【ガクサン 8冊目】ネタバレ|うるしと参考書の愛し方②。「運命の一冊なんてない」――書店は「デートの場」、文具で参考書を愛する方法(ネタバレ注意!)

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ガクサン

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モーニング(講談社)で連載された漫画、佐原実波『ガクサン』のネタバレと感想・考察をお届け。

8冊目は、単行本2巻の幕開け。1巻ラストの「参考書の愛し方」の答えが明かされます。福山のたとえは、まさかの「恋愛」でした。

以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。

原作の漫画を手元で読みたい方は、こちらからどうぞ。8冊目からは2巻です。

漫画『ガクサン』2巻(佐原実波/講談社)

「参考書の愛し方」から始まる2巻。8冊目〜を収録。

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漫画ネタバレ図書館管理人

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ガクサン 8冊目「うるしと参考書の愛し方②」あらすじ(ネタバレ注意!)

前回までのあらすじ

ご相談係に届いた新しい相談は、「古文がわからないのですが、おすすめの参考書は?」。福山は『マドンナ古文常識』と『源氏でわかる古典常識』を挙げます。

ところが相談者のSNSを見ると、その2冊をすでに持っていました。原因は、うるしと同じ「積読」。

そして1巻のラスト、福山は「この子が知るべきなのは、参考書の愛し方だな」。

前回の記事はこちら → 【ガクサン 7冊目】うるしと参考書の愛し方①。古文は「常識」から? 名著を持っているのに読めない相談者と「積読」

中学生のうるし

2巻の巻頭、書店の前で世界史の問題集を読む学生服の青年と、修学旅行のしおりを手にした中学2年生のうるしが描かれています。

青年は眼鏡に、福山そっくりの髪型。高校時代の福山でしょうか。※作中で名言はされていません。

「参考書との付き合い方は、恋愛と同じだ」

「愛」という言葉に、うるしは「福山さんにもそういう概念あるんですね」。福山は「俺をなんだと思ってるんだ」とムッとしつつ、「自分でも気分が悪いたとえだが」と前置きして語りだします。

最初はとっかえひっかえでもいい。でも最終的に、たいていの人はひとりを選んで一生ものにする。

「参考書との付き合い方は恋愛と同じだ」

1冊目で「若いうちから男女交際に…」とこぼしていた福山の口から、まさかの恋愛論。うるしは「この人こういうこじらせたとこあるよなぁ」と心の中でつぶやきます(笑)。

今の時代は「仲人」が多すぎる

福山いわく、今は参考書を紹介する「仲人」が多すぎる。

福山が独学していた10〜15年前は、ネットで欲しい情報にたどり着くのが大変でした。その代わり、発信しているのは本当にくわしい人だけ。だから当時は、それを信じればよかった。

今は情報に手が届きやすいぶん、発信も簡単です。本当に読んだのか怪しい「おすすめ」や、1冊しか使ったことがないのに他と比べずにすすめる投稿も混ざっている。

「おすすめと言われたら片っぱしから買っちゃうんですよね…」と、肩に積読の重みを感じるうるし。福山は、ネットを信じるのは悪くないと前置きしたうえで、「当人同士のフィーリングを重要視してほしい」。

書店は「デートの場」

「フィーリング…!?」と目を輝かせたうるしに、「黙って聞け」。福山の言う「フィーリング」とは、こうです。

  • 「これなら毎日使える気がする」という直感。見た目の好みも大事
  • 「読んでわかりやすそう」なこと。言っていることが1ミリもわからない相手とは付き合えない

相談者のSNSは、おすすめのまとめ投稿をリツイートしたり、友達の勉強に焦ったり。情報を追うばかりで、参考書の中身を知ろうとしていないのだろう、と福山は見ます。

だから、買う前に店頭で参考書の「人となり」を知っておく。チェックするのは2つ。

  • 苦手なところ:「そうなんだ!」と腑に落ちる説明か
  • 得意なところ:簡単すぎる内容になっていないか

「いわば書店は『デートの場』だ」

「運命の一冊」なんてない

それでも、使ううちに合わないと感じることはある。そのときは早めに見切って次の一冊を探すほうがいい。ただ――。

福山は言います。運命の一冊なんてない。恋愛と同じで。すぐ飽きてあれこれ浮気する人は、誰と付き合ってもうまくいかない。

「愛し続けた結果として その一冊が『運命』になるんだ」

じゃあどうしたら浮気しないですむのか。うるしの質問に、福山は立ち上がります。「せっかくだ ちょっと出るか」。

書店の文具売り場で

向かった先は、7冊目にも出てきた書店「山星堂」。でも参考書売り場ではなく、勉強文具のコーナーでした。

参考書に愛着を持つために、文具で参考書を「グレードアップ」するのも一つの手。福山が手に取ったのは2つです。

  • コクヨ「キャンパス まとめがはかどるノートふせん」:余白の少ない参考書に書きこみを足せる。ミシン目で折れて、閉じてもすっきり
  • ぺんてる「アンキスナップ マーカータイプ」:線を引いてアプリで撮ると、スマホで使える自分だけの暗記シートになる

「痒いところに手が届いてる…!」「すごっ!!」と、うるしも大興奮。

手間ひまをかけて、自分の参考書を愛していく。それが学力という手ごたえになる――と、福山がしみじみ語っている横で、うるしはかわいいマスキングテープに夢中。「なんだいい話をしてるのに」(笑)。

うるしの「デコ」も、立派な愛し方

マステを見て、うるしは思い出します。中学時代、塾で配られた参考書に、シールを貼ったり好きな色のペンで名前を書いたりしていたこと。

自分に合うかどうかに関係なく使うしかない参考書だったから、デコレーションして気分をあげていた。「関係ない話かもですが」と言ううるしに、福山は「いや そういうことだ」。

表紙に目標を書く。好きな芸能人の写真を貼る。ラミネートしてお風呂に持ちこむ。果ては「覚えたら破り捨てる」猛者まで。楽しく使いこめれば、それがモチベーションになる。

「茅野のやり方も立派な『愛し方』だ」。それを相談者に伝えればいい、と福山。うるしは笑顔で「はい!」。

相談者からの「デコってみました!」

数日後。相談者から、かわいくデコった『マドンナ古文常識』の写真つきで「この参考書を大切にして、がんばってみます」と届きます。

ご相談係の投稿は「まずは手持ちの参考書を『愛する』ことから!」。うるしも、自分の積読を思い出して反省するのでした。

山崎の「お願い」

屋上で手作り弁当を広げるうるしのところへ、山崎がやってきます。

山崎のリツイートのおかげで相談が少しずつ届くようになり、福山もちょっとずつやる気になってくれている。お礼を言ううるしに、山崎は「あの福山がねぇ…」。

そして、5冊目の町中華での約束が回収されます。

「RTした代わりのお願い 今頼んでもいい?」

8冊目はここで幕。9冊目に続きます。

【ガクサン流・参考書の愛し方】選び方と使い込み方

8冊目の福山の助言は、「店頭で自分に合う一冊を選び、手をかけて愛着を持ち、使い続ける」。研究から見ても理にかなっているか、調べてみました。

「苦手が腑に落ちる・得意が簡単すぎない」は、ちょうどいい難しさ

福山の店頭チェックは、「今の自分より少しだけ難しい」レベルの本を選べということです。

記憶の研究では、学ぶ人はすでに知っていることでも、まったく手が届かないことでもなく、「あと少しでわかりそうなこと」に時間を使うと効率がいい、とされています。(Metcalfe\, 2009)

簡単すぎる本は退屈で、難しすぎる本は挫折のもと。「腑に落ちる」と「簡単すぎない」の両方を見るのは、この「ちょうどいいところ」を探す方法なんですね。

自分で選んだ本は、続けやすい

福山の「フィーリングを大事に」も、研究と重なります。

多くの研究をまとめた分析では、自分で選べる状況のほうが、やる気(内発的動機づけ)が高まりやすいことが示されています。(Patall\, Cooper\, & Robinson\, 2008)

ネットの「おすすめ」をそのまま買うのではなく、書店で手に取って、自分で選ぶ。それだけで、続けやすさが変わるかもしれません。

手をかけたものほど、大切に思える

うるしのデコの話には、おもしろい裏づけがあります。

組み立て式の家具などを自分で手をかけて作ると、そのものを高く評価するようになるという研究があり、「IKEA効果」と呼ばれています。(Norton\, Mochon\, & Ariely\, 2012)

ふせんで書きこみを足す、目標を書く、シールでデコる。手をかけた参考書は「自分だけの一冊」になる。福山の「手間暇をかけて愛していく」は、まさにこれです。※デコが成績を上げる、と直接確かめた研究ではありません。「愛着がわく」ことの裏づけとして紹介しています。

「浮気しない」ためのコツ

「運命の一冊はない、愛し続けた結果が運命」は、作中の福山の助言です。

実際、1冊を何周もくり返すことは、5冊目の記事で紹介した「分散学習(間をあけてくり返す)」の実践そのもの。本を替えるたびに最初からやり直すより、同じ本を、間をあけて何度ものほうが理にかなっています。

作中に出てきた文具

福山がすすめた勉強文具は、実在する商品です。

キャンパス まとめがはかどるノートふせん(コクヨ)

8冊目で福山がすすめた文具。参考書に書きこみを足したいときに。

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アンキスナップ マーカータイプ(ぺんてる)

8冊目で福山がすすめたデジタル文具。線を引いてスマホで撮ると暗記シートになる。

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ぱっと見まとめ:参考書の愛し方

番号名前やること
1仲人を疑うネットのおすすめは「本当に使ったのか」を考えて読む
2書店で会う買う前に、店頭で中身を開いてみる
3苦手を読む苦手な分野の説明が、腑に落ちるか確かめる
4得意を読む得意な分野が、簡単すぎないか確かめる
5直感で選ぶ「毎日使えそう」「見た目が好き」を大事にする
6手をかけるふせん・デコ・目標の書きこみで自分の一冊にする
7浮気しない1冊を間をあけて何周もくり返す

チェックリスト

  • [ ] 「おすすめ」と言われただけで、買っていないか
  • [ ] 書店で、実際に中身を開いてから買ったか
  • [ ] 苦手な分野のページを読んで「わかる」と思えたか
  • [ ] 得意な分野のページが、簡単すぎないか確かめたか
  • [ ] 「これなら毎日使える」と思える見た目か
  • [ ] 参考書に、自分なりの工夫(ふせん・デコ・目標)を加えたか
  • [ ] 新しい本に手を出す前に、今の本を1周終えたか

参考文献

  • Metcalfe, J. (2009). Metacognitive judgments and control of study. Current Directions in Psychological Science, 18(3), 159–163.
  • Patall, E. A., Cooper, H., & Robinson, J. C. (2008). The effects of choice on intrinsic motivation and related outcomes: A meta-analysis of research findings. Psychological Bulletin, 134(2), 270–300.
  • Norton, M. I., Mochon, D., & Ariely, D. (2012). The IKEA effect: When labor leads to love. Journal of Consumer Psychology, 22(3), 453–460.

ガクサン 8冊目 感想・考察

【今回の一番】「愛し続けた結果として その一冊が『運命』になるんだ」

このおじさんが8冊目で一番ぐっときたのは、このセリフです。

「運命の一冊」を探して、本を次々と買ってしまう。7冊目の相談者も、うるしも、そうでした。でも福山は、運命は最初からあるものではなく、あとから「なる」ものだと言います。

参考書の話なのに、人生の話にも聞こえる。1冊目の「ただ参考書が好きなだけだ」から、6冊目の「希望はあった」、そして8冊目の「愛し続けた結果」。福山の参考書への愛が、少しずつ言葉になってきました。

福山の恋愛論は「こじらせ」全開

それにしても、福山の恋愛のたとえは強烈でした(笑)。

「恋愛とかいう馬鹿げた概念に」と前置きしながら、マッチングアプリ、仲人、デートの場、浮気……と、たとえがどんどん具体的になっていく。うるしの「福山さんも人のこと好きになったりすんの…?」に、読者も全員うなずいたはずです。

1冊目の「若いうちから男女交際に…」の伏線(?)まで拾ってくる「※1話参照」の注釈も、細かくて好きなところ。

「仲人が多すぎる」は、ネット時代の本音

福山の「仲人」の話は、受験生だけでなく大人にも刺さります。

昔は情報が少なかった代わりに、発信するのは本当にくわしい人だけだった。今は誰でも発信できるぶん、「1冊しか使っていない人のおすすめ」も混ざっている。

5冊目のうるしは、ネットの「情報の渦」で立ちつくしていました。6冊目の福山は「とりあえず信じろ、赤本で直せ」。そして8冊目は「仲人の話より、本人同士のフィーリング」。ネット情報との付き合い方が、回を追って深まっています。

福山の独学時代が見えてきた

8冊目では、福山の独学が10〜15年前だったことが語られます。5冊目の山崎の「もう十何年前の話」とぴったり合います。

当時の情報源は、掲示板や、くわしい人の個人サイト。福山が「俺のエルドラドか…」と懐かしむ「参考書マニアの館」には、思わず笑ってしまいました。

カラー扉で世界史の問題集を読む青年が若い福山だとしたら、6冊目の「台所のテーブルでひとり勉強する少年」とつながります。ひとりで情報を探し、参考書を「先生」にしてきた福山の姿が、少しずつ見えてきました。

うるしの「デコ」が答えになる

8冊目で好きなのは、うるしのなにげない思い出が、そのまま相談の答えになったところです。

塾で配られた、自分に合うかどうかわからない参考書。それでもシールやペンで自分のものにしようとしていた中学生のうるし。福山は「いや そういうことだ」と即答しました。

4冊目の単語帳、7冊目の積読、そして8冊目のデコ。うるしの「ふつうの経験」が、参考書オタクの福山にはない視点として、ご相談係の武器になってきています。

「パワハラ気味なのは相変わらず」

屋上での山崎との会話で、うるしは「福山さんもちょっとずつやる気になってくれてる」と報告します。「パワハラ気味なのは相変わらずですが」とつけ加えるのが、うるしらしい(笑)。

山崎の「あの福山がねぇ…」には、昔の福山を知っている人ならではの重みがあります。3冊目の「いろいろあって異動」、5冊目の「ここに異動してきた時も…」。山崎は、福山の過去を一番よく知っている人です。

ついに来た、山崎の「お願い」

そして5冊目から引っぱってきた、「RTした代わりのお願い」。

5冊目では「建て前としてね!」と言ったり、いぶき社は保守的すぎるとぼやいたり、ただのいい人ではなさそうだった山崎。お願いの中身が、福山の過去や、うるしの「編集の道も…?」(7冊目)とつながるのか。2巻の大きな流れが動き出しそうです。

まとめ

  • 福山の「参考書の愛し方」のたとえは、恋愛。「参考書との付き合い方は恋愛と同じだ」
  • 今は参考書の「仲人」が多すぎる。ネットのおすすめより「当人同士のフィーリング」を
  • 店頭チェックは「苦手が腑に落ちるか」「得意が簡単すぎないか」。書店は「デートの場」
  • 「運命の一冊なんてない」。愛し続けた結果として、その一冊が運命になる
  • 文具(ノートふせん・アンキスナップ)やデコで、参考書に愛着を持つ。うるしのやり方も「立派な愛し方」
  • 相談者はマドンナ古文常識をデコって「がんばってみます」
  • 屋上で山崎が「RTした代わりのお願い、今頼んでもいい?」

山崎のお願いとは、いったい何なのか。福山の過去にも関わってくるのか。9冊目が楽しみです。

続きが待ちきれない方は、漫画でひと足先にどうぞ。

漫画『ガクサン』(佐原実波/講談社)全巻

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