部員わずか3人、車も免許もない――そんな手作りのチームが、名門大学のエースたちと真正面から渡り合った大学シリーズ第3戦。筑士波大学自転車競技部の初陣を振り返ります。
箱根学園の元エースクライマー・東堂尽八、千葉総北の元エーススプリンター・田所迅、そして2人の幼馴染・糸川修作。3人だけで新設した筑士波大学自転車競技部の初陣は、地元・筑波山を舞台にした大学シリーズ第3戦でした。
この記事では、筑士波大学のメンバーと、初陣となる筑波山レースの模様をまとめます。
該当話数はspare.112〜118を参照しています。東堂・田所それぞれの大学進学の経緯は、個別のまとめ記事もあわせてご覧ください。
筑士波大学ってどんな大学?
| 項目 | 内容 |
| 所在地 | 茨城県つくば市周辺、筑波山のふもと |
| 部活 | 自転車競技部(東堂尽八・糸川修作が新設。田所迅が合流し部員3名でスタート) |
| 特色 | 新設1年目のチーム。免許も車もなく、地元から自走で会場入りする手弁当のチーム |
メンバー一覧
| 名前 | 出身高校・肩書き | 学部 | 脚質(高校時代) |
| 東堂尽八 | 箱根学園 元副主将・エースクライマー | ― | クライマー |
| 田所迅 | 千葉総北高校 元エーススプリンター | 情報工学部 | スプリンター |
| 糸川修作 | 埼玉県内の高校(空手部) | ― | 中学時代に自転車経験あり、高校では未経験 |
東堂と修作が入学前から資料を揃えて新設し、田所は筑波山での偶然の再会をきっかけに合流。3人が揃ったのは、レース当日のわずか数週間前のことでした。
レース当日:菓子折り作戦とホスト校との縁
会場は市民レース「つくば山ロードレース」と併催された大学シリーズ第3戦。ホスト校であるつくば小田城大学の尾川・橋中コンビが、地元最速を狙って気合を入れる中、筑士波大は当日朝、律儀に菓子折りを持って挨拶回りをしていました。
「同じ地元校でお世話になりますって ホスト校ごくろう様ですーって」
この気配りが、レース中に思わぬ形で東堂を助けます。
エピソード1:出走ギリギリの修作、そして“スリーピングクライム”
出走条件は3名以上。気弱な修作を東堂が強引に引っ張り出し、ようやく筑士波大の3人がスタートラインに並びます。
「今日のレースの要項で3名以上の出走と条件がある おまえが走らなければオレたちは出走できない」
レース中、山岳区間で東堂は先にホスト校の橋中を追い抜き、後方から追ってきた明早大学エース・盾崎と単独の攻防に。菓子折りの縁で東堂を知っていた橋中は、あっさりその場を譲ります。
「大したもんだな すげえよ」「音もなく ついてくる 軽やかに!! いいペダリングだ」
東堂は自らの登坂スタイルをこう名乗ります。
「”森”さえ眠る スリーピングクライム って呼ばれています」
エピソード2:荒北・修作、初対面の口喧嘩から意気投合
メイン集団では、洋南大学の荒北と修作が初対面で早速言い合いになりますが、田所の予想に反してあっさり打ち解けます。
「ずんぐりしてるじゃナァイ!!」「口悪っ!!」
「東堂のやらかしエピソードを教えろ」と迫る荒北に、修作が乗る形で意気投合。田所は「不思議と意気投合!?」と驚きつつ見守ります。この場には洋南大学(荒北・金城・待宮)、明早大学(福富・新開・石垣、エース盾崎)も参戦しており、大学編で登場した高校時代のライバルたちがこのレースに一堂に集結したことになります。
エピソード3:修作の“守りの一本”
レース中盤、明早大学がエースを最後尾に置く“平坦での仕掛け”を敢行。クライマーを削るこの攻撃に対応するアシストの枚数が足りない筑士波大にとって、最も苦しい展開でした。
「アシストの枚数の少ねえオレたちにとっちゃ 正直これは 一番イヤな攻撃なのさ!!」
田所に代わって前を引いた修作は、限界まで力を使い切ってレースを降ります。空手部の先輩に完走を報告してカッコをつけたかった、という本音を語りながらも、最後は仲間のために引き続けました。
「オレはやっぱ尽八の勝つとこ見たいからさ!!」
修作のこの短い牽引が、残る2人に確かな火をつけました。
エピソード4:ラストスパート、初陣で2位表彰台
ラスト1周、田所は東堂の風よけとなって粘り、最後は「あとは一人で何とかしよう」と東堂を送り出します。
「ここまでありがとうだよ田所迅!!」
明早のエース盾崎、洋南のエース見原と共に山頂を目指した東堂は、一度は明早の連続アタックに苦しめられながらも、渾身の加速で追いつきます。
「持てる枚数と あたえられた状況の中で 知恵と勇気を最大限に使い そのセオリーを覆すのも ロードレースの真実ですよ!! 盾崎さん!!」
最終結果は、明早大学エース盾崎選手が優勝、東堂尽八が2位表彰台という結果に終わりました。悔しさをにじませる東堂に、ゴールで待っていた田所がタオルと水を渡します。
「バカ言え!! 初陣で2位表彰台てのは 最高の結果だよ!! 筑土波大学自転車競技部 最上等なスタートじゃねえか!!」
メンバーの関係性
- 東堂と田所:明早大学を目指してそれぞれ道を変えた末に、まさかのチームメイトとして再会。ナルシストな東堂と豪快な田所の掛け合いが持ち味。
- 東堂と修作:中学時代に一度部を作った経験を持つ幼馴染同士。修作の“その場の感覚”が、東堂の計画を軽やかに後押しする。
- 田所と修作:初対面ながら、東堂を挟んで自然と兄弟のようなポジションに収まっていく。
まとめ
筑士波大学自転車競技部の初陣は、部員わずか3人、車も免許もない手弁当のチームが、名門校のエースたちと真正面から渡り合ったレースでした。
東堂の“スリーピングクライム”、修作の犠牲的な一本、そして田所の風よけ――3人それぞれの持ち場を全力で務めた結果が、初陣2位表彰台という快挙に結びついています。このレースの後には、思いがけない“三度目の偶然の再会”が待っていました。
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