週刊少年マガジン掲載の漫画 盤上のオリオン最新話の感想、考察をお届け。
以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。
盤上のオリオン 第102話 最新話 あらすじ(ネタバレ注意)
前回までのあらすじ
佳澄碧と茅森月、三段リーグで死闘を繰り広げている。
茅森月の圧倒的な優勢だったかに思えたが、
佳澄のノータイム連打に追い詰められた茅森は、ついに秒読みへ突入。
佳澄が形勢逆転。
前回の記事はこちら【盤上のオリオン第101話】
今回のあらすじ
序盤中盤は劣勢、挙げ句の一分将棋に追い込まれていた佳澄碧。
しかし4八金から攻守逆転、情勢は一変する。
「逃げろ」「逃げんなって言ってんだろ!!」と両者。
佳澄の追撃は厳しく、茅森の逃げ道を断つ1四桂が放たれる。
ノータイムで指し続けていた佳澄の手が、ここで初めて止まる。
そのとき佳澄の脳裏に浮かぶのは、かつての仲間・狩房あやめの言葉。
「後はあんたに託したで――碧」
辞めていった奨励会員たちからの激励を胸に、佳澄は心の中で力強く宣言する。
「私は残夢の上に立つ。誰も見たことのない地平線へ。すべてを捧げて追いかけてこい。」
盤上のオリオン 第102話 X(旧Twitter)での反応
盤上のオリオン今週は碧の見せ場で良いところで終わった、が来週休載かい!
— 田口歩 (@taguchi_ayumi) June 16, 2026
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盤上のオリオン 第102話 感想・考察・まとめ
「逃げろ」「逃げんなって言ってんだろ!!」
相変わらずの二人の口の悪さだ(笑)。
茅森が「逃げろ」と自分に言い聞かせ、佳澄が「逃げんなって言ってんだろ!!」と応戦する。
対局相手に向かって「逃げんな」と言う佳澄碧、最高だ。
98話で「ドラ猫」「鶏糞」と罵り合っていた二人だが、今回は直接的な悪口こそ減ったものの、
盤上での「逃げろ」「逃げんな」というやり取りに、あの頃と変わらない火花が見える。
仲が悪いように見えて、これは間違いなく全力で向き合っている者同士の言葉だ。
4八金からの大逆転——「攻守逆転」の意味
序盤中盤、佳澄は劣勢に立たされ、挙げ句の一分将棋まで追い込まれていた。
しかしそこから4八金を境に、情勢は一変する。
将棋というゲームの恐ろしさは、時間の不利と盤面の不利が必ずしも一致しないところにある。
99話・100話・101話を通じて積み重ねてきた「攻守逆転」というモチーフが、今回も再び繰り返されている。
茅森月が秒読みに追い込まれて逆転されたように、今度は佳澄が一分将棋から逆転に持ち込む。
この作品は何度でも「劇場の幕」が変わる。
一度傾いた天秤が、再び傾き直す——それを繰り返し描けるのが、佳澄碧と茅森月という二人の強さの証明でもある。
「考えろ」とノータイム——対極する二つの思考スタイル
今回印象的だったのが、茅森月の「考えろ 考えろ 筋道を探せ」という焦りと、佳澄碧の「ノータイム」という二つの対照的な指し方だ。
茅森は追い詰められ「考える」。
一方で佳澄は、それまでノータイムで指し続けてきた——直感と読みの速さで攻め続ける。
しかしその佳澄の手が、ここで初めて止まる。
これが今回最大の見どころだと思う。
ノータイムで押し続けてきた佳澄が、ここで初めて「考える」側に回った。
攻撃の速度で支配してきた棋士が、最後の決め手のために、初めて静かに思考する。
速度の支配者が、深さに手を伸ばした瞬間。
これはただの一手ではない。佳澄碧という棋士の進化の瞬間だ。
狩房あやめの言葉が再び——「バトン」の力
佳澄の手が止まったその瞬間に蘇るのが、かつての仲間・狩房あやめの言葉だ。
「後はあんたに託したで――碧」
このセリフは64話の名場面そのもの。
あの号泣しながら告げられたバトンが、102話の今、もう一度佳澄の中で鳴り響く。
言葉は一度きりのものではない。受け取った者の中で何度も再生される。
これがこの作品の「バトンリレー」というテーマの真骨頂だと思う。
言葉は渡されたら終わりではなく、必要な瞬間に何度でも蘇って力をくれる。
あやめの想いは64話で終わっていない。102話の今この瞬間にも、確かに生きている。
「私は残夢の上に立つ」——天戸の言葉との呼応
そして今回最大のクライマックス、佳澄の心の中の宣言。
「私は残夢の上に立つ。
どこからでもいい 私を見てて 私を離さないで 私にしがみついてて——
みんなを私が連れていくから 誰も見たことのない地平線に——
だからすべてを捧げて 追いかけてこい。」
100話で天戸が語った「屍の上に立つ棋士たち」という言葉を、
佳澄碧は自分の言葉で「残夢の上に立つ」と言い換えた。
「屍」が「残夢」になった瞬間、痛みが力に変わる。
天戸の言葉は外側からの哲学的な解説だったが、佳澄の言葉は内側から放たれる決意表明だ。
辞めていった仲間たち、先輩たち——その全員に「私を見てて」と呼びかける。
これは弱さの告白ではなく、自分を奮い立たせるための鼓舞だ。
そして「すべてを捧げて追いかけてこい」という言葉は、もはや仲間への呼びかけというより、
後を追う全ての奨励会員、そして読者自身への挑戦状のようにも聞こえる。
ニーチェは「すべての価値の転換」という思想を語ったが、佳澄のこの場面はまさに小さな価値転換だ。
重荷だったはずの「託された夢」が、ここでは進む力そのものに変わっている。
10巻発売——月と碧の物語が形になる
Twitterでも話題になっていた通り、ついに単行本10巻が発売された。
101話で話題になった月と碧のW表紙が、いよいよ実際に手元に届く形になったわけだ。
このタイミングでの発売も実に巧い。
102話で佳澄の覚悟が最高潮に達したこの週に、まさにその二人を描いた10巻が並ぶ。
読者としては、もう買うしかない(笑)。
来週まさかの休載——Twitterの悲鳴に共感
Twitterで「良いところで終わったが来週休載かい!」という悲鳴が上がっていたが、おじさんも完全に同意する。
佳澄が「残夢の上に立つ」と宣言した直後の休載。
盛り上げて、盛り上げて、最高潮で止める——これもう完全に意図的な編集部の仕業ですよね(笑)。
でも考えてみれば、この「待たされる時間」もまた読者にとっての一分将棋のようなものかもしれない。
焦れる時間が長いほど、再開したときの一手がより輝いて見える。
まとめ——託された夢が、進む力になるまで
102話は、佳澄碧というキャラクターのこれまでの全てが集約された一話だった。
劣勢からの逆転、ノータイムからの変化、そして託された言葉の再起動。
辞めていった仲間たちの夢は、佳澄にとって重荷ではなく翼だった。
99話で天戸が語った「柵(しがらみ)がバトンだ」という言葉が、102話でついに佳澄自身の声として結晶した。
次号、休載を挟んでどんな決着が描かれるのか。
おじさんはこの一週間、ずっと盤面のことを考えてしまいそうです。
来週……ではなく、再来週が待ちきれません。
もっと読む
キャラクターや将棋用語をじっくり知りたい方は → 盤上のオリオン まとめ・一覧
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