【ガクサン 13話ネタバレ】13冊目|編集者っていらなくないですか?①。福山は「断る」、そして編集部見学ツアーへ――参考書ができるまでと「赤シート」の恐怖

当サイトではアフィリエイト広告を利用して商品を紹介しています。
ガクサン

※本記事はアフィリエイト広告(PR)を含みます。リンクから商品が購入されると、当サイトに紹介料が入ることがあります。

モーニング(講談社)で連載された漫画、佐原実波『ガクサン』のネタバレと感想・考察をお届け。

13冊目は、新しいお話「編集者っていらなくないですか?」の前編。しをり会に誘われた福山の返事と、ご相談係のTwitterに届いた、ちょっと意地悪な引用RT。うるしは「編集者って本当に必要なの?」を確かめるため、編集部の見学ツアーへ向かいます。

以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。

原作の漫画を手元で読みたい方は、こちらからどうぞ。13冊目は2巻に入っています。

漫画『ガクサン』2巻(佐原実波/講談社)

「参考書の愛し方」から始まる2巻。8冊目〜を収録。

Amazonで見る楽天市場で見る

この記事を書いた人
漫画ネタバレ図書館管理人

はじめまして漫画ネタバレ図書館の管理人です。
漫画が好きなおじさんです。
このサイトでは自分が読んで面白いと思った漫画の感想・考察を発信し、作品の魅力を伝え、読む人を増やすことを目的としています。
過度なネタバレは避け、ネタバレ注意喚起を徹底していきます。

漫画ネタバレ図書館管理人をフォローする

ガクサン 13冊目「編集者っていらなくないですか?①」あらすじ(ネタバレ注意!)

前回までのあらすじ

理転したい高3の葵と、反対する父・谷津司。福山は「そぎ落とすんです」と、数IIIをやらない・理科は1科目の「最短距離3点セット」を示します。理転の理由はまさかの真田幸村への「初恋」。谷津さんは最後に「…応援するよ」。

そしてうるしは、ド直球でお願いします。「勉強会に連れてきてほしいって頼まれてるんです!」――福山の返事は「断る」でした。

前回の記事はこちら → 【ガクサン 12冊目】うるし、理転について考える②。理転の理由はまさかの「初恋なの!!」――福山の「そぎ落とす」戦略と、谷津パパの涙

「俺は編集には関わらないほうがいい」

「断る」

福山は、勉強会があることを薄々気づいていました。前に山崎から「参考書の話するランチ会とかこない?」と誘われていたのです(返事は「こない」)。

「…俺が編集者だったってのは知ってるのか」と福山。うるしが「なんでやめちゃったのかまでは知らないですけど」と答えると、

「その会には行かない」「俺は編集には関わらないほうがいい」

「この社内では谷津さんの反応がスタンダードだ」「…俺にもうまくやれない原因があるんだろう」。そして「君はいい人に好かれるからな」と言って、話を打ち切ります。

うるしは心の中でつっこみます。福山さんて…もしかして自分が嫌われてる理由ちゃんとわかってない!? でも、態度だけが問題なのでしょうか。谷津さんの「自業自得だ」「いろいろあったからな」を思い出し、うるしは考えます。じゃあ編集の仕事自体に何か原因が…?

「編集者っていらないですもんね?」

そこへ、ご相談係のTwitterに引用RTが届きます。

「相談受けるとか出版社も必死なんですねー 先生が個人で発信したり電子書籍とか出してる時代に編集者っていらないですもんね?」

「な…なにこれ!?」と固まるうるし。福山に見せようとしますが、さっきの「編集には関わらない」が頭をよぎって、聞くに聞けません。

しをり会ランチ「いらないわけないでしょ!」

町中華「桃三郎」でしをり会のランチ(谷津さんと川口さんは多忙で欠席)。

花山さんは割り箸をバキッと折って「いらないわけないでしょ!」。福山は「ただの外野の意見だ 好きに言わせておけ」と言いつつ、明らかに不機嫌だったそうです。

ここでうるしは、正直に打ち明けます。

「ただ正直私自身…どう必要なのかはよくわからなくて…」

「みなさんのこといらないなんて思えないからこそ ちゃんと知って読者の人にも伝えたいんです」「…だから私に編集部のこと…教えてもらえませんか?」

花山さんは「参考書編集者たるもの教えるのは得意よ」「どーんとまかせなさい!」。

編集部見学ツアー

「では!編集部見学ツアーを始めます!」

最初は赤城さんのいる第四編集部(小中学参)。小学校と中学校の全教科を、たった6人で作っています。小中の担当だと年間10冊ほど、高校は3〜4冊。改訂や先生用の学校専売品も含むとはいえ、ほぼ1ヵ月に1冊のペースです。しかも「全部同時進行」(十手観音の山崎さん)。

そして、花山さんと山崎さんが「新しい参考書ができるまで」を教えてくれます(詳しくは下の【ガクサン流】で)。

花山さんの一言が重い。「一つの間違いが生徒の将来を変える可能性もあるしね…」

「学参編集者の七つ道具」と恐怖の赤字

よく見ると、みんなの机に赤いシートが。「赤シートだ!懐かしい~!」

花山さんいわく、これは「赤セル」。学参編集者の七つ道具です。赤シートで文字が消える単語帳などは、校了のときにきちんと確かめないと、本になってから「消えない赤字」に気づくことも……。赤城さん「考えただけでぞわっとする~」。

ほかの道具は、担当科目の教科書・入試過去問題集・用語集や辞書・カラーのペン。「ていうか七つないかも」(笑)。

「編集者の存在が必要なんですね」……と思ったら

うるしは「編集って地道な仕事なんですね」と感心します。ドラマや漫画の「先生原稿とりに行きます!!」のイメージとは違い、すごく正確さが必要な仕事。

「参考書は読者の将来を担う間違えられない本だからこそ 編集者の存在が必要なんですね」

「これで文句言ってきた人にもびしっと言い返せそうです!」には、山崎さんが「それはやめとこ 一応」(笑)。

でも山崎さんは続けます。「机上の作業以上にやってることがいろいろあって…」

その時、奥の席から悲鳴が。

「えっ 収録日に来れない!?」「声優さんがダブルブッキング?」

うるし「編集部って アニメも作ってるんですか…?」――14冊目へ続きます。

【ガクサン流・参考書ができるまで】企画から発売まで1年以上

13冊目は、学習参考書が本になるまでの流れが、とてもわかりやすく描かれていました。作中の説明をもとに、順番に整理します。

1. 企画会議(発売の最低1年前)

企画は「既刊ラインナップに欠けている要素を埋めるように」考えるそうです。決めるのは次の3つ。

  • ターゲット:年齢やレベル
  • シーズン:「夏休み向け」「受験直前」など
  • コンセプト:「ゼロから」「1週間集中」など

ここで全体のページ数もだいたい決めます。作中では「夏休み用の英語の本がないよねー」から、花山さんの企画「英語 集中1ヵ月ドリル(仮)」が生まれていました。

2. 1単元分の原稿で「切り口」を決める

企画が通ったら、まず1単元分の原稿を著者にもらい、どういう切り口でページを構成するかを検討します。要点のまとめ方、練習問題のボリュームなど。

3. 目次・付録を決めて「台割」をつくる

方向が固まったら、目次や付録の内容を決め、全体の編成表をつくります。これが出版業界でいう「台割(だいわり)」。どのページに何が入るかの設計図です。

4. デザイナーがページのフォーマットをつくる

このあたりで、デザイナーさんにページの型(フォーマット)を作ってもらいます。

5. 残りの原稿を流しこんで紙面に

そこから著者の残りの原稿を「五月雨式に」受け取り、フォーマットに流しこんで全ページの紙面を作ります。カバーも作ります。

6. 校正→校了→印刷・発売

全部揃ったら校正(まちがいチェック。ほかの人も読む)。直しが終われば校了。部数を決めて、印刷・発売です。

改訂はもっと長い

これは新しい本の場合。既刊の改訂は、もっと長期的に動いているそうです。作中でも触れられているとおり、高校の新しい学習指導要領は2018年に告示され、2022年度の入学生から実施されました。参考書の改訂は、この準備期間を使って何年もかけて進むわけです。

参考:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」。2022年度入学生から年次進行で実施。

ぱっと見まとめ:参考書ができるまで

番号名前やること
1企画会議最低1年前。ターゲット・シーズン・コンセプト・ページ数を決める
2切り口を決める1単元分の原稿で、まとめ方や問題の量を検討
3台割目次・付録を決め、全体の編成表をつくる
4フォーマットデザイナーがページの型をつくる
5紙面づくり残りの原稿を流しこみ、カバーもつくる
6校正・校了まちがいチェックをして、印刷・発売

参考書を選ぶときのチェックリスト(13冊目から)

  • [ ] 「はじめに」に、ターゲット(だれ向けか)が書いてあるか(2冊目の福山の教え)
  • [ ] 自分のシーズン(夏休み・受験直前など)に合った本か
  • [ ] 「ゼロから」「1週間集中」など、コンセプトが自分の目的と合っているか
  • [ ] 今の学習指導要領(新課程)に対応した版か
  • [ ] 赤シート対応の本なら、赤シートで答えを隠してテストしているか

【おまけ】赤シートは「自分でテストする」道具

編集者の七つ道具として出てきた赤シート。勉強する側から見ると、これはとても理にかなった道具です。

赤シートで答えを隠して思い出そうとするのは、「自分にテストをする」ことと同じ。くり返し読むよりも、思い出す練習をしたほうが長く覚えていられることが、多くの研究で示されています。(Roediger & Karpicke\, 2006/Karpicke & Roediger\, 2008)学習法を比べた大きなレビューでも、「練習テスト」は効果が高い方法に入っています。(Dunlosky ほか\, 2013)

赤シートは「隠して眺める」ではなく、「隠して思い出す」ために使うのがコツです。だからこそ、本の側で赤字が消えないのは致命的。花山さんたちが「恐怖」と言うのもうなずけます。

参考文献

  • Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249–255.
  • Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2008). The critical importance of retrieval for learning. Science, 319(5865), 966–968.
  • Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students’ learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58.

赤シートを1枚持っておくと、赤シート対応でない単語帳やノートでも、オレンジや赤のペンで書けば同じように使えます。

暗記用 赤シート

13冊目に出た「学参編集者の七つ道具」。赤字を隠して自分でテストする暗記の定番。

Amazonで見る楽天市場で見る

ガクサン 13冊目 感想・考察

【今回の一番】「みなさんのこといらないなんて思えないからこそ」

13冊目の一番は、うるしのこの言葉です。

引用RTに腹を立てるだけなら簡単です。花山さんのように「いらないわけないでしょ!」と言いたくなる。でもうるしは、「正直私自身…どう必要なのかはよくわからなくて…」と、自分のわからなさを先に認めました。

「ちゃんと知って読者の人にも伝えたいんです」

これ、ご相談係の仕事そのものなんですよね。10冊目で「参考書のこともっとわかりたいです」と言ってしをり会に入ったうるし。11冊目では福山の『リーチ現代文』を借りて読んでいました。わからないことを、わからないままにしない。参考書が好きな人たちに囲まれて、うるし自身が「学ぶ人」になっていくのがいいなと思います。

福山の「俺は編集には関わらないほうがいい」

福山の「断る」は予想どおりでしたが、その理由は思っていたより重いものでした。

「俺にもうまくやれない原因があるんだろう」

これまで福山は、口が悪くて態度も悪い、でも自分ではまったく気にしていない人に見えていました。でも13冊目の福山は、自分が編集部でうまくやれなかったことを、ちゃんと気にしている。

10冊目の山崎の言葉を思い出します。福山は「わからない人がわかるようにできる編集者」「参考書を作って売る才能の塊」だった。それでも編集部を離れた。谷津さんの「自業自得だ」、山崎さんの「賛否両論」。

そして今回、山崎さんの「机上の作業以上にやってることがいろいろあって…」。編集者の仕事は、机の前で正確に本を作ることだけではない。著者、デザイナー、声優さん、たくさんの人と調整すること。福山の「いろいろ」は、この「机の外の仕事」と関係があるのではと、おじさんはにらんでいます。

「君はいい人に好かれるからな」

さらっと流されそうな一言ですが、ここも大事だと思います。

福山は、うるしの「人に好かれる力」を認めている。だから業務上、うるしに間に立ってもらっている。3冊目で「週明けから来なくて構わん」と突き放した頃とは、ずいぶん変わりました。

裏を返せば、福山は自分に足りないものをよくわかっているということでもあります。うるしの「自分が嫌われてる理由ちゃんとわかってない!?」は、半分当たりで半分はずれかもしれません。

引用RTの「編集者っていらないですもんね?」

「先生が個人で発信したり電子書籍とか出してる時代に」。これは、作中だけの話ではありませんね。今は塾の先生や予備校講師がSNSや動画で発信し、個人で本を出すこともできます。

でも、13冊目を読むと、1冊の参考書の後ろには、企画・台割・デザイン・校正という長い工程があることがわかります。特に「一つの間違いが生徒の将来を変える」参考書では、別の人の目でチェックする校正が欠かせません。

5冊目でうるしがTwitterを始めたからこそ、こういう声も届くようになった。ご相談係のSNSが、出版社と読者の「境界線」になっているのも、このお話のおもしろいところです。

「赤セル」と「消えない赤字」

個人的に一番笑ったのは「恐怖!消えない赤字」のコマです。

赤シートで消えるはずの単語が、本になったら消えない。読者としては「ちょっと残念」で済むかもしれませんが、作った側にとっては悪夢でしょう。参考書の編集者は、読む側の「使い方」まで想像して本を作っている。

8冊目でうるしが中学時代に参考書をデコっていた話、福山が「立派な『愛し方』だ」と言ったこと。参考書を「使う」人と「作る」人が、赤シート1枚でつながっている感じがして好きなシーンです。

まとめ

  • 福山はしをり会を「断る」。「俺は編集には関わらないほうがいい」「俺にもうまくやれない原因があるんだろう」
  • ご相談係のTwitterに「編集者っていらないですもんね?」という引用RT
  • しをり会ランチで花山「いらないわけないでしょ!」。うるし「ちゃんと知って読者の人にも伝えたいんです」
  • 編集部見学ツアー。小中学参は6人で年間10冊ほど、全部同時進行
  • 参考書ができるまで:企画会議(1年前)→切り口→台割→フォーマット→紙面→校正・校了→印刷・発売
  • 学参編集者の七つ道具「赤セル」と、恐怖の「消えない赤字」
  • 山崎「机上の作業以上にやってることがいろいろあって…」→「声優さんがダブルブッキング?」

編集部でアニメ!? 山崎さんの言う「机の外の仕事」とは何なのか。そして福山が編集を離れた「いろいろ」に、少しずつ近づいている気がします。14冊目が楽しみです。

続きが待ちきれない方は、漫画でひと足先にどうぞ。

漫画『ガクサン』(佐原実波/講談社)全巻

モーニングで連載された、学習参考書の出版社が舞台のお仕事漫画。

Amazonで見る楽天市場で見る

コメント

タイトルとURLをコピーしました