うのかヨ!!」
結局注文は普通に1皿ずつ届き、待宮は9皿を想像していたぶん物足りなさを覚えます。
「テーブルいっぱいの9皿想像しとったから3皿じゃと少なく感じるワ」
ドリンクバーの順番を巡って荒北と待宮が「先に立った方が負け」というよくわからないルールで小競り合いを始め、金城が「2人とも立ったな じゃあ2人で行ってこい」とあっさり手なずける場面もありました。
「手なずけてるな金城!!」「慣れだよ」
石垣はこの掛け合いを見て、しみじみとつぶやきます。
「去年の夏にインターハイを闘った6人が それぞれが違うジャージで走った6人が 皆違う場所ー 神奈川 千葉 広島 オレは京都から 今日ー たまたま偶然集まって この埼玉の田舎の方の県道沿いのファミレスで ヒザつき合わせて座って喋っとる それってすごいことやなーと思うてな」
新開も「確かに、奇跡かもね」と応じ、荒北は元キャプテン率の異常な高さを指摘します。この場に集った6人のうち、金城・福富・石垣・待宮の4人が高校時代のキャプテン経験者という事実も、SPARE BIKEならではの気づきです。
レース本編:秋沢湖ロードレース、明早大 vs 洋南大
食事の合間、この日行われたレースの裏側が2人の視点で語られます。福富たちの明早大学は、この年“史上最弱”と噂されながらも、1年生3人(福富・新開・石垣)だけでアシストを任されるという大勝負に挑んでいました。
先輩の指示に背いた福富の決断
レース中、洋南大学の先頭2人(荒北・待宮)が仕掛けた“逃げ”に、明早の先輩は追走を許しませんでした。
「やめろ1年 勝手なことはさせないと言ったはずだ あの逃げの前には石垣と津川がいる 十分だ 下がれ」
しかし5周目の落車で状況が一変。逃げが形成されたのを見た福富は、先輩の指示に反してでも追走することを選びます。
「関係ない!! あの逃げは決まるからです!! 最後ゴール前にいたいからです!! 自分のチームが負けるのが嫌だからです!!」
先輩は福富に乗ることを決断。明早大学が動き、レースは一気に加速します。
待宮の犠牲:「呉の闘犬じゃあ!!」
一方、洋南大学の集団にも動きがありました。福富が追いついてきたことに気づいた待宮は、2年前の広島大会(インターハイ最終日、荒北との一騎打ち)を思い出し、練習不足の脚に鞭を打ちます。
「心配すんなァ金城ォ!! 追いついてみせるワ たとえ心臓バクハツしてもワシが… ワシは… 闘犬じゃ!!呉の!! 待宮 栄吉じゃあ!!」
全身全霊のブリッジで金城を先頭集団まで引き上げた待宮は、その代償として自身はレースから脱落。金城はその犠牲を胸に刻みます。
「待宮の犠牲はムダにしない! 他のチームメイトの思いは全てここにある!!」
ラストスプリント:見原 vs 盾崎
ゴール前、明早のエース盾崎と洋南のエース見原による一騎打ちに。両者を運んできたのは、金城と福富というかつてのライバル同士のアシストでした。
「お願いします見原さん」「盾崎さん!! ゴールを」
結果は洋南大学のエース・見原選手が優勝。3位には徳集館大学2年の弓川選手が入りました。福富はこの結末を「待宮のおかげ」だと素直に認める金城の言葉に、あらためて洋南大学というチームの強さを実感します。
別れ際、次戦への約束「関東東の霊峰筑波山」
食事を終え、それぞれの帰路につく6人。新開は待宮に、夏休みに広島を案内してもらう約束を交わします。
「夏の呉は島と海がブチキレイじゃからな」
そして別れ際、荒北が次のレース会場を確認する場面で、この物語は次のエピソードへと橋渡しされます。
「確か今回よりも遠くの場所… あいつにとっちゃ地元じゃなァイ? 楽しみだヨ!! 関東東の霊峰筑波山だ」
この“あいつ”とは、筑士波大学に進学した田所迅のこと。次に彼らを待っているのは、筑士波大学自転車競技部の初陣となる筑波山レースでした。
メンバーの関係性、あらためて
- 石垣と6人全員:京都から一人で来ている石垣にとって、この偶然の再会は“かつての仲間たちとの絆”を再確認する時間になった
- 待宮と金城:待宮の犠牲的なブリッジを、金城は“チームメイトの思い”として正面から受け止めた
- 福富と金城:高校時代の因縁を越え、互いのアシストへの信頼で結ばれたラストスプリント
- 荒北と待宮:相性最悪に見えて実は“通じるもんがある”と石垣が見抜いた2人
まとめ
秋沢湖ロードレースは、1年生だけのアシスト陣に懸けた明早大学と、待宮の犠牲的なブリッジで応えた洋南大学の、静かな熱戦でした。
そしてレース後、偶然立ち寄った同じファミレスで6人が再会するという奇跡。この“日常の中の奇跡”こそが、SPARE BIKE大学編の魅力だと言えるでしょう。次の舞台は、田所迅の地元となった筑波山です。
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