【ガクサン 36話ネタバレ】36冊目|うるしと歴史の勉強①。「日本の勉強なんて意味ない」帰国子女に日本史を――福山が走って買ってきた2冊と、うるしの「まだできることがある」

【ガクサン 36話ネタバレ】36冊目|うるしと歴史の勉強①。「日本の勉強なんて意味ない」帰国子女に日本史を――福山が走って買ってきた2冊と、うるしの「まだできることがある」 ガクサン

モーニング(講談社)で連載された漫画、佐原実波『ガクサン』のネタバレと感想・考察をお届け。

36冊目は「うるしと歴史の勉強①」。昼休みの書店で福山とばったり会ったうるしは、喫茶店で泣いている女性と川口さんを見かけます。女性は、帰国子女の生徒に日本史への興味を持たせたいと悩む学校の先生でした。福山が選んだ「面白い日本史の本」と、それに待ったをかけるうるし。37冊目へ続く前編です。

以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。

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ガクサン 36冊目「うるしと歴史の勉強①」あらすじ(ネタバレ注意!)

前回までのあらすじ

しをり会のテーマは電子の参考書。紙の紙面をそのまま電子にした参考書は子どもには売れないけれど、問題や答えといった「参考書の中身」には、学校向けサービスとして需要がある、と花山さんは話しました。

会のあと、ドアの外で立ち聞きしていた福山に、山崎さんは、しをり会へ来てほしい理由を打ち明けます。これからの定番シリーズを作るため、元ヒットメーカーのノウハウを借りたい。福山の答えは「会は考えておく」。そして山崎さんは、うるしちゃんのことも諦めたわけじゃない、と宣言したのでした。

前回の記事はこちら → 【ガクサン 35話ネタバレ】35冊目|うるしと電子の参考書。紙は売れない、でも「中身」には需要がある――山崎が福山に明かした「来てほしい理由」と宣戦布告

書店で手が重なって

昼休み、神保町でカレーを食べたうるしは書店へ。赤城さんが話していた小学生英語の本に手を伸ばすと、同じ本をとろうとした手と重なります。相手は、なんと福山。少女漫画みたいな出会い方を毎日顔を合わせている人と、とうるしは苦笑い。

福山によると、今の子は小学3年生から6年生まで英語に関わる授業があり、小学校では主に「話す」「聞く」を伸ばすため、歌やクイズ、ゲームが多く取り入れられているそうです。中高6年、大学でも英語をやったのに全然できない、小さいころからしゃべり慣れていたら違ったのかも、とうるし。

そこへ書店員の梅屋敷さん。ご相談係のSNSを見て勉強させてもらっている、他社の営業さんまで「ウチの本のおすすめポイントがわかりやすい」と言っていた、と教えてくれます。ありがたいけれど敵に塩を送っている気も、と笑ううるしをよそに、福山はさっさと店を出ていきました。

喫茶店で泣いていた女性

追いかけたうるしが窓越しに見つけたのは、喫茶店で向かい合う川口さんと、涙をこぼす長い黒髪の女性。見てはいけないものを見た!?と、うるしの想像はふくらみます。でも福山は、ためらわず店の中へ。

女性は、近くの女子高で社会科を教えている若山先生でした。帰国子女が多く英語教育に力を入れている、有名な中高一貫校です。学校訪問で知り合った川口さんに悩みを話していたところで、福山とも以前あいさつをしたことがありました。

「日本の勉強なんて意味ない」

若山先生は中学2年生の担任。クラスで目立つ帰国子女の生徒が、日本の勉強なんて意味がない、どうせ海外に行くから、と言っていて、それに引っぱられたほかの子たちまで、英語以外は赤点続き。成績が下がれば、担任の評価にも響きます。

中心の生徒は日本語の本をあまり読んでおらず、語彙が少ない。だから国語や歴史のような日本語の読解力が必要な科目で点が取れず、やる気もない。海外の文化に詳しいのはいいこと。でもせっかくなら母国の文化も知っておいて損はない。まずは自分の専門の日本史から興味を持ってほしい、と若山先生は話します。

福山の「総論」

福山はまず、帰国子女かどうかに関係なく、歴史の授業についていけなくなるのはよくある話だ、と言います。

上位の進学校では、中学のうちから高校の理科や社会を先取りすることがある。高校の教科書は字が小さく、文字の量も多いので、読解力がないと苦しい。しかも英語や数学をハイペースで進めるため、理科や社会まで手が回らず、テスト前に暗記すればいいと毎日の勉強が後回しになりがち。

だからこそ、少しでも興味を持つきっかけがあれば、普段の授業の吸収率も上がるはず、と若山先生。その言葉を聞いた福山は、要は面白い日本史の参考書ですね、とつぶやいて、店を飛び出していきました。

走って買ってきた2冊

あっという間に戻ってきた福山の手には、書店の袋。最近は参考書としてではなく、読み物として面白いカジュアルな歴史の本が充実している、と2冊を出します。

1冊目は『東大教授がおしえる やばい日本史』。日本史の専門家・本郷和人先生の監修で、歴史人物の「すごい」面と「やばい」面を面白く紹介する一般向けの本です。人物から入ると親しみがわく、本文の漢字にはすべてふりがなつきなので日本語が苦手でも読める、と福山。

2冊目は『改訂版 世界一おもしろい日本史の授業』。人気講師・伊藤賀一先生の講義を本にしたもので、話しかけるような口調に今の視点も盛りこまれ、先生の話を聞く気分で読み進められます。若山先生は、大河ドラマを観るみたい、と目を輝かせます。川口さんも、1冊目で人物から入って、気になる時代を2冊目でくわしく知る「2冊使い」もありですね、と提案しました。

うるしの「待った」

テスト対策でも問題集でもない勉強の本ってワクワクする、自由研究みたいでオタク心がうずく、とうるしも楽しそう。若山先生も、これなら読んでもらえるはず、と笑顔になります。

でも、うるしの胸にふと引っかかるものがありました。自分が子どものころ、苦手な科目の本を渡されたらどうだっただろう。思い出したのは、中学時代、先生に「数学って面白いんだよ」と数学の読み物を渡されたこと。数学が好きな人には面白いんだろうけど、と、その本は積んだままになっていました。

そしてうるしは、帰ろうとする3人を呼び止めます(このセリフは感想で)。目を丸くする福山の顔で、37冊目へ続きます。

【ガクサン流・苦手科目の入り口】「読み物」から入る効果

36冊目の福山の提案は、教科書や問題集ではなく、読み物として面白い歴史の本から入ること。作中の話と研究をまとめます。

1. 「物語」で書かれた文章は覚えやすい

教科書のような説明の文章と、物語の形で書かれた文章。たくさんの研究をまとめた分析では、物語の文章のほうが、内容をよく覚えていて理解もしやすいことが示されています(Mar ほか, 2021)。

『やばい日本史』の人物エピソードや、『世界一おもしろい日本史の授業』の講義口調は、まさに「物語」の形。作中の若山先生の「大河ドラマを観るみたい」は、研究で見ても理にかなっています。

2. 興味は「育つ」もの

興味には段階があり、最初はその場で引き出される「その場の興味」から始まって、くり返し触れるうちに、自分から追いかける「本人の興味」へ育っていくと考えられています(Hidi & Renninger, 2006)。

人物の「やばい」話で笑う、ここが最初の一歩。そこから気になる時代を2冊目でくわしく知る、というのが川口さんの「2冊使い」です。18冊目の姪のドリル選び、28冊目の体験型ドリルとも同じ考え方ですね。

3. ただし「渡すだけ」では届かない

うるしの数学の本の思い出が示すように、面白い本も、相手がその科目にまったく興味がなければ、開かれないまま終わってしまいます。どうすれば相手に届くのか――その答えは37冊目で語られます。

ぱっと見まとめ:苦手科目の入り口

番号名前やることポイント
1物語から入る人物のエピソードや講義口調の本を読む教科書より覚えやすい
22冊使い人物の本で入り、気になる時代を通史の本で深める興味を「育てる」
3読みやすさふりがなつき・話し言葉の本を選ぶ日本語が苦手でも読める
4渡し方相手の興味があるところから選ぶ37冊目で解説

苦手科目の入り口チェックリスト(36冊目から)

  • [ ] 教科書の前に、物語や人物の本を1冊読んでみた
  • [ ] 気になった時代を、もう1冊でくわしく調べた
  • [ ] 漢字や言葉が難しすぎない本を選んだ
  • [ ] 本を渡す前に、相手が何に興味があるかを聞いた

参考文献

  • Mar, R. A., Li, J., Nguyen, A. T. P., & Ta, C. P. (2021). Memory and comprehension of narrative versus expository texts: A meta-analysis. Psychonomic Bulletin & Review, 28(3), 732–749.
  • Hidi, S., & Renninger, K. A. (2006). The four-phase model of interest development. Educational Psychologist, 41(2), 111–127.

ガクサン 36冊目 感想・考察

【今回の一番】「まだできることあるかもしれません…!」

36冊目でいちばん心に残ったのは、ラストのうるしのこの一言でした。

「まだできることあるかもしれません…!」

福山が走って買ってきた2冊は、どちらも面白そう。若山先生も、川口さんも、うるし自身も満足していました。それでもうるしは、自分の中学時代を思い出して、立ち止まった。

好きな人が「面白いよ」と渡す本は、好きな人にとって面白い本。苦手な側にいた自分だからこそ見えることがある。勉強が得意ではなかったうるしだからこその「待った」です。川口さんの心の声どおり、うるしからも出る提案が楽しみです。

福山は「走る」人

もうひとつ印象的だったのは、福山の行動の速さ。面白い日本史の参考書ですね、と言うなり店を飛び出し、あっという間に戻ってくる。

21冊目では書店の棚を見て「俺に並べなおさせてくれ」と言い、20冊目では新課程講座を始めた福山。参考書のこととなると、迷わず体が動きます。2冊の選び方も、ふりがなの有無、講義口調、人物から入るか通史か、と、相手の弱点に合わせて一冊ずつ理由がある。ただの参考書オタクではなく、相談に本気なのが伝わる場面でした。

英語ができる人、できない人

前半の小学生英語の話も、地味に刺さりました。中高6年、大学でも英語をやったのに全然できない、といううるし。22・23冊目では、英語を学び直したい社会人の鷺沼さんが登場しました。

その一方で、今回の生徒は英語はできるのに、日本の勉強には意味がない、と言う。英語ができるようになりたい人がいる一方で、困りごとは尽きないといううるしのつぶやきは、ご相談係に届くさまざまな悩みそのものです。

若山先生の涙

若山先生が泣いていた理由も、考えさせられます。生徒の成績が下がれば、担任の評価も下がる。でも先生が本当に願っているのは、母国の文化を知っておいて損はない、ということでした。

35冊目でうるしは、同級生の先生が1日14〜15時間働いている、と話していました。先生たちは、忙しさの中で一人ひとりの生徒のことを考えている。参考書は、先生を助ける道具でもある。35冊目の「先生にも生徒にも救いになる」が、36冊目で具体的な相談として現れたようにも思えます。

まとめ

  • 昼休みの書店でうるしと福山がばったり。小学校の英語は「話す」「聞く」中心
  • 梅屋敷さん: ご相談係のSNSを他社の営業も見ている
  • 喫茶店で川口と、涙の若山先生(女子高の社会科教師)。帰国子女の生徒が「日本の勉強なんて意味ない」
  • 福山の総論: 進学校は高校内容の先取りで教科書が難しく、理社は後回しになりがち
  • 福山が走って買ってきた『やばい日本史』と『世界一おもしろい日本史の授業』。人物から入る2冊使い
  • うるしは中学時代の数学の本を思い出し、「まだできることあるかもしれません」――37冊目へ

36冊目は、面白い本を「選ぶ」ところまでの前編でした。いい本を選ぶことと、相手に届くことは別。うるしの言う「まだできること」とは何なのか。37冊目が待ちきれません!

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