【盤上のオリオン 114話ネタバレ】「僕は名人になる」――待っている人、約束した人、見ててくれた人へ

盤上のオリオン

週刊少年マガジン掲載の漫画 盤上のオリオン最新話の感想、考察をお届け。

以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。

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盤上のオリオン 第114話 最新話 あらすじ(ネタバレ注意)

前回までのあらすじ

三段リーグ最終日、第18戦。

2敗同士の二宮夕飛 vs 市川周鳳、勝った方が残り1枠の棋士になる。

前回は、子どもの頃の久慈彼方をネット将棋で泣かせたのは、「タケノコ」二宮だったと判明した。

ほかの対局は、七尾が14勝4敗、茅森月が10勝8敗、佳澄碧が16勝2敗で終了。

二宮は馬を旋回させて市川の3五歩を回収し、銀取りに金取りで応じる。

朔の仇・久慈彼方ばかりを見ていた市川は、自分を「マヌケレベル」と認め、ようやく目の前の二宮に向き直った。

前回の記事はこちら【盤上のオリオン 113話ネタバレ】

▶ 次の話(115話)はこちら → 【盤上のオリオン 115話ネタバレ】二宮夕飛、ついに棋士に――市川「俺とお前の夢や」、夜の海で「じいちゃん、棋士になったよ」

今回のあらすじ

冒頭は京都。

将棋教室で年配の男性を負かした千歳朔は、窓の外を見ながら東京の最終戦を思う。

自分の夢を、周鳳に押しつけてしまったのではないか。

朔の胸にあるのは、そんな迷いだった。

一方の千駄ヶ谷、第18戦。

二宮は銀取りを無視して金取りで切り返し、攻めに重心を傾けてくる。

市川は「凌いで後の先を取る」つもりで受けるが、二宮は追撃の手をゆるめない。同銀、また同銀。

あの市川が手も足も出ない——観戦の三段たちがざわつく。

それでも市川は折れない。スキは必ずできる、いや、作る。朔と約束したのだから。

「俺は棋士になる——」

関西勢も「行け市川!!」「押し返せ!!」と声を上げる。

しかし二宮の攻めは鋭く、速い。そして陣容は鉄壁の銀冠のまま。

木佐貫は、二宮もとうとう「そっち側」に行ってしまったのかとつぶやく。

市川がこじ開けようとすれば、二宮は自分に「スキを作るな」と言い聞かせる。

苅野は「次は君の番だ」、七尾は受けながら攻める奔放な指し手に舌を巻き、佳澄は「夕飛はゆるめない」と見つめる。

そして二宮の心の中に、たくさんの顔が浮かぶ。

千駄ヶ谷のイチョウの下で、先に行って待っている人。

幼い頃から支えてくれた人。苅野や曽我部の「行け!!」。

棋士になって待っててと約束した人——茅森月。

そして、孫が棋士になるのを見てみたいと笑っていた祖父。

みんなに、僕を見ててくれた人に、僕は応える。

月の声が重なる。行け、夕飛。

「僕は名人になる」

駒を打つ音。最後は盤面全体が描かれて、今回は終わる。

残り1枠の行方は…。次号へ。休載のお知らせはありませんでした。

盤上のオリオン 第114話 X(旧Twitter)での反応

盤上のオリオン 第114話 感想・考察・まとめ

【今回の一番】「僕は名人になる」——夕飛が初めて口にした夢

114話のいちばんは、やっぱりラストの一言だ。

「僕は名人になる」

これまでの二宮は、目の前の一局に勝つことだけを口にしてきた。

108話で「いつも通り勝つ」。前回も「あなたの相手は彼方じゃない、僕だ」。

棋士になれるかどうかの瀬戸際で、二宮はもっと先の「名人」を口にした。

おじさんの手元のメモをさかのぼっても、二宮がここまではっきり将来の夢を言ったのは見当たらない。

祖父の死から23連敗して、奨励会を辞めるかどうかまで落ちた少年が、だ。

「勝つ」が「なる」に変わった。

おじさんは、ここが二宮夕飛という主人公の、ひとつの完成形だと思う。

「竜」と「名人」——月と夕飛が目指す、将棋界の二つの頂点

「名人」と聞いて思い出すのが、104話の茅森月だ。

月はあの夜、「私は竜になる」と言った。

竜王と名人。将棋界で一番格が高いとされる、二つのタイトルである。

月は竜を、夕飛は名人を。

107話で月が言った「棋士になって私を待ってて」が、今回の回想でもう一度流れる。

二人は、同じ頂上を取り合うのではなく、二つの頂上で向かい合う約束をしたように見える。

しかも月の父・鍛冶晴臣は現竜王。

月が竜を、夕飛が名人を——いつか二人がタイトル戦の盤をはさむ日まで、この物語は見せてくれるのだろうか。

楽しみでもあり、切ない気もする。

そして、いつになることやら…。

でも、ドラマだね、そんな情景が目に浮かぶ。

朔の迷いと、市川の「約束したんだ」——夢は押しつけだったのか

今回の冒頭は、京都の将棋教室にいる朔から始まる。

110〜111話で棋士の夢をあきらめた朔は、いまも将棋を楽しんでいる。年配の男性を負かして笑う姿は、どこか穏やかだ。

でも、心の中では迷っている。

自分の夢を、あいつに押しつけたんやないやろか。

111話で「お前は俺の夢や」と言った本人が、それを疑っている。

おじさんはここが、114話でいちばん胸にきた。

夢を託すのは、託される側にとって力にもなるし、重荷にもなる。託した側は、それをずっと気にしているのだ。

そしてその答えは、盤の前の市川が出していた。

「約束したんだ」

市川は、押しつけられたとは思っていない。

朔の夢を自分の夢として選び直して、二宮の猛攻の中でも「俺は棋士になる」と前を向く。

朔は京都で、市川は東京で。離れた場所で、二人は同じ一局を戦っている。

「待っている人」と千駄ヶ谷のイチョウ——13話の千葉の言葉

二宮が思い浮かべる「待っている人」の場面で、千駄ヶ谷の神社のイチョウが描かれる。

将棋会館のある千駄ヶ谷は、棋士たちの町だ。

しめ縄のある大イチョウは、将棋会館の近くの鳩森八幡神社を思わせる。境内には将棋堂もある。

ここで思い出すのが、13話の千葉省吾。

二宮が奨励会を辞めるかどうか迷っていたとき、千葉は「千駄ヶ谷で待ってるぜ」と言い残した。

イチョウの下で「次は早く来いよ」と声をかける人物の正体ははっきり描かれないが、先にプロになった者たちが、二宮を千駄ヶ谷で待っているという絵だ。

13話の約束が、100話以上たって、ここで回収されようとしている。

「ワシの孫が棋士か」——祖父のココアとレモンティー

回想の中で、いちばん短く、いちばん重いのが祖父の一言だ。

孫が棋士になるのを、見てみたい。

二宮は震災で両親を亡くし、祖父に育てられた。勝てばココア、負ければレモンティー。

祖父はもういない。

だからこの一局は、祖父が見られなかった景色を、二宮が代わりに見に行く一局でもある。

朔の夢を背負う市川と、祖父の願いを背負う二宮。

託された思いの重さでは、二人はまったく互角だ。

「お前もそっち側に行きやよったか」——111話の「こっちじゃない」との対比

木佐貫がつぶやく「そっち側」という言葉にも、おじさんは引っかかった。

111話で朔は、久慈彼方に夢を断ち切られた日のことを、自分は「こっち」の人間じゃなかった、と語っていた。

天才と凡人のあいだに引かれた線。

今回、その線の向こう側に、二宮が行ってしまったと見られている。

そして市川も、朔から「久慈彼方に負けない才能」と言われてきた男だ。

盤をはさんでいるのは、線の向こう側の二人。

だからこそ、観戦している三段たちの声援には、悔しさと憧れが混ざっているように聞こえる。

【将棋用語】後の先・同銀・名人と竜王

今回の盤上で出てきた言葉を整理しておく。

もっと他の将棋用語をじっくり知りたい方は → 将棋用語まとめ

後の先(ごのせん)

相手に先に攻めさせ、それを受け止めたあとで、主導権=先手を奪い返すこと。

武道でも使われる言葉で、受けの強い棋士の真骨頂とも言える。

面白いのは、今回それを狙ったのが攻めの市川で、ゆるめず攻め続けたのが「受け師」の二宮だったことだ。

いつもと立場が逆になっている。七尾が「受けつつ攻めつつ」と驚いたのも、そこだろう。

同銀(どうぎん)

直前に相手が動かした駒を、銀で取り返すこと。「同」は「同じマス」の意味。

今回は同銀が二度続く。駒をぶつけ合い、取って取り返す、激しい斬り合いの合図だ。

名人と竜王

将棋のタイトルの中で、名人は歴史が最も古く、竜王は賞金が最も高い。

この二つが将棋界の最高峰とされ、棋士の序列でも上位に置かれる。

名人になるには、プロになってから順位戦のクラスを一つずつ上がり、最上位のA級で優勝しなければならない。

最短でも、四段になってから5年ほどかかる長い道のりだ。

だから二宮の「名人になる」は、この一局に勝って棋士になることを、ゴールではなくスタートだと言い切ったということでもある。

三段リーグの「残り1枠」

三段リーグは、上位2人が四段(プロ棋士)に昇段する。

1枠は佳澄碧がすでに勝ち取った。残る1枠を、2敗同士の二宮と市川が争っている。

まとめ——託された夢を、自分の夢に変えて

114話は、勝負を決める回ではなく、二人がなぜ勝ちたいのかをはっきりさせる回だった。

整理するとこうなる。

  • 京都の朔は「夢を押しつけたのでは」と迷っている
  • 市川は「約束したんだ」と、二宮の猛攻の中でもスキを作りにいく
  • 二宮は銀冠を崩さないまま、受けつつ攻める
  • 待っている人、支えてくれた人、約束した人、祖父——その全員に応える
  • 二宮「僕は名人になる」

託された夢を、自分の夢に変えた二人。

市川は朔の夢を、二宮は祖父の願いと月との約束を。

残り1枠の行方は、いよいよ次号で決まりそうだ。

来週が、待ちきれません!!

続きは漫画で、ぜひ最後の盤面の見開きと、イチョウの場面を見てほしい。

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